悔しさもファンへの力に。秋吉優花が届ける魂のこもった歌

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文: 坂井彩花  編:Mai Kuno 

“歌うこと”と本気で向き合うHKT48の秋吉優花にインタビュー。彼女が歌と向き合うきっかけや、歌へ込める想いを聞いた。

AKB48グループのなかで、もっとも魅力的な歌い手を決める『歌唱力№1決定戦』。人気も運も関係ない、ただ“歌の上手さ”だけを評価されるこのイベントで予選通過1位、決勝では4位入賞という成果を残したのが、HKT48の秋吉優花だ。AKB48に憧れた一人の少女は、運命的にHKT48と出会いアイドルとしてのキャリアをスタート。豊かな音楽環境で成長した現在では、シンガーソングライターとしてギターを手にし、楽曲制作や弾き語り配信なども行っている。

“歌詞に共感しやすいから、最近は邦楽ばかり聴いている”と語る彼女のプレイリストにはVaundy変態紳士クラブからくるりまで、アイドルのイメージとは少し離れた多彩な楽曲が並ぶ。インタビュー内でも語ってくれたリリックやトラックを重視した音楽の聴き方になったのは、“届けること”を大切にする彼女のミュージシャンとしての生き方に共鳴しているのだろう。

では、そんな彼女が今一番力を入れている“歌うこと”と本気で向き合うようになったのは、なぜなのだろうか。その道のりや彼女の歌に込められた想いを聞いた。

自分の悔しさもファンの力にできたら

――秋吉さんは、小学6年生からHKT48に加入されていますよね。それ以前は、どのようなお子さんでしたか。

走り回ったり木に登ったりする、普通の小学生でした(笑)。音楽系の習い事をしていたわけでもなかったし、人前に立って歌うタイプでもなくて。ただ「MUSIC ON! TV」みたいな音楽番組は、よく見ていましたね。それがきっかけでAKB48を好きになったんです。

――では、ずっとアイドルに憧れていたんですか。

ぜんぜん! 小学校中学年くらいまでは、ケーキ屋さんになりたいと思っていました。ステージに立ちたいと思ったのは、ソフトバンクホークスのキャンプに出演していたHKT48の先輩たちのライブを観たから。ファンの方の熱気が本当にすごくて、「HKTって素敵!」と思って加入したんです。

――音楽を聴くようになったのは、いつ頃ですか。

中学2年生くらいからですね。「いい音楽ないかな」とディグっていたらEd Sheeran(エド・シーラン)に巡り合って、アルバムを延々と聴いていました。そこから数珠繋ぎみたいに、彼がフィーチャリングしているアーティストも聴くようになって。

でも、最近は邦楽ばかり聴いています。やっぱり日本語だと言葉がスッと入ってくるし、歌詞にも共感しやすいので。ラップもよく聴いてて、Yo-Sea3Houseは友達が勧めてくれてハマりました。

――なんだか意外ですね。

ラップって曲のなかに遊び心が詰まっているじゃないですか。そういうのいいなって思うので。

――好きなアーティストっていますか。

向井太一さんの存在は、自分のなかですごく大きいですね。声が好みっていうのもあるんですけど、共感できる歌詞も多い。高校の同級生と一緒にカラオケへ行ったら、みんなで「空」を歌うのがお決まりになっています。

向井さんがKREVAさんと歌っている「Answer」もすごく好きで。“幼い頃繰り返し聴いた あの曲たちが支えてくれた この悔しさも歌にすれば 他の誰かの力に変わる”は、私の支えになっているリリックでもあります。たとえ悔しいことがあっても気持ちを乗せて歌にすれば、ファンの方の力になれるのかなって。

――他には、どのようなアーティストをチェックしていますか。

ドライブ用のプレイリストに入っているのは、RIP SLYMEケツメイシ変態紳士クラブVaundyNulbarich。音楽に惹かれるときは、トラック先行でハマっていくことが多いかな。父の影響で聴き始めた、小田和正さんも大好きです。

――ギターを始めたのは、いつ頃だったんですか。

高校2年生のときなので、3年前かな。音楽系のコースがある高校に通っていたんですけど、「ギターやりたい」って言ったら隣の席の子が使っていないギターをくれて(笑)。Takamineの青いギターがそれです!

――他にも何本かギターをお持ちですよね。

黒のハミングバードは、近所のいちご農家さんに借りたやつで…(笑)。Martinは2種類持っているんですけど、1本が自分のでもう1本は事務所から借りています。

次ページ:大好きな音楽を“届ける側になりたい”という思い

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