2022年1月|映画ライターが厳選する今月の配信作品 4選

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文: 安藤エヌ  編:Mao Oya 

2022年の映画初め!Disney+、Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXTの各動画配信サービスにて配信が開始される作品の中から、映画ライターおすすめの話題作をご紹介。『夜は短し歩けよ乙女』『アルキメデスの大戦』『プロミシング・ヤング・ウーマン』『WAVES/ウェイブス』の4作品をセレクト。

2022年が幕を開けた。今年も沢山の心動かされる映画に出会えますようにと願いを込め、主要配信サイトDisney+、Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXT、それぞれで配信が開始された4作品をご紹介。

2021年に開催された第93回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した『プロミシング・ヤング・ウーマン』や、31曲もの劇中歌がエモーショナルに物語を彩る『WAVES/ウェイブス』など、新春から話題作を堪能できるラインナップが揃った。


Disney+ 映画『夜は短し歩けよ乙女』

まずはDisney+から。ディズニー作品以外の優れた映画を配信し、日々広がっていくカルチャーを包括する試みとして新たな部門「スター」を創設したDisney+。配信ラインナップには邦画や日本のアニメーション映画も加えられ、より幅広いジャンルを網羅して楽しめるようになった。

そんななか、1月28日(金)に湯浅政明監督のアニメーション映画『夜は短し歩けよ乙女』が配信される。

アニメシリーズの原画・作画監督を経て、『マインド・ゲーム』で長編アニメーション監督としてデビューし、『ピンポン THE ANIMATION』『夜明け告げるルーのうた』など意欲的な作品を生み出し続けてきた湯浅監督。2021年には日本のアニメ文化に影響を与えた功績が評価され紫綬褒章を受賞するなど、クリエイティブの最前線に立つ人物だ。

映画『夜は短し歩けよ乙女』は2010年に放送されたアニメシリーズ『四畳半神話大系』に続き、作家・森見登美彦と監督・湯浅政明がタッグを組んだ作品。独特のタッチとテンポで観客を呑み込む世界観が炸裂しており、一目観てどっぷりとハマってしまう人も多いはず。ぜひ、日本が誇る気鋭のクリエイターが生み出す世界の虜になってほしい。

Netflix 映画『WAVES/ウェイブス』

Netflixからは、映画制作・配給会社のA24が贈る鮮やかな青春劇『WAVES/ウェイブス』が配信された。

A24はこれまでに『mid90s ミッドナインティーズ』『ムーンライト』など若者たちの心に強く刻まれるマスターピースを多く輩出し人気を博している。

ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹を主軸に、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった誰しもに関わりのあるテーマを描いた本作。劇中では31曲もの楽曲が登場し、映画を手がけたトレイ・エドワード・シュルツ監督が事前に本編に使用する楽曲のプレイリストを作成し、そこから脚本を着想したというだけあって、映画とのシンクロ度は完璧。

まさにプレイリスト・ムービーというにふさわしい、目だけでなく耳でも物語を感じられる作品となっている。映画を観終えたあとは、サウンドトラックも要チェックだ。

『WAVES/ウェイブス』は1月1日(土)よりNetflixにて配信中。

Amazon Prime Video 映画 『アルキメデスの大戦』

Amazon Prime Videoからは、2019年に公開された邦画『アルキメデスの大戦』が1月8日(土)より配信開始。

日本と欧米の敵対が激化する昭和8年、巨大戦艦・大和の建造に懐疑を抱いた海軍少将・山本五十六。大和建造の裏に隠された不正を暴くべく、山本に招き入れられた天才数学者・櫂直は自身の数学的能力、そして持ち前の度胸を活かし、帝国海軍と相対する。国家を敵に回すことへの計り知れない重圧とさまざまな障壁。果たして大和の、彼らの運命はいかにーー。

メガホンを執ったのは、『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』を手がけた邦画のヒットメーカー・山崎貴監督。櫂直役に菅田将暉、山本五十六役に舘ひろし、櫂の付き人となり、後に彼のよき理解者となる海軍少尉・田中正二郎役に柄本佑、ほか笑福亭鶴瓶や浜辺美波など豪華な顔ぶれが揃う。

エンタメ性抜群の画とストーリーに思わず前のめりになって見入ってしまうこと間違いなしの本作。信念を貫き奔走する男たちの姿に、胸を熱くしながら観てもらいたい。

U-NEXT 映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

最後にU-NEXTからは、2021年映画界の賞レースに華々しく登場し、数々の賞を受賞して話題となった『プロミシング・ヤング・ウーマン』が1月7日(金)にお目見え。

明るい未来を約束された若い女性(=プロミシング・ヤング・ウーマン)だと誰もが信じていた主人公キャシーは、ある不可解な事件によって約束された未来を突如として奪われる。社会への怒りを覚えた彼女は、聡明な思考と行動力をもってして世の中に中指を立て、粛々と復讐を行っていく。

主人公キャシーを演じるのは『17歳の肖像』『華麗なるギャツビー』のキャリー・マリガン。『スキャンダル』や『スーサイド・スクワッド』に出演した女優マーゴット・ロビーが製作を務めている。

センセーショナルかつ、映画を通して社会の在り方を痛烈に描写した本作は、第93回アカデミー賞で5部門にノミネートされ脚本賞を受賞した。誰しもが他人事ではないリアリティを突きつける、今の時代に観るべきテーマが投影された1本となっている。

既に映画初めを済ませた人もこれから観る人にとっても、新たな1年の始まりを感じながら観る映画というのは特別に感慨深いことだろう。本コラムを読んでいる人達にとって、2022年がより多くの素敵な映画に触れ、公私ともに実りある年になることを祈っている。

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