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文: 村上麗奈 写:藤咲千明 編:Miku Jimbo
都内ライブハウスやSNSを中心に活動するシンガーソングライターのほのんが、2024年1月31日(水)リリースの「減るもんじゃないからキスをした」で配信デビューする。
幼少期から音楽が身近にあったという彼女は、ピアノ、ギター、ボーカルなどさまざまな楽器を経験。20歳から弾き語りでシンガーソングライターとして活動を開始した。国内最大級のキャンパスミスコン<CampusAward2021>のファイナリストに選出され、大学卒業後の2023年8月には株式会社CUEIGHTが主催する<early Reflection × SHOWROOMオーディション>にてグランプリを受賞――一見すると順風満帆なキャリアに思えるが、受験の挫折による活動のストップや、バンドの解散などを乗り越えてきた。自身の弱さを克服するべく精力的に動いた結果が、今に繋がっている。
今回は、音楽の原体験や学生時代について、「減るもんじゃないからキスをした」制作背景、今後の展望など、ほのんの“これまで”と“これから”を追う。
ーまずはほのんさんが音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。
きっかけと言うと難しいんですけど、幼い頃から車や家の中ではいつも音楽がかかっていたり、音楽が常に身近にあったんです。4歳の頃から中学生くらいまではピアノを習っていましたし、小学生のときには合唱団に入っていたりもしました。
ーご家庭では、例えばどんな音楽を聴いていたんですか?
小さい頃は洋楽もよく聴いていました。父の仕事の関係で海外に行くこともあったんですけど、その頃は特に洋楽を聴いていましたね。
ーほのんさんの音楽活動のルーツとなっているアーティストを挙げるとすると、どのような方が挙がるのでしょう?
小学生の頃に一番憧れていたのは絢香さんです。中学では軽音部に入ったんですけど、そこからはバンドをよく聴くようになって。特にONE OK ROCKはずっと好きでしたし、TAKAさんの影響は大きいと思います。あとはサザンオールスターズは両親が好きで、よく聴いていて。初めて足を運んだライブがサザンのライブだったんですけど、そのステージのインパクトもとても大きかったですね。
ー中学生の頃からはギターを始められているとのことですが、ギターはどんなきっかけで手に取ったんですか?
中学の軽音部でアコースティックギターを弾き始めました。曲ごとに楽器をローテーションする変わった部活だったんですけど、その部活でベースとキーボードとギターとボーカルを5年間やってましたね。
ーいろんな楽器に触れてきたんですね。
そうですね。
ーその後、20歳頃からシンガーソングライターとして活動し始めています。シンガーソングライターとしてやっていくことは中学時代から漠然と考えていたんですか?
そうですね。中学時代から歌手という職業にすごく憧れていました。
でも大学1年生のときに少し挫折をしてしまって、音楽や歌から離れた時期があって。というのも、大学受験の前、第一志望の大学に入れたら好き勝手にするという宣言を家族にしていたんですけど、第一志望に行けなくて。そこでいろんなことを諦めなきゃいけないというモードに入ってしまったんです。第一志望の学校に行けなかったことを言い訳にして、好きなこともやりたいこともやらなかった。今までで一番駄目だった1年間だったんですよね。でもONE OK ROCKのライブに行って、「自分のやりたいことはやっぱり諦められない」と思って。それがきっかけでくすぶっていた時期を乗り越えて、弾き語りや曲作りをするようになりました。でも前向きになった頃にコロナ禍になってしまって、活動の幅も狭まってしまったんですよね。それで配信を始めたという流れです。
ー動き始めようと思った頃にコロナ禍がかぶったにも関わらず、配信という形で動き続けたのは素晴らしいですね。特に2020年は先が見えない時期でもあったかと思いますが、モチベーションをどのように保っていたのでしょう?
ミスコンのようなオーディションをきっかけに配信を始めたんですけど、そのオーディションが長期のものだったんです。私はやると決めたら結構突っ走るタイプなので、すごくそれに打ち込んで。「とにかく頑張る!」みたいな感じでやれたので、あまり揺らぐことはなかったですね。そのオーディションが終わった後は、長い期間頑張れたことが自分の中で自信にもなって。それは続けていくモチベーションにもなりました。
ー部活ではバンド形式でも活動されていたとのことですが、将来バンドとして活動していきたいと考えた瞬間はなかったのでしょうか?
ありました。大学3年生のときにバンドを組んだんですけど、それぞれの進路などもあって続けていくことが難しくて、すぐ解散してしまったんです。いつかはやってみたいですね。
ー現在は大学を卒業されたとのことですが、本格的にシンガーソングライターとして生きていくことを決めた瞬間はあるのでしょうか?
配信を始めたあたりには決意をしていましたね。あとは大学とダブルスクールで養成所みたいな場所に通っていたんですけど、そこの規約の問題で就職活動ができないことになっていたんです。そこでも二段階目の覚悟を決めた感覚がありました。
ーそして2023年の夏には、次世代音楽アーティスト発掘プロジェクト<early Reflection × SHOWROOMオーディション>でグランプリを獲得されています。この企画に応募しようと思った理由というと?
20歳の頃にライブ配信を始めてから、音楽関係のオーディションはいろいろ受けてきていたんです。今回のオーディション企画も人から聞いて知って、一歩前進するきっかけになればいいなと思って参加しました。
ー活動を始めた際のエピソードを伺っていても感じましたが、ほのんさんは積極的に行動を起こす方なんですね。
そうですね。それこそ20歳くらいを機に変わった部分だと思います。
ーそうなんですか?
それまでは動きたい気持ちはあるんですけど、あまり行動が伴ってなかったんです。流されてしまう部分があったというか。でも20代になってからは「自分で決めないと何かのせいにしちゃうな」と思うようになって、自分の悪い癖を直したくて意識して自分から動くようになりました。
ーその結果グランプリに選ばれたという結果が伴っているのは素晴らしいですね。グランプリに選ばれた後、変化を実感したことはありますか?
大きく変わったことはあまりないですが、積み重ねてきたものが一つ結果に繋がったという嬉しい気持ちが大きいですね。配信でのオーディションって本人だけが頑張ってもどうにもならないんです。私が20歳だった頃に見つけてくれてずっと応援してくれてる方とか、配信をしていく中で新しく見つけてくれる方とか、そういう方が少しずつ増えていってやっとグランプリという分かりやすい結果に繋げられたのかなと思っています。それがすごく嬉しいですね。
あとは歌手になりたいという目標はずっと持っていましたけど、これまでは結果に繋げられたことがなかったので、夢が漠然としていた気がするんです。でも今回グランプリをいただけたことで夢にたどり着くまでの過程が見えてきたというか。具体的にビジョンを立てていけるようになったので、それは変化だと思います。気合いが入りましたね。
ー配信で活動していると、ライブよりもファンの方との距離感も近く感じることができそうですね。
そうですね。配信は毎日のようにやっていますし、日常の一部みたいな感覚でもあるんです。長く見てくれているファンの方は特に、近い距離感で応援してくれていると思っています。音楽を届ける上でも、聴いてくれる人に近い存在であるというのは大事にしていきたいと思っていて。もちろん今後有名になっていきたいですし、多くの人に音楽を届けてより大きい会場で歌いたいと思っているんですけど、そうなったとしても聴いてくれる方の近い存在にいるという気持ちは変わらないでいたいなと思っています。
ー今回の新曲についても聞かせてください。「減るもんじゃないからキスをした」はどんな経緯で書かれた曲なんですか?
結構ふわっとできた曲ではあります。日常的に同世代の人と話すことが多くて恋愛の話もよくするんですけど、その話を聞いて思ったことを反映させたりしています。期待と諦めという相反する感情が入り混じっているのを曲にしたいと思って書いた曲です。
ー友人と話している際に曲の構想が浮かぶことも多いんですか?
そうですね。人の話を聞いていると共感することもあれば驚くこともあるので、そこで改めて強く思うことや新しく発見したことを音楽にしたりします。でもそれだけじゃなくて、私は分かりやすく伝わるように話すのが苦手なので、口に出せずに溜まった感情を歌を通して伝えることもあります。歌だったらストレートでもいいかなと思うので、自分の感情を消化するためにも使っていますね。
ー「減るもんじゃないからキスをした」には〈こだわりはないけどわがままでいたい〉というフレーズがありますが、これはほのんさんご自身ともリンクしているのでしょうか?
そうですね。私はその場に合わせたり人に合わせたりするのが苦痛ではなくて、相手が良いほうで良いかなと思うタイプなんです。ただ心の中では意思がはっきりあるとも思うので、流されていたいだけではないというか。流されるのも嫌いではないけど、曲げたくないところは絶対に曲げたくないみたいな性格なんです。そういう性格が反映された歌詞なのかなと思います。
ー曲げたくないところへの気持ちの強さが音楽活動にも活かされているのかもしれないですね。「減るもんじゃないからキスをした」の制作で、サウンド面でこだわった部分はありますか?
アレンジはお願いしてやっていただいたんですけど、1stシングルということもあって、歌詞は生々しくて棘もありつつ、でもポップで明るい気持ちで聴いてほしいなと思ったので、それはサウンドで表現したいというお話はしました。自分の中では、この曲の主人公はすごく前向きなんです。なのでその雰囲気を出したいというのは伝えましたね。
ー普段の曲作りはギターで弾き語りながら行うことが多いんですか?
そうですね。ギターを抱えながら作ることが一番多いと思います。時々移動中とか電車とか、お風呂でもたまに思い浮かんだりするんです。そういうときは小声で録音して忘れないようにしています。
ーほのんさんは様々な楽器の経験もありますが、例えばピアノから作ってみるといったこともあるのでしょうか?
1、2曲ありますね。ギターのほうが慣れているので今はギターを使うことが多いんですけど、雰囲気を変えたくなったときにピアノを触ったりします。
ー普段ボーカル面でこだわっていることや意識していることはありますか?
感情が伝わるように歌いたいと思っています。もちろんピッチや音程、声色も大事だと思いますし意識はするんですけど、“感情の消化”が自分の中のテーマではあるので、思い切り感情を込めるようにしていますね。
ーレコーディング後やライブ後は、自分の感情を吐き出したことですっきりしたりもするんですか?
します。音楽を聴くことも含めて、音楽に触れることは自分の感情をコントロールする一番のいい方法だと思っているんです。
ー聴くこともそうなんですね。
はい。すごく悲しいときや苛立っているときも、音楽を聴いてその気持ちを落ち着かせたりしますね。
ー落ち込んでいるときはバラード曲を聴いたり?
そうですね。悲しいときに悲しい曲を聴くか明るい曲を聴くかって、結構分かれるじゃないですか。私はとことん悲しむタイプなんです。自分の感情に合う曲を聴くことが多いですね。
ー音楽に触れることはご自身の感情と密接に繋がっているんですね。今後作ってみたい作品や挑戦したいジャンルはありますか?
最近は恋愛をテーマにした曲や夢を追いかけてる人に向けた応援歌を書くことが多いんですけど、家族だったり身近な人を思った曲も書いてみたいですね。飼っていた愛犬への曲を書こうとして1年くらいずっと書けなかったんですけど、やっと最近書けたんです。そういう身近で具体的な感情も曲にしたいと思っています。
ー今後の目標を教えてください。
ワンマンライブをやりたいです。自分の曲も増えてきているので、自分の曲だけのライブはやりたいですね。あと今は自分のギターの音だけで歌っているんですけど、バンドだったりオケも使って、今とは違ういろんなライブをしたいです。それと、私は配信をしているのでファンの方が全国にいらっしゃって、都内のライブハウスだと行けないという方もいるんです。なので全国でライブができるアーティストになりたいですね。
INFORMATION
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early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
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