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文: Kou Ishimaru
2020年のコロナ禍突入から1年強。音楽の現場、シーンだけでなく出回る音楽の音そのものも大きく変わってきている。この企画は、2020年から2021年の間にリリースされたアルバムの中から最近聴いているものを選んでもらい、それに音楽的/文化的に呼応するであろう過去の時代の楽曲を辿ってもらうことで、ポップス史の大きな流れの一部を可視化してみようという企画だ。
第一回目は東京のインディーロックバンド・Bearwearとスリーピースバンド・Haikiのメンバーとして音楽活動をするKouが、A.G.Cook『7G』からNirvana『Nevermind』、Owen『At Home With Owen』、Caramell『Supergott』を辿る。
PROFILE
Bearwear、Haikiのメンバーとして活動するBass Player / Composer。THEティバのレコーディング参加をはじめ、ベースプレイヤーとして同世代バンドのサポート活動も行う。
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』主題歌にして宇多田ヒカルの新曲「One Last Kiss」の制作にCo-Produserとして参加したことも話題の、ハイパーポップ系プロデューサー、A.G.Cookの2020年作『7G』。
収録曲「Beetlebum」はblurの楽曲のカバー。アルバムの中でこの曲だけ唯一、あからさまにバッキングギターが鋭利なクランチサウンドになっていて、Nirvanaの『Nevermind』収録の「Lithium」みたいな独特なギターサウンドがすぐに思い浮かびました。歌い方もまさにカートコバーンそのもので、気怠そうに弾きながら歌っている姿が目に見えるグランジリスペクト曲です。
「Being Harsh」はアコースティックギターの綺麗なアルペジオリフが印象的な一曲。オープンチューニングでハーモニー豊かなアルペジオは、Owen/American Footballのキンセラ兄弟をはじめとしたエモやマスロックシーンの人達が奏でているフレーズに似ていて、このフレーズをバンドではなくトラックメイカーとしての使い方で、環境音やMIDIシンセと混ぜているところが、時代が一周したことを感じさせます。
3月にはThe Smashing Pumpkins「today」のカバーもSoundCloud にアップしていて、最近は特に90-00’sのオルタナティブバンドへのリスペクトを体現したような動きをしているようです。
ハイパーポップと言えば、日本では2ちゃん、ニコニコ動画発祥のネットミーム「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」の元ネタ曲、Caramell「Caramelldansen(2001)」のユーロダンスのような派手なシンセサウンドが印象的ですが、それと相反する情感のある生ギターの音と溶け合い、一つの楽曲・アルバム内に混在しているところが、2020年代の到来をより実感させてくれているように思いました。
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