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DIGLE MAGAZINEの読者の皆さま、こんにちは!
8月のおすすめインディー音楽を今回も紹介します。
緊急事態宣言が続いた上に、お盆期間は雨模様の天気ばかりで、夏らしいことが少なかった8月でした。すっかり気温も下がってきたので、コロナはもちろん、風邪を引かぬよう体調管理にはお気を付けてお過ごしください。今回は8アーティストの紹介+αです。
すっかりUSインディー・ロックの兄貴的なポジションにまで地位を確立したニューヨーク州・ブルックリンを拠点とするParquet Courts(パーケイ・コーツ)が、コロナ禍の閉塞感も打ち破るがごとく、気持ちを完璧にドライブさせる新曲をリリースした。Iceage(アイスエイジ)やLorde(ロード)の新作が象徴するように、インディー音楽全体の雰囲気としてPrimal Scream(プライマル・スクリーム)を参照することがトレンドとして囁かれる中、Parquet Courtsもその流れにいたのであった。Dry Cleaning(ドライ・クリーニング)やThe Goon Sax(ザ・グーン・サックス)が今年リリースしたアルバムのプロデューサーも手掛けるJohn Parish(ジョン・パリッシュ)がここでも登場。同曲も収録される6thアルバム『Sympathy For Life』は10月22日(金)にリリース予定。
そして、上述のJohn Parishが新たにプロデューサーとして関わるUKのこの新星は新しいムーブメントの前兆となるか。UK・ブリストルを拠点とするBingo Fury(ビンゴ・フューリー)。時代錯誤でありモダン。誠実であり狂気。2012~13年のWilly Moon(ウィリー・ムーン)の登場とブレイクを彷彿とさせるものもある。Black Country, New Road(ブラック・カントリー・ニュー・ロード)が1本のホラー映画に夢中になるような、スリリングな緊張感を想起させるのだとすれば、Bingo Furyには1900年代初〜中期のモノクロで映るサスペンス劇のような悲劇と喜劇が交差するダイナミズムを感じる。勢いを失うことなく新たなロックが芽生えるUKにて、最新章の扉が開くのか。要注目。
2019年の3rdアルバム『U.F.O.F.』、4thアルバム『Two Hands』の連続リリースも記憶に新しく、『U.F.O.F.』は第62回グラミー賞のオルタナティブ・ミュージック・アルバム部門にもノミネートされ、名実共に現行USインディー・フォークを代表する存在となったBig Thief(ビッグ・シーフ)。同バンドの中心人物であるAdrianne Lenker(エイドリアン・レンカー)の『songs』(2020)やBuck Meek(バック・ミーク)『Two Saviors』(2021)といったソロ作を経て、Big Thiefとしては久しぶりに『Little Things/Sparrow』の両A面シングルを8月10日にリリースした。音の優しさの中に揺るぎない力強さが宿るバンドという私の期待を全く裏切らなかった至高の新曲。
韓国、マレーシア、ワシントンDC、ロンドンなどを転々としてきたDeb Never(デブ・ネバ―)(Twitterプロフィールでの現在地はLAとなっている)。SoundCloudから彼女の存在が徐々に知れ渡り、Dominic Fike(ドミニク・ファイク)やslowthai(スロウタイ)の作品にも参加したりと、着実に存在感を強めてきた。ヒップホップ的なファッションに身を包み、多ジャンルを取り込んでいく自由な感覚。しかし、そこには彼女が最も影響を受けたというグランジの影響が随所に光る。紹介したのは9月10日(金)にリリースのEP『Where Have All The Flowers Gone』から先行配信したJim-E Stack(ジムイー・スタック)とのコラボ楽曲。
ロシアのアンダーグラウンドから生まれる神秘的エレクトロニック・Kedr Livanskiy。その行いがもっと良い何かに導けるものだからカルチャーには尊さがある。だから、制約は言い訳にしないし、それが連中の反感を買おうとも、DIYの音楽は生まれていく。ロシアから国境を超えて届く、彼女の美しい歌声やサウンドにはいつもハッとさせられるものがある。10月1日(金)にリリース予定の3rdアルバム『Liminal Soul』は、彼女のキャリアの中で初めて全曲を英語で歌った作品となっているそうだ。
US・ロサンゼルスを拠点とし、2018年には東京・大阪で来日公演も果たしているMedia Jeweler(メディア・ジュエラー)。紹介したこの楽曲は1分半と短いものだが、black midi(ブラック・ミディ)へのUSからの対抗馬と言わんばかりの爆発力やクリエイティブを内包した面白い楽曲となっている。このコラムでも再三登場してきたNYのインディー・レーベル〈Fire Talk〉から3rdアルバム『The Sublime Sculpture of Being Alive』を8月13日にリリースした。
インディー・ロック魔境の地、オーストラリアはメルボルンを拠点とするHighSchool(ハイスクール)。The Drums(ザ・ドラムス)とDIIV(ダイブ)を足してFontaines D.C.(フォンテインズD.C.)で割ったかのような、喪失感とロマンティシズム。完璧ではない隙だらけのギターロック信者な我々のメランコリックを刺激する。現在のUKギターロックシーンを牽引するDIYメディア・So Youngのプレイリストにもバッチしとリストインしていて、今後更に注目が広がりそうな予感。手作り感がありつつも世界観が伝わるよう作り込まれた彼らのビデオも過去作含めて素晴らしい。
「お前は本当の愛を知らない」と、私が前に勤めていた会社の同期に言われたこともあったが、愛と言えばChris Stewart(クリス・スチュワート)によるプロジェクトBlack Marble(ブラック・マーブル)を思い出す。彼のサウンドを特徴づけるLCD Soundsystem(LCDサウンドシステム)のようなリズムカルなテンポと、初期New Order(ニュー・オーダー)のような清々しさと陰鬱さの塩梅が秀逸なシンセは更に磨きがかかったようにも感じる。2021年で最も泣けるレコードとなる予感しかない4thアルバム『Fast Idol』を10月22日(金)にリリースする。
そういえばThe Strokes(ザ・ストロークス)の衝撃のデビューアルバム『Is This It』がリリース20周年ということで、UKの音楽誌『DIY』による同アルバムのカバー企画が話題になりました。参加アーティストもWooze、Black Honey(ブラック・ハニー)、Buzzard Buzzard Buzzard(バザード・バザード・バザード)、FUR(ファー)、Master Peace(マスター・ピース)、FEET(フィート)、Demob Happy(ディーモブ・ハッピー)、Yard Act(ヤード・アクト)、King Nun(キング・ヌン)、Pixey(ピクシー)、Zuzu(ズズ)。The StrokesはNYのバンドですが、UKの若い世代(多くの参加アーティストの20年前は、まだ生後〜幼少期くらいかと思います)にもしっかりと受け継がれていることに胸が熱くなるところ。また、こうしたブライト・ホープで企画を進めたDIY誌のこの方針も素晴らしいと感じました。
気になって今年で10周年を迎えるデビューアルバムを調べてみると、Iceage『New Brigade』、Washed Out(ウォッシュト・アウト)『Within and Without』、Yuck(ヤック)『Yuck』が2011年にリリースされていました。三者三様のインディーアーティストを挙げましたが、振り返ってみると彼らがいなかったら全く別の景色になっていたような気がします。
お読み頂きありがとうございました!
<School In London>のプレイリストでは、今回紹介したものも含めて毎月追加更新という形で、新しいオススメのインディー楽曲をまとめています。記事で紹介した音楽を気に入ってくれた方は是非チェックしてみてください。
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