文: 久野麻衣 写:遥南 碧
ラッパー・RICK NOVAは縦横無尽に表現を追求し、この世界を様々な角度から楽しんでいる。
ヒップホップという枠に括られない楽曲群やTaeyoung Boy、KKと共に活動するヒップホップクルー・MSN(メセン)、ファッションブランド「QUAETERRO」の展開など幅広い活躍をみせているが、どれもが彼の伝えたい事を表現する場だ。
確かな信念を持ち、日々思考を巡らす彼が自身のルーツや表現について語ってくれた。
ー音楽に関する原体験を教えてください。
一番古い記憶は50Centの「Candy Shop(feat. Olivia)」です。小さい頃サッカーをやっていたんですが、その時車で流れていたのがこの曲で。お父さんが好きで、ノリノリで歌っていたんです。
ーお父さんは音楽好きだったんですか。
好きでしたね。車の中では常に音楽が流れていました。ヒップホップよりはR&Bやソウルシンガーをよくかけていましたね。今でも、その当時耳にして懐かしさを感じる曲がお店で流れていることがあるんですが、曲名がわからないのでShazamして改めて知ることがよくあります。
ー自分で意識して音楽を聴くようになったのはいつ頃ですか。
小・中学生の時は、みんなが聴いている音楽のよさを共感できなくて、おのずとお父さんが流していたような音楽を聴くようになってました。お父さんはナイジェリア人なので、UKやUSの英語の曲だけじゃなくナイジェリアの公用語のイボ語・エド語で歌われている曲も流していて。全然意味を理解できなくてもリズムや音のキーが気持ち良くてそういう曲ばかり聴いてました。
ー音楽を聴く上で、体に馴染むかどうかというのは大事だったんですね。お父さんの感性もきっと同じなのかなと思いました。
そうですね。あんまりテンション上がらないときや、家族で災難があったときでも、お父さんがいつも Akonの「Smack That」を繰り返しかけるんです。そうすると「またこれかよ!」って笑いが起こるのが定番になっていて、率先してかけて笑いをとっていたんです。そういう思い出もあって、めちゃくちゃ好きな曲です。
生まれも育ちも日本ですが、当時は“日本にいる黒人”という意味であまり馴染めなくて。小さい頃の自分を見たらそりゃこういうの好きになるなって納得します。だからナチュラルに今があるんだと思います。
ーお父さんからの影響は大きいんですね。
お父さんも自分も熱くなりやすいところがあって、AUGUST 08の「Father Issues」を聴くと心に来るものがあります。この曲はもう音楽を超えちゃってるんですよね。そういう曲は自分が集中したい時、大事なことがある時に聴く音楽で、普通に好きな曲とはちょっと違います。
ー「音楽を超えちゃってる」曲というのは?
説明しがたいですね。歌詞がよくても、音が自分の思うものじゃなかったらそうならない。そういう曲を聴くと泣けてくるし、映像が想像できるんですよ。ずっとそんな音楽を探しているし、そういう音楽を作るためにやり続けようと思ってます。たまにしょうもない曲もやってますが(笑)
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