文: DIGLE編集部 編:Kou Ishimaru
2019年より活動しているボカロP・トラックメーカーのhigma。「バブル」は、歌い手×ボカロP×絵師×動画師等でチームを組み、一つの作品を完成させる企画「ボカデュオ」から生まれた楽曲。ピアノやリバーヴィなギターによる叙情的な音像と、シンセサイザーとの組み合わせは、ナカタヤスタカやサカナクションなどのエレクトロポップ楽曲も彷彿とさせる。《手が触れて泡になった あなたのことを思い出したら 暗い海のその奥まで このまま泳いで行けるのかな?》といった刹那的な歌詞が、感情を逆説的に引き立てる無機質なシンセのサウンドと相まって、切ない。
国内外でピアノと作曲を学び、数多くのコンクールで受賞してきた音楽家・村田有希。自身のピアノソロ曲「clammbon」をリミックスした本作では、深いリバーヴのかかったピアノと、ドローンミュージックのような持続音が溶け合う。メロディの情緒に耳を傾けるも、音像に身を任せるも良し。Brian Eno(ブライアン・イーノ)が提唱した「聴くこともできるし、無視することもできる音楽」を体現した"ambient remix"だ。
16歳の夏に作詞・作曲、バンド活動を始め、2010年の17歳の時からソロ活動を行うアーティスト・nikiie。(K)NoW_NAME、DADARAYにボーカリストとしても参加している。「全意中最前線」は、軽快な16ビートの小気味良いビート、Just Two of Us進行のベース、多様なシンセやコーラスワークが彩りを添えるポップチューン。《恋するけなげな人たち ここに集合です》と歌い出すラブソングの本作。《所詮理由なんて8割5分 後付け 惹かれたなら最後だよ》と、恋の熱量とエモーションに惹かれる。
幼少期からピアノやギターをはじめ、東京藝術大学声楽科に現役で入学し、声楽や音楽理論、作曲や編曲、DTMなどを学び、2023年からオリジナル曲をリリースしている冨田 開登。「たかが音楽」は、ドラムンベースに近い疾走感のある16ビートとキメを多用したユニークなリズムで展開する一曲。タイトルの「たかが音楽」が印象的だが、歌い出しで《たかが音楽と言わないで たかだか人間の分際で》とあるように、「たかが音楽」という言葉や考えを否定する曲である。《たかが音楽に生かされて 誰かがくだらねえと笑った さらば人間と告げるたび 私の生き様光出した》と、ある種人間より上に"神"や"信仰"のようなものを据える。その姿勢が音楽家にとって誠実だと感じた。
和歌山県和歌山市出身。作詞作曲編曲すべてをこなし、シンガーソングライター・ほのんへの楽曲アレンジなど、幅広く活躍するマルチアーティスト・季楽。「何者」は、疾走感のある8ビートのリズム隊と、エモーショナルなギターのバッキングやオクターブ奏法が躍動するロックチューン。《努力は平気で裏切るし 何も成し遂げていないあたしの話》と、うまくいかず自分の小ささを実感してしまう普遍的な経験を拾ってくれて、救われる。
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