何にも替えられない、自分だけの居場所と時間、人生ーーMaika Loubtéにとってのセルフラブとは?

Column

文: Maika Loubté  編:riko ito 

2023年10月より、毎月テーマを設けてインタビューやコラム、プレイリストを掲載していく特集企画がDIGLE MAGAZINEでスタート。今回の記事では、東京在住のシンガーソングライター/プロデューサー/DJのMaika Loubtéに、初回の特集テーマ“SELF LOVE”をテーマにコラムを執筆してもらった。Maikaにとってのセルフラブの解釈やカテゴライズされることへのプレッシャー、セルフラブを実践する助けになっているものとは。

私にとって、セルフラブとはなにか?

セルフラブについてのコラムのお話をいただいたものの、
いざとなると何を書いたらいいか分からなくなり、思考が停止。
そもそもセルフラブって、なに。
普段からコキ使ってるChatGPT-4に聞いてみた。
以下に一部を抜粋。

「Self love=(自己肯定感)」
「Self loveとは単に“自分が最高”と考えることではなく、
短所も長所も含めた自分自身の完全性を認め、
自分を健康的な自己評価で支えることです。」
「ありのままに生きること」「SNSで流行中」
「ナルシズム(自己愛)とは違う」「それがあれば人生が好転する」。

この文章を書きはじめて数分後、
登録してるBBCワールドニュースから不穏すぎる戦争のニュース。
しんど。しんど。
セルフラブ? 自己肯定感?
そんなこと言ってる場合なのかよ。
日常がどんなに尊く脆いものかってことを思うと、
そもそも自分を大切にしない瞬間があっていいのかよ。

向き合おうと思えば見渡すかぎりのカオス。
どうやって、自分の生活と心を守って、
サバイブしていくの?

セルフラブは、
「居場所」という概念にも近い気がする。

カテゴライズのプレッシャー

日本でよくいわれる“ハーフ”は長年、
どちらの国へ行っても異国人扱いされることから(私が幼少期だった頃は特に、)
無意識のうちに自分の居場所を作ることを意識するようになるという。
ピアノを弾いて、音楽を作ることで
10代のころは安心できる居場所を作ろうとしていたような。
ミュージシャンになった20代は、
「日仏ハーフ」「宅録女子」などのカテゴライズがあって。
自分はどこにも属せず本当に孤立している、と感じたり。
作品リリースを続けてきた現在は「居場所」をそもそも意識しなくなった。

セルフラブを実践する助けになっているもの

・(ちょっと前に、漫画でかじった)古典として知られる『徒然草』の中で
坐禅を組んでるお坊さんがこういうようなことを言っていた。

「自分がいるのかいないのか、分からなくなるくらいがちょうどいい。」

700年前の謎発言。それ、どういう感覚なのか。なぜだか気になった。
たしかに「自分」とか、存在なんて、忘れてるようなときがいちばん楽なのかも。

・私事ですが、1歳になる息子の存在はでかい。神様から預かってるこの子。パン生地のように柔らかい怪獣。世界がひっくり返るような感覚。育児の話に限ったことではないかもしれませんが、あまりにも光って眩しい相手と対峙して、我を忘れてしまえるときの幸せは尊い。日々、噛み締める。

・「光って眩しい相手と対峙する」といえば、そういう作品や人に触れること自体いいかも。自分にとってはバッハの音楽、いつ何時でも一筋の光になって、別の世界線へ連れて行ってくれるようなものがある。

おわりに

このコラムを書いて、
わたしは「自分」を忘れちゃうような、
音楽に没頭して、感化され、
やめられなくなってることをあらためて思い出しました。
その選択を取ったことも、セルフラブの一種だったのかな。

でもセルフラブできないと感じるとき、どうしよう。
今なんとなく思うのは、
自分だけが経験してるライフ、勝手に打ってる鼓動、
「流れている時間=唯一無二の音楽」のようなもので、
それに耳を傾けることができるのは、
自分しかいないから、ただそれを聴けばいいのかも。
決して誰かと混ざることがないから、他人の人生に触れたり、
愛しく思ったり、羨ましがったり、
自分の方がいいかもとか思ってみることでさえ、
生の一部で、美しいことなのかも。

RELEASE INFORMATION

ミニアルバム『mani mani』

2023年10月18日(水)リリース

1. Ice Age
2. Melody Of Your Heart
3. Ah-Uh
4. Inner Child
5. Rainbow Light Eyes
6. A+B=C
7. 眠mania

EVENT INFORMATION

Maika Loubté Solo Show「art of mani mani」

2023年11月16日(木)at 渋谷 WWW X

OPEN 18:00/START 19:00
チケット:ADV ¥4,000/DOOR ¥4,500/U-23 ¥3,000
(税込、All standing、1D代別)

Live Support:So Kanno from BREIMEN / Sountrive
Featuring Vocals:AAAMYYY / LISACHRIS / 鎮座DOPENESS

SNSで記事をシェア

SNSフォローで
最新カルチャー情報をゲット!

Maika Loubté(マイカ・ルブテ)

東京在住のシンガーソングライター/プロデューサー/DJ。幼少期から10代を日本・パリ・香港で過ごす。高校卒業後、ビンテージアナログシンセサイザーに出会い、本格的に電子音楽の制作に取り組むようになる。先進的なエレクトロニック・ミュージックを基軸としながら、テクスチャーをはぎ取ったオーセンティックな「歌」そのものを重要視している。

国内外のアーティストとのコラボレーションやサウンドプロデュース、CMへの楽曲提供、リミックス、ナレーションなど多岐にわたる活動を展開。「Show Me How」(2020年10月)がマツダの新型車『MAZDA MX-30』のテレビCMのコラボ曲として大々的にフィーチャーされ、自身もCMに出演した。

さらに2021年4月には、カンテレ・フジテレビ系火9ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の挿入歌「Ils parlent de moi feat. Maika Loubté」の仏詞と歌唱を担当。2022年1月には女性の持つパワーや可能性を最大限に引き出していくSpotifyのプログラム『SpotifyEQUAL』マンスリーアーティストに選ばれ、New York Times Squareの看板広告を飾った。

2023年10月18日には、「まにまに」という古語の言葉から着想を得たミニアルバム『mani mani』をリリース。同年11月にはワンマンライブ<art of mani mani>の開催を予定している。
閉じる