ドレスコーズ『戀愛大全』が誘い込む、幻想の夏|DIGLE SOUND review

Review

文: DIGLE編集部  編:TUDA 

DIGLE MAGAZINEが“今聴くべき曲”をセレクトする、ウィークリー更新のプレイリスト『DIGLE SOUND』より1作品を紹介。今回はドレスコーズの8thアルバム『戀愛大全』。

輝かしいあの日を思わせるシンセサウンド

 作品ごとにコンセプトを打ち出してきた志磨遼平によるドレスコーズのニューアルバム『戀愛大全』。「架空の短編映画のサウンドトラック」をコンセプトに、理想的な夏の恋を描くラブソングで構成された今作は、唐突に冬に突入した今だからこそ、聴けば錯覚のような眩しさをおぼえる。

 ドリームポップマナーなシンセサイザーを初めて導入した今作。とはいえ、ウォン・カーウァイ監督の代表作とも言える『恋する惑星』の「Dreams」をサンプリングした「ナイトクロールライダー」や「エロイーズ」を聴くに、ギターのリヴァーブ使いや浮遊するシンセは楽曲自体を耽美的なものというより、輝かしいものにするフィルターとしての役割を果たしている。全体的にそうしたサウンド処理がなされながらも、元々のルーツであるグラム・ロックな「やりすぎた天使」、ガレージテイストの「エロイーズ」などらしさ全開な楽曲やディスコ調の「ラストナイト」など、これまでコンセプトだけでなくジャンル縛りでのアルバム制作を続けてきた彼だからこそのレンジの広さも見受けられる。

 ストリーミング上で形態を変化させるというリリース方法をとった前作『バイエル』は、疫病に見舞われた時代を描いた退廃的なレベルミュージックだった。そこから1年してまた異なる惨状を迎えるこの冬にリリースされたのが、夏のラブソング作品というのはなんとも可笑しい。過去を振り返るとき、実際よりも素晴らしいものを想像して満足してしまう愚かで可愛らしい人類に束の間の夢を見させてくれる楽曲陣に、やはり今年の夏を誇張して思い出してしまう。

“今聴くべき曲”をセレクト!『DIGLE SOUND』

RELEASE INFORMATION

『戀愛大全』

2022年10月19日(水)
ドレスコーズ

【Track List】
M1:ナイトクロールライダー
M2:聖者
M3:やりすぎた天使
M4:夏の調べ
M5:ぼくのコリーダ
M6:エロイーズ
M7:ラストナイト
M8:惡い男
M9:わすれてしまうよ
M10:横顔

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