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2023年2月16日に配信シングル「Technology」をリリースした札幌在住の9人組ラップクルー・QUMO。精力的に楽曲制作を行う彼らは、昨年から隔週リリースを続けており、各種プレイリストに取り上げられるなど注目を集めている。
彼らの聴き心地の良いチルトラックと日常で感じる様々な情景や気持ちを落とし込んだリリックには、多種多様なメンバーが携わっているからこそ、必ず心にハマるポイントがある。
そんなクルーの首謀者はラッパー/トラックメイカーのNOIZE。あえて、それまで音楽経験やラップ経験のない地元の友人たちを集めて始めたこのクルーで、“本気の遊び”を体現しているが、その背景にはどんなストーリーがあるのだろうか。彼らの実態について、リモートインタビューで話を聞いた(※NIHONは欠席)。
BIG UP!
『BIG UP!』はエイベックスが運営する音楽配信代行サービス。 配信申請手数料『0円』で誰でも世界中に音楽を配信することが可能で、様々なサービスでアーティストの音楽活動をサポート。また、企業やイベントとタッグを組んだオーディションの開催やイベントチケットの販売や楽曲の版権管理、CDパッケージ制作などアーティスト活動に役立つサービスも充実している。
さらに、音楽メディアも運営しており、BIG UP!スタッフによるプレイリスト配信、インタビュー、レビューなどアーティストの魅力を広く紹介している。
▼official site
https://big-up.style
ーまずは皆さんの結成の経緯について、詳しく聞かせてもらえますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕がQUMOのリーダーで、このなかで唯一、10年以上音楽活動をやっています。周りの友達を巻き込んでこのクルーを作った張本人です。ー“友達を巻き込んでいく”という方法をとったのはなぜですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕はこれまで他のアーティストとのコラボや、グループを組むことをやっていたんです。でも、やっぱり音楽性の違いや活動の足並みが揃わないことが理由で長く続くことがなくて。どうしたらずっと長く一緒にできるグループを作れるんだろうなって考えたときに、「ラッパーを友達にするよりも、地元の友達にラップをさせるほうが早いんじゃないか?」って思ったんですよね。zerotorque(Rapper):
僕は元々ヒップホップが好きだったので、NOIZEのライブに聴く側として行ってたんです。普通にかっこいいなって思って観に行ってて。中学校からの友達なんで、そんな友達に「やろう」って誘われたらやるしかないなって感じでした。でも、そこから創作すること自体が面白くなってきたんです。「自分から出たものを相手に伝えるってどういうことなんだろう?」って興味を持って、今まで続けています。ARASHI a.k.a Nasty Tess(Rapper):
NOIZEは身近で音楽活動している友達で、かっこいいなって思っていた存在だったんですよ。で、僕はなんでも経験したい性格だから、あるときNOIZEのインスタで「やってみたいやついる?」っていうストーリーを見て、「できるならやってみようかな」と思って軽い気持ちで返信しました。Ballan Zakk(Rapper/Beatmaker):
俺もNOIZEとは中学校の同級生で、ラップを始めたのはここ2〜3年ぐらいです。これを機に色んなことに興味を持ち始めて、たまにビートメイクもするんですけど、まだまだ至らないので採用されたことは1回ぐらいしかないです(笑)。ー地元の繋がりが強いんですね。
calico(Rapper):
僕はNOIZEと高校の同級生なんですけど、当時はそんなに深いつながりはなくて。卒業後、偶然職場で再会したんですよ。僕は元々スケートボードをやってたし、NOIZEは音楽をやっていて、共通のツールとしてヒップホップがあったんです。そこから仲良くなって、週4〜5、下手したら6〜7くらいで遊んでましたね。ー職場でそんな友人に出会えるなんて最高ですね。
calico(Rapper):
でも、最初こいつ「俺のこと覚えてる?」って聞いたら「誰だお前、知らねえよ」って感じだったんですよ(笑)! ヒップホップを通じて仲良くなれてよかったです。ーそして、同級生だけでなく後輩にもその輪は広がっていくという。
MunOu(Rapper):
僕はgEdOuくんと今日いないNIHONくんとよく遊んでいたんです。2018年ぐらいに、gEdOuくんに誘われて遊びでラップを始めました。そしたら地元の先輩であるNOIZEさんとzerotorqueさんに誘ってもらえて、そこに混ざっていったんです。gEdOu(Rapper/Beatmaker/Videographer):
僕は基本的にQUMOの動画や写真を担当させていただいています。あと、フックで参加することも多いですね。Chai(Rapper):
僕もNOIZEさんの中学校の後輩で、たまたま「こんな活動やってるんだけど、ちょっとやってみない?」って誘っていただいたんです。大学生の頃にアカペラサークルに入ってから音楽を始めましたが、QUMOに加入したのは僕が最後ですね。主にフックを作っています。ーメンバーにする基準は何か設けていたんですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕はずっとヒップホップをやっていたので、周りもヒップホップ好きな友達が多くて、音楽的な趣向は合う人たちなんですよ。あと、ARASHIの話にもありましたけど、挙手制で「やってみたい人いる?」って声がけをしたら手を上げてくれた人もいれば、本当に仲がいいから誘った人もいる。だから、音楽性や“こいつ上手くなりそうだな”っていう基準で選んだわけではないです。ーNOIZEさんはずっとソロでやっていくという選択肢はなかったんですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
ソロ活動もクルーみたいなのも何個か経験してきた上で、どちらの良さも悪さも見てきました。そのなかで良いとこだけを集めようと思った結果が、“友達にラップをやらせる”ってことだったんです。1人でも、アーティスト同士で組んでも成し得なかったものが凝縮された活動になるんじゃないかなって思って。ーなるほど。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
普通にラッパーの人たちって、友達に誘われて始めることがたくさんあるじゃないですか。だから、ヒップホップの界隈においては珍しいことではないと思うんです。でも、そういうのって私生活からアンダーグラウンドな人たちが多い印象じゃないですか? 僕らはみんな普通に働いていて、お利口さんでも金持ち集団でもなければ、めちゃくちゃゲトーな不良でもない。“普通の人たち”が友達とラップをやってるのが珍しいんだと思います。普通が故に、ある意味特殊なんですよ。ーグループとしては2021年12月に前身のグループから改名して今の“QUMO”となっていますが、そのきっかけは何かあったんですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕のなかで「グループにしちゃうと終わってしまう」って考えがずっと根っこにあったので、最初のほうは団体名を決めないでいたんです。誰が抜けても悲しくない、部活っぽい、サークルみたいな集まりだったんですが、次第に「RSZ」というサークル名がついた。僕らは主にDiscordでやりとりするんですけど、そのときには友達のさらに友達にまで声かけて、20人弱のメンバーがいたと思います。でも実際に活動を始めると、今日いないNIHONを含めた9人でだんだんメンバーが固定化されていって、なんとなく結束感が出てきたんです。そして、メンバー数名でお金を出して良い作品を作ろうって話が出たので、ここでグループとして新たに名前を変えて再出発しようと思いました。ー活動していくうちに、それぞれがクルーとしての意識を強く持つようになったのでしょうか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
そうですね。でも、つい最近まで僕もわかってはいなかったんです。未だに僕は「僕の遊びに付き合ってもらっている」と感じていたんですけど、先日メンバーで飲み会をやったときにみんな意外と熱い想いがあったりして。みんな意思が固まってきたんだなって感じています。ーBallan Zakkさんは、結成当初と今で気持ちの変化はありましたか。
Ballan Zakk(Rapper/Beatmaker):
フワッと始まったけど、気づけば隔週リリースが始まったんですよね。はっきり「隔週リリースする」って言われたわけじゃないけど、みんなそれを感じてペース乱さず曲をリリースし続けている。僕はそれに引っ張られて楽しくなってきたんです。みんなそうやって緩やかに「QUMOとしてやっていかなきゃな」って気持ちになっていったと思いますよ。ーこのクルーで活動する上で大事にしていることはありますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
あまりストレスにならないほうがいいと思うけど、ダラダラやっていくのも違う。だから僕のなかでは“本気で遊ぶ”っていうコンセプトはあります。ずっと続けている隔週リリースを活動目標にして、そのなかでどれだけ自分達のクオリティを上げて、音楽という創作を楽しんでいけるか。そこが主軸にはなっているのかな。ーでは、QUMOというグループ名の由来を教えてください。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕らは“1 HEAD 8 LEGS CREW”って名乗り方もしていて、僕の手足となって動いてくれる8本の足の「蜘蛛」、さらに「雲」のような存在という意味を込めてます。考えたのはzerotorqueで、元ネタは『HUNTER×HUNTER』の「幻影旅団」っていう蜘蛛をモチーフにした集団です。zerotorque(Rapper):
「幻影旅団」も頭がいて、その足となるメンバーがいるんですよ。9人の「9=Q」、生き物の蜘蛛、形にとらわれない「雲」、色んな意味がかけ合わさってて良い感じだなって思ったんです。ー普段の楽曲制作はどうやって進めていますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕、gEdOu、Chaiが、フックやサビを作れたり歌が一応歌えるメンバーなので、その3人が基盤とした楽曲をDiscordにぽんぽん投げるんです。それに対して、僕が「じゃあこれはお前蹴ってくれよ」ってそれぞれバースを担当してもらって、リリックができてきたらうちのスタジオで録音しています。ーChaiさんはどうやってフックを作っているんですか。
Chai(Rapper):
基本的にフリーのビートをYouTubeから見つけて、そこにメロディを当てていきます。1人で曲の全部を作るわけではないので、しっかり曲のテーマやイメージを決めて、NOIZEさんにディレクションやメンバーの選定をお願いしてます。ーgEdOuさんはどうでしょう。
gEdOu(Rapper/Beatmaker/Videographer):
僕もYouTubeでビートを見つけて、そこへ宇宙語で口ずさんだものを録音して投げてます。ーえっと……宇宙語?
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
gEdOuの宇宙語は一応言語としては日本語です(笑)。歌詞としては内容がない、口から出た意味不明な日本語の羅列みたいなものが送られてくるんです。でも、逆に無理やり解釈付けができたり、深そうに聞こえることもあって、逆にリリカルじゃんっていうことで採用することも多いんですよ。ーでは、QUMOのサウンド面で意識しているのはどんなことですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
影響を受けている音楽はみんなたくさんあるから、去年まではなんでもありでやってたんです。でも、最近はチル、シティポップみたいな聴きやすいものを目指していますね。ーそれは何か狙いがあって?
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
ガチガチの90’sヒップホップや攻めた曲が好きなメンバーもいるんですけど、2022〜2023年においてはあまりウケないなって思って。チルっぽい感じはみんな抵抗感なく聴けて共通して好きなんだっていうことが再生回数で見えてきたんです。gEdOu(Rapper/Beatmaker/Videographer):
僕が提供するときは、サブミットされて、プレイリストに入りそうな曲をイメージして作ってます。NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
みんなリリックを重視することが多いんですけど、gEdOuだけはパッと聴いたときに「これが良さそう」みたいなフィーリング、流行ってる感を曲にしてくれますね。ーでは、リリックを構成する上で意識してるものはありますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
QUMOとして2〜3年やり続けているので、メンバーの特徴はわかっているんですよ。gEdOuはあんまり内容のないリリックを書いてくるし、僕は割とバランス型のリリック。直接的な表現を書くメンバーもいれば、比喩表現が上手い人がいたり、乗せ方が上手い人もいて、9人もいれば色んなタイプのリリックが提出されてきます。だから、内容に関して指定しなくても、弱い部分を補い合ってトータルでバランスが良くなっていますね。ー先日リリースされた「Technology」は、どんな内容になっていますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
僕の友達が建築系の会社事業を行っていて、新事業を始めるに当たって「“今の時代、AIとか新しいテクノロジーに置いていかれたらダメだよね”って感じのテーマソングを作ってほしい」という依頼があったんです。だから、そのテーマとおしゃれな感じにしたいってことをChaiに伝えて、楽曲のベースを作ってもらいました。ーリリックを書かれたのは?
Ballan Zakk(Rapper/Beatmaker):
2バース目を書いているのは俺です。NOIZEから「三連符を多用してくれ」っていう指示が出たんですけど、俺はあまりトラップを聴いてなかったから三連符の乗せ方がわからなくて、5回ぐらいリリックを書き直しました。そのおかげで一皮剥けたとは思いますが、今までで1番体力を使った楽曲かもしれないです(笑)。ーNOIZEさんはそこにどんなこだわりがあったのでしょう。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
チルトラップみたいな聴き心地の良さを重視したかったんですよ。あと、今回僕からBallan Zakkさんを指名したんですけど、僕のなかで彼は器用さを持ち合わせていると思っていたんです。良くも悪くも個性的なメンバーがいるから、ある程度バランスをとってくれるメンバーもほしい。その1人として僕のなかでBallan Zakkさんが候補に挙がっていました。だから「お前ならできる」って話をして、納得いくまで書き直してもらいました。ー昨年から続けている隔週リリースは、グループにとって大きな影響があったと思います。そもそも隔週リリースを始めたのはどんな理由でしたか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
サブスクが定着しつつあった3〜4年ぐらい前は、曲を出しただけ利益になるわけではなかった。でもApple MusicやSpotifyが増えて、BIG UP!からリリースさせてもらえた頃からサブミットしてもらえたりしたので、定期的にリリースしたらどんどん成果が出るかもしれないなって感じたんです。僕がニコニコ動画の頃から一緒にやっていた同い年のRAqさんというアーティストも、同じくBIG UP!からリリースされていて、先に隔週リリースをやっていたんですよね。そこら辺は結構真似させてもらっていますが、RAqさんとは違う週の隔週にしてます(笑)。ー隔週リリースがメンバーの意識を変えていったという話もありましたが、最初からそれは狙っていたんですか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
最初はとりあえずやらなきゃっていう感じの目標でテキトーに始めました。クルーとして結成したけど、ストレスを与えても放置しすぎても離れていってしまうかもしれないと思うとバランスが難しいなって思っていたんです。ー今後どんな感じで活動していこうとか、こういうことしてみたいなとかってありますか。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
隔週リリースは続けつつ、ライブ活動はやりたいなと思ってます。あと、これは完全な妄想なんですけど、物販としてTシャツ的なものじゃなく、ちゃんとした製品を出していきたいんですよね。音楽と違うベクトルでみんなに提供できるものがあればなと思ってます。その2本柱になれば、他のアーティストと差別化できるんじゃないかなって。ー「QUMO」というブランドみたいなイメージですかね。
NOIZE(Rapper/Beatmaker/BIGBOSS):
そうですね。曲名にちなんだ香水を作りたいなって思ってます。まだメンバーの誰にも言ってないんですけど(笑)。メンバーみんな趣味が色々あるので、そういうのも生かしていけたらいいですね。ーこうやってクルーを引っ張っていくNOIZEさんは、メンバーから見てどんな存在ですか。
Ballan Zakk(Rapper/Beatmaker):
なんだかんだ言ってNOIZEにみんな感謝していると思いますよ。おかげで充実した人生を送れてますから。RELEASE INFORMATION
BIG UP!
『BIG UP!』はエイベックスが運営する音楽配信代行サービス。 配信申請手数料『0円』で誰でも世界中に音楽を配信することが可能で、様々なサービスでアーティストの音楽活動をサポート。また、企業やイベントとタッグを組んだオーディションの開催やイベントチケットの販売や楽曲の版権管理、CDパッケージ制作などアーティスト活動に役立つサービスも充実している。
さらに、音楽メディアも運営しており、BIG UP!スタッフによるプレイリスト配信、インタビュー、レビューなどアーティストの魅力を広く紹介している。
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