新東京が創り出す知的好奇心を刺激する作品。リスナーに“次元の超越”を体験させる巧みな仕掛け

Interview

文: Mai Kuno  写:遥南 碧  編:riko ito 

テーマを設けてインタビューやコラム、プレイリストを掲載していく特集企画。2024年10月/11月の特集テーマは“Our Beloved Tokyo ―私たちが愛する東京―”。洗練された都会的なサウンドを生み出すギターレスバンド・新東京がカバーに登場。特集テーマにちなんで、メンバーが抱く東京へのイメージや東京の暮らしを象徴する楽曲について伺いつつ、10月30日にリリースしたEP『新東京 #5』のコンセプトや楽曲に込めた思いについてたっぷりと語ってもらった。

急速に進化する科学や技術に対し、私たち人間の思考や感性は進化しているだろうか? AIが活用されるようになり、人間を上回る知性が誕生する転換点=シンギュラリティが到来するという話も現実味を帯びてきたような気がする。

そんな時代に、音楽でもって感性や思考の進化を促すバンドが新東京だ。ギターレスというバンド編成、都会的なサウンド、知的好奇心を刺激するコンセプトで今J-POPシーンに新たな風を吹き込んでいる。

今年2月にリリースした初アルバム『NEO TOKYO METRO』は、全曲書き下ろし曲で構成され、アルバムとしての作品性を追求した傑作として注目を集めた。そして、10月30日にリリースされた新EP『新東京 #5』は、これまでよりも挑戦的に感性を揺さぶるサウンドと理論的に構成されたテーマを携えた、心も頭も満たしてくれる作品。リスナーがいる次元を“n”と仮定し、楽曲を聴くことでn-1次元・n次元・n+1次元という3つの次元の境界を超越させるようなギミックを施した収録曲「n+1」をはじめ、聴き手に思考することを促すような全4曲を収録している。11月22日(金)にZepp Shinjukuで行われるワンマンライブ<NEOVERSE>と合わせて今まで以上に刺激的な体験になるはずだ。

今回は“Our Beloved Tokyo ―私たちが愛する東京―”という特集テーマのもと、メンバーが抱く東京へのイメージと共に、さらにその先にある新しい世界を彼らと一緒に想像してみよう。

「Cynical City」こそが僕らにとっての東京

ー東京という街について、東京出身の杉田さん、保田さんはどんなイメージを抱いていますか。

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杉田春音(Vo.):

バンドの世界観にも通ずるんですけど、排他的で冷たくて冷笑的な部分を感じながら東京で生活しています。
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保田優真(Dr.):

今住んでいるエリアで飲みに行くと仲良くしてくれる人もいるので、僕は意外と温かくて人の繋がりがあるのかなと思って楽しんでいます。
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杉田春音(Vo.):

え、めっちゃ逆やん(笑)。

ーでは、上京組の田中さん、大蔵さんはどうですか。

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田中利幸(Key.):

いい意味でも悪い意味でもみなさん他人に興味ない感じがしますね。電車に乗っていても誰も他人のことなんて気にしていないし、好きな服を着て、いろんなことをしていて僕的には生きやすいかなって思いました。
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大蔵倫太郎(Ba.):

自由だし、遊ぶところもたくさんある。賑やかで楽しいところだなと思っています。

ーそんなみなさんの東京での暮らしに寄り添ってくれた曲やアーティストは?

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杉田春音(Vo.):

僕は、KIRINJIが描くミクロの視点の人間関係、感情の移り変わりの描写が好きですね。さっき“排他的”とは言ったんですけど、東京も近づいた視点で見るといろんなところにドラマや人との関係性があったりする。そういう二面性に気づけたのはKIRINJIの曲のおかげです。特に「エイリアンズ」は街の排他的な部分と対比されるように、密接な人間関係を表している曲だなと思います。
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保田優真(Dr.):

僕はceroですね。高校生の頃に聴き出してから、ずっと好きなアーティストなんです。高校・大学から今までって人生が一番動く時期じゃないですか。その時期を東京で生きてきたので、電車に乗りながら、歩きながら、いろんなところで聴いてきました。特に「街の報せ」がすごく好きです。街の日常のさりげない美しさに気づかせてくれる曲で、「このときこういうこと考えてたよな」「ここでこんな思い出あったな」って今でも思い出しますね。
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大蔵倫太郎(Ba.):

僕はAna Roxanne(アナ・ロクサーヌ)というアンビエントのアーティストです。東京に来てからアンビエントを聴くようになったので。彼女を知ったのは最近ですが、海沿いの街出身で、曲にも海の音が入っていたりするんですよ。東京も好きですけど、自然も好きなので、最近はAna Roxanneの曲を聴いて海を感じています。
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田中利幸(Key.):

僕は「Cynical City」です。新東京で最初に作った曲であり、僕らにとっての東京に対するイメージでもあります。静岡から上京して大学へ入学して、でもコロナ禍で全然大学には行けなくて…って時間を東京で過ごしていたんですけど、そのときに抱いてた東京の混沌としたイメージが音楽になっているんです。今でもたまに聴き返すんですけど、この曲を聴くと東京に対する最初の印象を思い出しますね。

ーなるほど。みなさんの中にさまざまな東京の景色がありつつも、やはり「Cynical City」という曲が全ての景色を繋げている感じがします。2021年にこの曲がリリースされてから、3年。今年は初のアルバムもリリースされましたが、バンドのキャリアにも大きく刻まれる作品になったのではないでしょうか。

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杉田春音(Vo.):

そうですね。過去の人気曲をいっぱい入れるような形ではなく、テーマに即して全曲書き下ろしたので、10曲のアルバムとして意義があるものを作れたという自負があります。新東京の独自性も出ているので、自分たちが積み上げてきた新東京らしさみたいなものが綺麗な形になっていることにすごく感動を覚えました。
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保田優真(Dr.):

セットリストにアルバム曲が加わったことで、“前まではこの曲がなかったからできなかった繋ぎ”をライブで入れられるようになったんです。そのおかげで、アレンジや曲間の繋ぎがどんどん熟成されて、一個一個のライブが鋭くなっていると思います。

ーライブごとに進化がある?

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保田優真(Dr.):

そうですね。でも、まったく違うことをやるというより、同じ枠組みの中でどんどん違うフレーズになって熟成され、質の高いものになっているイメージです。
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田中利幸(Key.):

僕もアルバムの存在は大きいと思います。新東京というアーティストの意義を見直して作ったアルバムだったので、僕らはより一本芯の通ったバンドになったんじゃないかなって思います。

ーそんな作品をリリースした今年はみなさんにとっても特別な変化の年になりましたか?

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杉田春音(Vo.):

始まってからずっと変わらず駆け足でやってきたので、“今年が特別”という感覚はなくて、“これまでの積み重ね”という感覚ですね。常に “背伸びしてでも挑戦していこう”というマインドなので。

最新EPの細部まで宿るテーマとリスナーに思考を促すギミック

ーそんなまだまだ新しいことに挑戦していくバンドの姿勢が映し出されたような新EP『新東京 #5』が10月30日にリリースされました。11月22日に開催されるZeppP Shinjukuでのワンマン公演に向けて制作されたそうですが、今作のテーマを教えてください。

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杉田春音(Vo.):

テーマは“メタ”。聴き馴染みがない人もいるかもしれませんが、「次元」や「上位存在」を表す考え方のことです。メタを中心に樹形図を広げてさまざまな概念に触れ、それを音楽に落とし込むことから始まりました。
 
普段してる“決断”ってみんな自分らしさを体現するために、自分の感覚や感情で選択しているかもしれないけれど、そう仕向けている上位存在は絶対この世界やマーケットにいるわけです。そこに気づかずに生きているのはなんだかなと思うので、 例えば「n+1」は“自分の本質”と“そうさせられてるモノ” を意識することで、「自分を覗き込んでいる一つ上の次元を想像して生きませんか?」と提案するような作品になっています。

ー今のメッセージをダイレクトに伝えているのが、1曲目「New Dimension」ですね。MVはVRゴーグルをつけたサラリーマンと最後に動き出す時計が印象的でした。

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田中利幸(Key.):

あのMVではVRゴーグルをつけてる状態を現実逃避的な意味で捉えていて、それを外すことで現実に戻ってくるんです。逃げていた時間を世界が止まっている状況と表現し、時計を直すことでもう一度世界を動き出させる、この現実世界で生きていく、といった決意みたいなものを比喩しています。

ーメタというテーマを表すためにVRゴーグルが効果的に使われていますよね。そのアイデアの元となったのが「トルコの酪農家が牛にVRヘッドセットを装着して広大な草原を見せることでストレスを軽減させ、牛乳の生産量を増やしたというニュース」なのだそうですが、どんな流れで今回のテーマが固まっていったのでしょうか?

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田中利幸(Key.):

そもそも、大蔵がメタをテーマにした小説『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』の話をしてくれたのがすごく面白くて、そこから次のEPのテーマにしようとなったんです。しかも、そのときにZepp Shinjukuでライブをやることが決まっていて、ZeppはZeppelinという飛行船が由来のライブハウスなので、その近未来感を融合させて、音もハイファイな曲を作りたいなと思って。そことメタというテーマが合致してEP全体の方向性が決まりました。

ー牛のニュースが出発点ではなかったんですね。

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田中利幸(Key.):

牛の話は高校生の頃にニュースで見て、すごく印象に残っていたんです。「人間本位で牛乳の消費量を増やすためだけにそんなことをしていいのか?」「牛の本当の幸せってなんなんだろう?」と考え始めてから、最終的に「ひょっとしたら僕らもVRゴーグルをつけているのかもしれない」というところまで広がっていきました。そのときの思考と今回のテーマが重なっていきました。
 
今回のジャケットは僕らが牛に対してn-1次元を見せているようになっていて、その中で僕だけがカメラ目線になって“n+1の次元(ジャケットを見ている人が存在すること)に気づいている”状態なんです。そう見せることで、ジャケットを見た人たちが自分の上位存在に気づいてくれるかもしれない。そうやって帰納法でメタを明かしていくイメージですね。
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杉田春音(Vo.):

制作物としてジャケットに写っている4人の中で、一人だけこれがジャケットであることに気づいていて、現実世界を見透かしている。これが、次元の超越なんです。

ー作品に関わる細部にまでテーマが行き渡っているんですね。

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杉田春音(Vo.):

メタをテーマにしたときに、消費者であるリスナーを巻き込んでどこまで面白いことができるかという議論を活発にしていたんですよね。

そこで生まれたのが、“グッズやCDを鏡面のもので作る”というアイデアでした。鏡面であれば、消費者、鑑賞者側が製品をとって鑑賞しようというベクトルが向いたとき、映るのは自分の顔になる。それはメタというテーマに対してすごく示唆的な要素だし、ちゃんと体験してもらえるから、作品のテーマに引き込めるなと思って。
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田中利幸(Key.):

Zepp Shinjukuのポスターは牛目線になっていて、VRゴーグルを取った状態を表現しています。外には自分が生み出した牛乳がたくさん並んでいるんです。このポスターとジャケットで今回のテーマを視覚的に表現していたんですけど、それだけじゃ多重構造として物足りないなと思い、さらに鑑賞者のいる次元を映し出す鏡というものにフォーカスを当てました。
 
というのも、僕たちが生み出しているのは全てn-1次元の創作物であって、どこまでいってもただの創作物だから、それが自分たちに何か直接的な影響を及ぼすようなことはないんです。でも、鏡にすることによってあくまで創作物だったものが、現実世界の自分たちと同じ「n」を常に写し出すことになる。n次元にいる僕たちにも、n+1次元への何かヒントを与えるような仕組みかなと思いました。

“心地いい”止まりの音楽じゃなくて、何か訴えかけるものであってほしい

ーメタというテーマから、どのように各曲のテーマを作られていったのでしょう?

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杉田春音(Vo.):

1曲目「New Dimension」と3曲目「Mirror」は最初から必要なパーツだと思っていて、あと2曲をどうするか春音と話していたんです。そこで「誰もが表現者になることを厭わない」という前回のアルバムのコンセプトを踏襲してみようとなって。「表現者になる前の自分と、なった後の自分ってこんなにも違うんだ」とわかれば、表現者になった自分は過去の自分をメタ的に見ることができる。そう思ったときに春音の自伝みたいな感じで、「Cynical City」で歌ったこと自体をテーマにすればいいだろうということで、2曲目の「This Reality」ができました。
 
4曲目の「n+1」は全体を俯瞰して、前の3曲をまとめている曲ですね。また、「自分が何か創作物を見ているときの評価軸は、意外と揺らいでない?」と問題定義をすることで、グラグラに積み上げられた虚像が背後から狙ってきていることを表現したいと思いました。

ーどの楽曲もさまざまな視点からテーマが作られていますね。それらを楽曲として表現するにあたり、苦労した点はどんなところでしょうか。歌詞の作り方に関してはどうですか?

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杉田春音(Vo.):

作詞に関しては、意外と前作のアルバムと似たテンションです。例えば「こういう問題があるよね」「こういう見方をしたときは…?」ということを、僕たちだけで話し合っていてもあんまり面白くなくて。リスナー全員、ひとりひとりが関係している問題なので、俺たちの渦にどんどん引き込んでいきたいという気持ちがあるんですよ。
 
だから、「なんか難しいこと言ってんな」「変わったことやってんな」だけじゃなく、「いや、君にも関係あるから!」という気持ちですね。こんなことを言ったら偉そうだけど、「こういう見方や考えもあるよ」ということを提示したいし、そこに琴線が触れる人はついてきてほしいなと思うんです。聴いていて“心地いい”止まりの音楽じゃなくて、何か訴えかけるものであってほしいという祈りを込めていつも歌詞を書いてるので、そういうものが一人でも多く伝わったらなと思っています。
 
ただ、 “メタ”を音楽の形でアウトプットするのはなかなか難しくて、すごく悩みました。映画ではよくあるんですけどね。

ーでは、楽曲としての表現で工夫した点はどんなところでしたか?

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杉田春音(Vo.):

「n+1」の曲中に出てくる語りかけの部分。このギミックは、聴いているリスナーの状況を見透かしながら語りかけることで、「n-1からnへのベクトル」を表現しようという考えから取り入れました。だから、リスナーが語りかけられたことに驚いたり、何か反応を示したりしていることに対して、「n-1からこういうベクトルがあることって想定外ですよね。ごめんなさい」と謝っているんですよ。そうやってドキッとさせたくて。
 
だって、リスナーは「今自分が上の次元にいる」って信じきってるじゃないですか?「この曲自体が、今の自分の状況を表現しているんだ!」って気づくような仕掛けがほしかったんです。
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大蔵倫太郎(Ba.):

実はあの語りかけは僕のバージョンの案もあって。夜中にレコーディングスタジオに呼ばれて、ボーカルレコーディングブースでリスナーに話しかけるいろんなパターンを録ったんです。でも全部ボツになりました(笑)。

ー大蔵さんが入れたのはどんなセリフだったんですか?

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大蔵倫太郎(Ba.):

「靴下の色を褒める」というパターンがありましたね。なるべく具体的なほうがびっくりするんじゃないかってことで。あと「音が小さいからもっと上げて」とか。
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田中利幸(Key.):

全部即興でやったんですよ。考えすぎると良くないからどうやったら一番自然にしゃべれるか、大蔵が来る前に3人で考えて(笑)。
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大蔵倫太郎(Ba.):

めっちゃ気難しいやつだと思ってるじゃん(笑)。
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一同:

(笑)。
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田中利幸(Key.):

いやいや、自然にしゃべってもらうためにはたくさんの準備が必要だなって思っただけだよ!

ーその結果、大蔵さんはボツに…(笑)。

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大蔵倫太郎(Ba.):

自然じゃなかったのか…。
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田中利幸(Key.):

自然過ぎたのかもしれないです(笑)。

より新しく自由になった近未来的なサウンド

ーサウンド面ではいかがですか? 先程「近未来感を融合させて、音もハイファイな曲を作りたいなと思った」とおっしゃっていましたが。

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杉田春音(Vo.):

アルバムがこれまでの新東京を踏襲したものになっていたので、今作は新しいサウンドで、これまでやったことない演奏や奏法に挑戦しようと意識しました。
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大蔵倫太郎(Ba.):

例えば、ベースはパームミュートでベロシティをすごく低く弾いて、とにかく耳の近くで聴こえるような、飛び出てるようなサウンドをイメージしてミックスしました。
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田中利幸(Key.):

「New Dimension」の最初のベースのタッピングと僕のキーボードのユニゾン部分も新しいかな。アレンジも、これまで「サビ前では必ず止める」「2サビ前は止めない」とか、“新東京の形式”みたいなものがあったんです。そういった様式美を追い求めた作り方もするんですが、今回は全部取っ払って作りました。そういう今までやってこなかったアレンジが随所にあると思います。
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保田優真(Dr.):

ドラムでいうと、「Mirror」にドラムソロのセクションがあるんです。ライブで即興でやるソロとは違うので、静かなときに聴いてもいいと思えるフレーズを目指しました。とはいっても、ライブでやることが前提なので、ライブでどうなるのかも注目してほしいです。それに、音源として曲中にドラムソロがある曲ってあんまりないので、僕らの「別に好きなことやっちゃうぜ!」という姿勢が出せたかなと思います。

ー挑戦的な音作りとポップなメロディを合わせるのは、バランスをとるのが難しくなかったですか?

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田中利幸(Key.):

今回はサビメロをこれまでの新東京のようにキャッチーに寄せすぎず、もっとコンセプトや楽曲の雰囲気に寄り添ったラインにしようと思ってました。最初はとっつきにくいかもしれないけど、聴けば聴くほど味が出るはずです。

ーテーマと合わせてサウンドでも違和感を出すためのリズムや和音を取り入れていたのかなと深読みしていたのですが、サウンドは全体的に自由な感じだったんですね。 

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田中利幸(Key.):

そうですね。ただ、フックになる部分を作ろうということは意識しました。例えば「This Reality」の2番のBメロのキックのツインペダルの連打とか。

ーなるほど。では、最終的に目指していた近未来感には近づけました?

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田中利幸(Key.):

はい。特に「New Dimension」「n+1」はハイテクだよね?
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大蔵倫太郎(Ba.):

うん。

ー「n+1」はクラブミュージックからのアプローチに近いものを感じました。

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田中利幸(Key.):

新東京としては16ビートの四つ打ちってあんまりやったことなかったんですよ。というのも、常日頃から変なビートばかり作っているから。だからこそ、今回はあえてただの16ビートでいこうという話になって、合わせてベースもストイックな1コードのスラップにして、そのストイック感が一つのテーマになって何度も出てくる作りですね。

ー作り自体がダンスミュージックに近づいたんですね。それぞれのチャレンジが各曲にあるかと思いますが、特に気に入ってる曲や思い入れのある部分など教えてください。

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杉田春音(Vo.):

僕は「Mirror」が一番好きですね。手前味噌ですけど、自分のプレイリストにも入れて聴いているんですよ。冒頭のパンパンパンパンって音はベースかな? タブラみたいな太鼓の音に聴こえるけど…。
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大蔵倫太郎(Ba.):

これはベースのパームミュートで音がポコポコしてる。
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杉田春音(Vo.):

ツツツって音はドラムだよね?
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保田優真(Dr.):

ここはドラムはないよ。
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田中利幸(Key.):

これもベース。
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杉田春音(Vo.):

そうだったんだ。この繊細な音が曲の世界観と合っていてとても好きでした。
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大蔵倫太郎(Ba.):

僕はレコーディングの思い入れ的に「This Reality」ですね。これまでの楽曲はレコーディングのとき「弾くぞ!」「オラ!」っていうテンションだったんですけど、この曲はベロシティが低いのもあって音色にこだわって時間をかけてRECしたんです。でも、僕が本当に好きなのは「n+1」みたいな「かかってこい!」という気持ちにさせてくれる筋トレ的な曲なんですけど(笑)。

ー「This Reality」はとても大人っぽい曲に仕上がっていますよね。

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大蔵倫太郎(Ba.):

ミュートした状態でベースの音色感を聴かせるような曲は今回が初めてなんです。あんまり馴染みがないけど、本気でやったことないタイプの奏法だったので、勉強にもなったし、いいものができたなと思います。

ー雰囲気を引き立てていると思います。保田さんはどうですか?

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保田優真(Dr.):

僕はやっぱりドラムソロがあった「Mirror」が一番印象深いんですけど、単純にリスナーとして聴くのであれば「n+1」が好きです。かっこよすぎるなと思って。
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杉田春音(Vo.):

自画自賛だ(笑)。
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保田優真(Dr.):

メロディとサビの拍子のおかしい感じから、近未来の都市を走り回っている情景が思い浮かんで、その気持ちよさが残っています。
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田中利幸(Key.):

僕は、歌詞でいうと一番好きなのは《お聴きいただきありがとうございます》だな。初めて春音からアイデアを聞いたとき、やらない理由はないなって強く賛成したから。

ー今作にとっても一つのゴールであるワンマンライブの開催が迫っていますが、どんなライブになりそうですか?

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杉田春音(Vo.):

これまで以上に大きな会場になって、LEDビジョンもあって会場も広いので、それに負けじと僕らでもいろいろな道具を作っています。
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大蔵倫太郎(Ba.):

DIYで大道具を作っているんですよ。
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田中利幸(Key.):

半分が僕の家にあって、半分が保田の家にあって。
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保田優真(Dr.):

ベッドの前に置いてるんですけど。デカすぎて、ベッドに行けなくて寝れません(笑)。
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田中利幸(Key.):

今までにないくらい演出も作り込んでいるので、もっともっとこだわって完璧なライブにしたいなと思っています。

ーでは、ワンマンライブの先に見据えている目標は?

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大蔵倫太郎(Ba.):

アジアツアーです。
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杉田春音(Vo.):

最近はアジアの国のイベントへ出演したり、逆に来日公演をされる方と一緒にライブをすることが増えてきたので、音楽でたくさん友だちを作りたいですね。言語の壁はありますが、音楽で繋がっていい関係を築き、お互いの国で音楽を届けられるようなサステナブルな関係を作りたいです。今度、中国や韓国にいる仲のいいバンドが東京に来る予定なんですよ。

ーアジアへ出ていくにあたり、みなさんが示したい “新東京らしさ”ってどんなところですか?

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田中利幸(Key.):

常に新しいことに挑戦していくところですね。そのためには、音楽でも、テクノロジーでも何でも、新しいものに手を出さないと意味がないかなと思っています。リバイバルで流行るものもあるけど、ただそれに乗じるだけじゃなくて、新東京として新しいものを提示していきたいです。

RELEASE INFORMATION

新東京 New EP『新東京 #5』

2024年10月30日リリース

Track List:
1.New Dimension
2. This Reality
3. Mirror
4. n+1

▼各種URL
https://nex-tone.link/A00165712

LIVE INFORMATION

ONE-MAN LIVE “NEOVERSE”

2024年11月22日(金)at 東京・Zepp Shinjuku
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET:ADV. ¥4,500(+1D)

Present Campaign

新東京のサイン入りチェキを3名さまにプレゼント。応募方法は、DIGLE MAGAZINEのXアカウントをフォロー&上記の投稿をリポストするだけ。

※締め切り:2024年12月6日(金)18時まで

【注意事項】
・チェキは3枚の中からランダムで送付いたします。
・当選のご連絡に対して48時間以内に返信がない場合は、誠に勝手ながら辞退とさせていただきます。
・いただいた個人情報はプレゼントの発送にのみ使用させていただき、発送後は削除いたします。
・住所の送付が可能な方のみご応募下さい。また、発送は日本国内に限定いたします。
・フリマサイトなどでの転売は固く禁じます。

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新東京(しんとうきょう)

2021年結成の4人組ギターレスバンド。メンバーは、大蔵倫太郎(Ba.) 、田中利幸(Key.)、杉田春音(Vo.) 、保田優真(Dr.)。

リズミカルで洗練されたキーボードの旋律を中心に、テクニックに定評のあるベースとドラムが疾走感のあるリズムを刻む。そして、文学的なレトリックを含んだリリックを鮮明に表現する抜群の歌唱センスを持ち合わせたボーカル。メンバー4人の個性と、上品かつ鋭角なセンスとユーモアが交じり合い、都会的な新時代J-POPを鳴らしている。

独自のスタイルを貫きつつ、新時代ミュージシャンとしての新たな在り方を体現。2022年2月にはバンド組織を法人化し、新東京合同会社を設立した。さらに、2024年2月には、初のフルアルバム『NEO TOKYO METRO』を引っ提げ、全国6都市を巡る全国ワンマンツアーを開催。ファイナルとなる恵比寿LIQUIDROOM公演ではソールドアウトを果たした。また、2024年10月30日に最新EP『新東京 #5』をリリース。11月22日(金)には、東京・Zepp Shinjukuで<ONE-MAN LIVE “NEOVERSE”>を行うことが決定している。
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