ギターロックの安定感と普遍的なテーマが共存。“音楽を科学する”バンド・雨と理科室の2024年第3弾シングル

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第54回目は、雨と理科室をご紹介。

ギターロック、エモ、時にはマスロック的な緻密さも顔を出す、いわば’00年代以降の王道邦楽ロックのスタイル。そこに中性的な声質のボーカルが乗ることで生まれる危うさ、さらに10代の頃にいた街や学校の景色や匂いと、そこで交わされた恋の予感や、成長とともに味わう痛み。雨と理科室の音楽にはギターロックバンドが持つ安定感と、必ずしもバンド音楽を聴かない人にも刺さる普遍的なテーマが共存している。大阪北摂発、学生時代の同級生で結成された雨と理科室は、複数のEPやアルバムのリリースを経て今年結成4年目を迎え、昨年に続き大阪の名物サーキットイベント<MINAMI WHEEL>に出演するなど、大阪、東京のライブハウスに精力的に出演している。当初は4人編成だったが、現在はライブごとにサポートベーシストを迎えて、モロ(Vo./Gt.)、キグチサトル(Dr./Cho.)、磨見隆磨(Gt./Cho.)の3人で活動しているようだ。

遊び心のあるフックや多彩なジャンルが顔を出すポップラブソング

2024年は3月に配信シングル「夜を越えて」をリリース。同曲は<early Discovery 2023>に選出されたことをきっかけにポニーキャニオン運営のearly Reflectionからのリリースが実現したもの。大阪出身バンドが東京でツアーファイナルを行ったことの意味や、広く自分自身で生きようとする人へ、夜という闇を越えるための希望を高い熱量を持った演奏で表現していた。さらに8月リリースの「夏がくれた君」では一つの夏の終わりの情景を歌詞でもアレンジでもリリカルに描き、一抹の寂しさと成長をイメージさせる。常に自分たちが経験から得た気持ちを高い純度で楽曲へ昇華してきた彼らのキャリアの中でも、演奏やアレンジはもちろん、マスタリングも含めてクオリティが高いこの曲。その完成度の高さが、現在の雨と理科室を際立たせているように感じる。

そして今回、2ヶ月と空けずにリリースする新曲は、「愛に恋」と題された雨と理科室には珍しいポップラブソング。モロが書く詞は女性目線で、どうやら未来のビジョンも愛情の深さも違う彼に対して、彼女が一人相撲をしている印象がまぬかれない。しかし後半、未練をサッパリ断ち切るように彼女は新しい現実に歩み出していくのだ。この急展開、リスナーの属性次第では聴こえ方が違いそうで面白い。バンドアレンジもストレートなギターロックから、ちょっとスラップスティックなカウパンク調が顔を出したり、ユーモアを感じるフックも用意したりして決して悲劇的にならないのもいい。

今年だけでも1曲ごとに違うテーマを違う音楽性で形にしてきた雨と理科室。バンドシーン以外にも届く可能性を今、感じ始めている。

RELEASE INFORMATION

New Single『愛に恋』

2024年10月16日(水)リリース
〈雨と理科室〉

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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雨と理科室(あめとりかしつ)

大阪北摂発ロックバンド。メンバーは、モロ(Vo./Gt.)、キグチサトル(Dr./Cho.)、磨見隆磨(Gt./Cho.)。2020年8月に活動を開始すると、ラジオでの楽曲放送や地上波テレビCMへの楽曲起用など、数ヶ月で各メディアから注目を集める。 活動2年目にしてandropと共演し、さらに<TOKYO CALLING>の出演オーディション関西編にてグランプリを獲得。<TOKYO CALLING><MINAMI WHEEL>といったフェスに出演し、ライブバンドとしても着実に力をつけている。

浮遊感を覚える中性的なハイトーンボイスと、キャッチーかつ繊細な楽曲が特徴。優しさの中に力強い演奏が加わることで、迷いながらも前に進む人を支えていく。
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