尾崎雄貴のソロ、warbearが魅せる実験的ポップネス|DIGLE SOUND review

Review

文: DIGLE編集部  編:TUDA 

DIGLE MAGAZINEが“今聴くべき曲”をセレクトする、ウィークリー更新のプレイリスト『DIGLE SOUND』より1作品を紹介。今回はBBHF、最近再始動を発表したGalileo Galileiのブレーンである尾崎雄貴によるソロプロジェクト、warbearのアルバム『Patch』。

エレクトロニカを取り込んだ、自己カウンセリングとしてのインディポップ

 Galileo Galilei解散後の尾崎雄貴が自身と向き合う場所として選んだソロプロジェクトwarbear。2017年リリースのセルフタイトルから5年ぶりとなるアルバム『Patch』は、BBHFやwarbearのファーストと通づるポップネスがありながら、より実験性が盛り込まれたベッドルーム・ポップ作品になっている。

 尾崎雄貴特有の歌の節回しは、他のプロジェクトと同様にみられるが、今作で特記されるべきはエレクトロニカを取り込んだインディ・ポップサウンドだろう。「陶器の心」「バブルガム」に顕著にみられるレフトフィールドなエレクトロニクスやトロンボーン、コーラスなどのサウンドプロダクションには本人が敬愛するBon Iverの影響が、またそれだけでなく、ボコーダーやオートチューンを効かせたボーカルや時折混ぜ込まれるサンプリング使いには〈PC Music〉の系譜も感じ取れる。とはいえ、90年代のボーイズバンドを意識したという表題曲の「ドク」を聴けばわかるように、それらの実験的なサウンドの主軸はやはり歌であり、心地の良いメロディがアルバム全体を非常にポップな印象に落とし込んでいるのだ。

 フランスのイラストレーター、ルパート・テラックが手がける、さまざまなハートを抱えたひとの列が示すように、このアルバムは「バラバラになった心を、歪な形でも繋ぎ合わせ新しい形にする」というコンセプトのもと作られた作品でもある。その自己カウンセリング的な制作プロセスこそが“実験的”ととれるサウンドの構築に繋がったのかもしれない。多岐にわたるプロジェクトの中で、尾崎雄貴のサウンド/内面両方において、深淵をのぞくことができるであろうwarbear名義作品がこれからどのような変化を遂げるのか。復活の知らせが届いたGalileo Galileiの活動とともに注目していきたい。

“今聴くべき曲”をセレクト!『DIGLE SOUND』

RELEASE INFORMATION

『Patch』

2022年10月05日(水)
warbear
Ouchi Daisuki Club

【Track List】
1. オフィーリア
2. バブルガム
3. ドク
4. 気球だよ
5. メートル法
6. 陶器の心
7. 夏の限りを尽くしたら
8. やりたいこと
9. OoooZ
10. 汐(demo)
11. 花びらの形

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