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文: 竹田ダニエル 編:伊東莉子
既に公開済の前編に引き続き、後編も魅力的なアジア系クィアアーティストたちをご紹介。自らのアイデンティティやバックグラウンド、生きづらさも含めて等身大に発信することで、若者を中心に絶大な共感を得ている彼らの個性や音楽をぜひ、前編とあわせてチェックしてほしい。
台湾系アメリカ人のハーフであり、バイセクシュアルであることを公表しているmxmtoonは、SNSでのユーモラスな発信と鬱や不安症について語っているリアルな歌詞がZ世代から共感を得ているシンガーソングライターだ。昨年、プライド月間を記念して投稿した写真のコメントでは「私はレズビアンじゃなくてまだバイセクシュアルだけど、めちゃくちゃゲイだよ(笑)」と投稿している。
YouTube、TikTok、Instagramで数百万人のフォロワーを獲得している彼女は、増え続けるプラットフォームを利用して、身近な問題について語ることを大切にしている。中国系アメリカ人のアーティストである彼女は、「移民の家庭に生まれた有色人種の若いバイセクシャル女性として、多くの時事問題が私自身に直接影響を与えています。そのような私たち全員に影響を与える問題について議論することは、私の義務であり良い機会であると確信しています」と語っている。
マレーシア初の、そして唯一公的にクィアであるアーティストAlextbhは先鋭的なR&Bを作っているだけではなく、LGBTQ+に対する国内の差別的な政治や法律についても積極的に声をあげている。ロマンチックで、どこか孤独を感じるような彼の楽曲は、Troye Sivan(トロイ・シヴァン)やYears&Years(イヤーズ・アンド・イヤーズ)が好きな人には馴染みやすい。マレーシアにおけるLGBTQ+コミュニティは団結力が強くとも、イギリスの植民地時代から続く法律により、同性愛はは未だに犯罪とみなされている。Alextbhの歌詞の中に登場する恋愛対象の相手は明確に男性であり、同性愛者に対して抑圧的な社会の中で生きるアーティストとしての勇気と覚悟を強く感じる。
「新政府が選出されてからの数ヶ月間、状況は変わらず、むしろ悪化しています。同性愛者のためのライブ施設が何度も閉鎖され、同性愛者への身体的攻撃、殺人など、注目を集めた過去の事件はいまだに解決されていません。明るみにさえ出ていないのです。今、私たちは政府のサンドバッグになっているような気がしています。政府に何かあれば、私たちは彼らのサンドバッグとして使われるのです。私が望んでいるのは、他の人たちと同じように、素敵な、普通の、穏やかな生活を送ることなのに、政府がそうさせてくれず、実際には政府に利用されていて、最悪です。」
引用:i-D
他にも、公的なカミングアウトはせずともクィアな個性を持つアーティストは数多くいる。
例えば、インディーシーンで注目を集めており、ベトナム系のハーフであるkhai dreams(カイ・ドリームス)は、「they/them」の代名詞を使用している。khaiの場合も自身のジェンダーやセクシュアリティに関して公的に発言はしていないものの、Twitterでは「クィア性」に関するジョークを発している。
The 1975が所属するイギリスのインディーレーベル〈Big Hit〉と契約を交わしたことで話題になったbeabadoobee(ビーバドゥ―ビー)は、フィリピン出身。インタビューにて「女の子に好意を持つことはありましたが、男の子が私を好きになることはなかったので、自分はゲイだとみんなに言っていました。今から思えば、私はバイセクシャルでした」と語っている。
日系のハーフであり「Z世代ポップスのサッドボーイ・プリンス」と呼ばれるConan Gray(コナン・グレイ)は、クィアなストーリーテリングを音楽の中心的なテーマにしている。シングル「The Story」では男性同士での恋愛を描いたり、大ヒット曲「Heather」では女性の立場に憧れる歌詞を歌ったり、「I’m a girly boy and I don’t care (kinda) 」というYouTube動画を挙げたりと、社会規範に当てはまらないジェンダーやセクシュアリティの概念を頻繁に取り入れている。
「SUKIDAKARA」や「That’s On You (feat. UMI)」などの曲で日本語で歌っていることでも知られるUMI(ウミ)は、日系ハーフのシンガー。EP『Love Language』では、音楽業界でミックスルーツの女性としての音楽業界での経験を語り、多面的なアイデンティティについて歌っている。前述のコナン・グレイとはツアーで同行しており、インタビューでセクシュアリティについて言及している。
LTA:自分のセクシュアリティに疑問を持ち始めたのはいつですか?
UMI:正直なところ、1年半ほど前まではありませんでした。私はいつもLGBTコミュニティの友人たちに囲まれて育ってきたような気がしますが、それが自分に当てはまるとは思っていなかった。それは私が自分自身に疑問を持ち、自問自答しなかったからだと思います。友達に “女の子が好きなの?”と聞かれるまでは、”うーん、それは考えたことがないな “と思っていました。 しばらくして、「女の子は好きだけど、みんな好きだと思う」という結論に至りました。そして、この気持ちに名前をつけるとしたら、その名前が存在していることに気づいた。それが私にとっての冒険の始まりでした。また、それに気づいてからは、自分の中にある社会的条件をすべて元に戻すのに時間がかかりました。また、”女の子を好きになってもいいんだ、女の子を好きになっても変じゃないんだ “と言えるように、自分自身の認識を読み直すことにも時間がかかりました。このような自分自身の認識や、何が「正しく」て「間違っている」のかを学び直すことが、この1年半の私の旅でした。
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竹田ダニエル
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riko ito
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竹田ダニエル
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