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文: age 編:Mao Oya
2020年のコロナ禍突入から1年強。音楽の現場、シーンだけでなく出回る音楽の音そのものも大きく変わってきている。この企画は、2020年から2021年の間にリリースされたアルバムの中から最近聴いているものを選んでもらい、それに音楽的/文化的に呼応するであろう過去の時代の楽曲を辿ってもらうことで、ポップス史の大きな流れの一部を可視化してみようという企画だ。
第1回目は東京のエレクトロバンド・gatoのageが、Porter Robinson『Nurture』からClark『Body Riddle』、múm『Finally We Are No One』を辿る。
PROFILE
2018年、突如インディーシーンに現れたエレクトロバンド。
昨今のグローバルトレンドを抑えつつも、日本人の琴線に触れるオリエンタルなサウンドは、現行のインディーシーンにおいて唯一無二の存在。シームレスに曲を繋いで展開していくDJライクなパフォーマンス、VJによる映像と楽曲がシンクロするライブは定評があり、クラブシーンやギャラリーなどライブハウスの垣根を超え、着々とファンを増やしている。
2020年10月に1st AL『BAECUL』を初の全国流通盤でリリース。収録曲「CUL8er」がNHK-FM『ミュージックライン』のテーマソングに、「miss u」がJ-WAVE『SONAR TRAX』に選出される。同年11月に渋谷WWWにてNo Busesをゲストに迎え開催したリリースパーティは、ソールドアウトを果たした。
2021年5月『BAECUL REMIXIES』をリリース予定。
親日で親しまれ、自身の電子音楽のルーツは『DanceDanceRevolution』をプレイしてからと語るプロデューサー、Porter Robinson。Madeonとの共作『shelter』を引き下げワールドツアーを成功させ、今回の最新アルバム『Nurture』をリリース。
アルバムのリードトラックの「Mother」。グリッジサウンド、ノイズを常にレイヤーしていますが、熱量を上手く押さえて楽曲のコードワークや歌で情景を駆り立てる構成になっています。モジュール的なノイズやランダマイズを感じさせるグリッジ、シンセのオーバードライブ感はClarkの「Ted」に近いものが見えました。
「wind tempos」はホワイトノイズやアンビエンスをリズムにはめずに、自然な形で楽曲に溶かしていく曲作りで、múmの『Finally We Are No One』の収録曲「K/Half Noise」のようなシーケンスをより生音に寄せたサウンドがnurtureの『大事に育てる』という意味で楽曲を繊細に構築していく精神的な過程を感じました。
Porter Robinsonらしさをしっかり残しながら、そこにギターや自然な音を感じさせるサウンドの組み合わせがとても素敵でエレクトロとしての新しい解釈、定義が生まれる予感がするアルバムです。
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