tonari no Hanakoがメジャー初ライブを実施。音楽と映像による独自の表現で魅せたシークレットイベントをレポート

Report | 2023.03.29 2023.04.11

マルチクリエイティブユニットtonari no Hanakoが、2023年3月24日（金）東京・渋谷区某所にて＜tonari no Hanako メジャーデビュー記念 SECRET LIVE「春めく花葬」＞を開催。音楽と映像の両面で魅了したメジャーデビュー後の初ライブの模様をレポートする。

tonari no Hanako プロフィール

2019年の活動開始当初から、実態が謎に包まれていたtonari no Hanako。のちに3人編成であることが明かされるが、約4年間ライブはほとんど行っておらず、本公演もメジャーデビュー後初ライブとなる。当日会場に訪れる観客のみに場所が知らされるというシークレット形式だったものの、チケットは即完売。期待に胸を膨らませたファンが会場に集った。

ミュージックビデオ（以下、MV）をコラージュしたオープニングムービーが流れると、白い衣装を纏ったame（Vo）とサポートメンバーが登場。ショートベールを身に着けたameの出で立ちは神秘的で、表情こそ見えないものの、張り詰めた空気から緊張が感じ取れた。

しかしその後、EP『春めく花葬』収録の「最終解」の演奏が始まると一気に解放的なムードに。バンドが奏でる力強いグルーヴに身を委ねながら、ameが真っ直ぐに歌を届ける。

本公演で驚きだったのは、すべての曲でステージ上のスクリーンに映像が投影されていたことだ。「最終解」のようにMVが流れたり、続く「割れ物」のようにリリックビデオが流れたりすることもあれば、「むねのかたち」をはじめsobue（VJ／映像ディレクター）がこの日のために制作したであろう映像が映し出される場面も。ame、sobue、そしてスクリーンに映るHanako。ステージには立っていなくとも、3人の力が合わさってこのライブは作り上げられている。

「みなさん、初めまして。tonari no Hanakoです。今日はたくさん曲をお届けするので、最後まで楽しんでいってください」と挨拶し、最新EPに収録の「傷を隠して」「ぜんぶ忘れてしまうって」を立て続けに披露。音源では淡々とした歌い口を意識しているameだが、ライブでは歌のところどころに感情を滲ませ、楽曲の主人公の心情を表現する。

雨音が鳴り響く中、おもむろに本を開き、物語の朗読を始めるame。どしゃ降りの日に原宿へ出かけた主人公は、酉の市が行われていることに気がつく。初めて目にする祭りの輝かしい風景が主人公の五感を刺激して…その内容は「雨の祭り」の歌詞とリンクしていた。こうしてファンを楽曲の世界へ引き込むと、ameの歌やアコースティックギターのきらびやかな音色、リリックビデオが一体となって楽曲の情景を鮮やかに描き出した。

ここでバンドメンバーがジャズセッションを行い観客を魅了すると、「青に線香」をジャズアレンジで届ける。続く「君のトーストになりたい」では切々と歌い上げるame。ポップな映像や音数を抑えたシンプルなアンサンブルが楽曲の切なさを引き立てる。

ピアノソロを挟んだのち、グルーヴィなバンドサウンドに乗せて軽快に歌唱した「春逝きし晴れ」、しっとりと歌い上げた「旅立ち」を次々に演奏。MCではこの日の天気について触れ、「私の名前がameだから雨が降ってくれた気がします。すみません（笑）」とこぼした。

また、ユニットを始めた経緯について説明する場面も。一人で音楽を始めたameだが、メンバーをはじめさまざまな人物との出会いを経て現在に至ると振り返り「今が人生で一番、人のご縁に恵まれていると思う」と述べる。さらに自身が内気な性格であることを明かし、「tonari no Hanakoという音楽を作ってみなさんと出会うことができて、こんな自分もなかなか良いのかなって少し思えるようになりました。本当に感謝しています」とファンに想いを伝えた。

その後はYouTubeでの反響が心の支えになったというインディーズ時代の楽曲「short hair」を歌唱し、さらに最新作収録の「会いたいの、ごめんね」を振り付けを交えて披露。ポエトリーリーディングと共に幻想的なパフォーマンスで魅了した「髪、切ったら」を歌い終えると、メジャーデビューまでの歩みを振り返った。メジャーデビューの契機となったのは、河口恭吾に「ヘアゴムとアイライン」の歌詞を提供したことだという。その楽曲をセルフカバーし、YouTubeに動画を投稿したことでメジャーへの道が開けた。

「人生、振り返ってみれば無駄がなかったのかなと。点の段階だと自分が今どこに向かっているのか、自分が今どの位置に立っているのかよくわからないけど、（点が）結ばれたときに振り返って見てみると、一つ一つが大事な経験で、大事な歩みで、大事な出会いだったんだなってつくづく思います」（ame）

さらに「これからも歩みを止めずに、たくさん素敵な楽曲を作って届けていきたいなと思っているので、これからも見守って、一緒に楽しんでもらえますか？」と呼びかけ、メジャーデビュー曲「ヘアゴムとアイライン」で本編を締めくくった。

アンコールでは、「今日来てくれたみなさんに何かギフトできたら」と、未発表曲の「さよなら未満」を披露。さらにライブ本編が後日オンデマンド配信されることを発表し、「アンコールは配信されないので、言いたいことを恐れずに喋ろう（笑）」と、会場にいるファンに向けて本音を吐露する。音痴だった過去や、努力を重ねて音痴を克服したこと、音楽に懸ける想い。「繊細で打たれ弱くはあるんですけど、打たれたらそれを曲にしてやろうと。みなさん気をつけてください。私を傷つけたら、歌になります（笑）」と、冗談を交えながらも強い決意を述べた。

初ライブのラストナンバーは「春風」。爛々としたバンドサウンドやameの温かな歌声が会場を包み込み、一生に一度の貴重な初ライブは幕を閉じた。

なお、DIGLE MAGAZINEのSpotifyアカウントでは＜tonari no Hanako メジャーデビュー記念 SECRET LIVE「春めく花葬」＞のセットリストをプレイリストにして配信中。ぜひ、プレイリストと一緒にライブの余韻を堪能してほしい。

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INFORMATION
オンデマンド配信＜春めく花葬の記憶＞

チケット受付期間：2023年5月5日（金）21:00まで
視聴期間：4月29日（土）12:00～5月5日（金）23:59
※ライブ本編のみ配信。アンコールの配信はなし

▼購入URL
https://eplus.jp/tonarinohanako-st/

外部リンク

tonari no Hanako公式HP Twitter Instagram YouTube