未踏の荒地を進むネクライトーキー。音楽愛と祈りとルサンチマンを爆発させた新作『FREAK』

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文: 黒田隆太朗  写:遥南 碧 

ネクライトーキーが3作目のアルバム『FREAK』をリリース。内省的な歌詞と強固になったアンサンブルが印象的な新作を、朝日(G)ともっさ(Vo &G)のふたりが語る。

心を揺さぶる痛快なアルバムだ。行き場のないルサンチマンを募らせた、いつにも増して内省的な朝日(G)の歌詞が、豪快なもっさ(Vo&G)の声で歌われることで奔放なポップに変わる。機材とメンバーのマインドが変わったことで強固になったというアンサンブルも、楽曲を活かしている理由だろう。MIKAがモチーフのひとつにあったという「気になっていく」から、黄昏を感じるメロディが印象的な「夢を見ていた」まで、まさしくハイライトの連続。ネクライトーキーの新作『FREAK』は、シリアスでありながらチアフルであるという、このバンドならではの目覚ましい作品に仕上がっている。バンドの充実を思わせるアルバムについて、朝日(G)ともっさ(Vo&G)のふたりに話を聞いた。

音楽って難しい

ーめちゃくちゃガツンとくる、素敵なアルバムですね。

インタビュイー画像

朝日(G):

今回は曲にも歌詞にも凄く時間を割いて、丁寧に作ることができました。ネクライトーキーとして3枚めのフルアルバムになりますが、ずっと聴くなら『FREAK』かなと思っています。

ー時間をかけられたというのは、コロナ禍の影響もあるんですか?

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朝日(G):

いや、前作(『ZOO!!』)を作り終えた時に決めていました。その段階で次のアルバムは2021年の2月に出そうって言われていたんですけど、ちゃんと作りたいのでもうちょい(期間を)伸ばしてくださいって伝えまして。年間20〜30曲作らないといけないってよく言われるんですけど、作っていく中で当然セルフボツみたいな曲もあるわけで、それを差し引いたら1年で1枚アルバムを出すのってめちゃくちゃしんどいんですよね。

ーそれでもう少し余裕がほしかったと。

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朝日(G):

周りのスタッフもその意見を汲んでくれて、時間をかけてでも良いものを作ろうって話をしていました。とはいえ何年も待たせるような大御所のバンドでもないので、予定よりも3ヶ月ほど余裕をもってちゃんとしたものを仕上げていきました。
インタビュイー画像

もっさ(Vo&G):

それぞれの曲がどんな風になるのか想像する時間を持てたので、音選びも慎重に出来た実感があります。『FREAK』は自分で聴いても他の作品に比べて音が良いなって思いますね。

ーなるほど。

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もっさ(Vo&G):

あと、音が良くなったのは、機材が変わったのも大きかったかなと思います。メインギターやベースが変わってドラムも新しくしたので、みんな自分の楽器を見つめ直す期間があったんですよね。特に朝日さんのギターが変わったのは大きくて、それでロックバンドを彷彿させる音になっているんじゃないかと思います。

ー朝日さんはギターが変えたことで、どういう手応えを持っていますか。

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朝日(G):

今まではふたりともチャキチャキ系だったので、上手く住み分けができたというか、バランスよく鳴らせる様になった感じはします。ただ、音作りが良くなったのは機材の変化も大きいんですけど、みんなの曲作りに対する気持ちに何かしらの変化が起きたからじゃないかな、と俺は思っています。

ーメンバー全員に責任感が芽生えたということですか?

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朝日(G):

それに近い感覚があります。5人それぞれがプライドを持って音を鳴らしている気がして、それでバンドっぽくなっているんだろうなって。そこは聴く人が感じ取れるものではないかもしれないんですけど、バンドの中にいるとそういう変化を感じていました。

ー現実的に楽器が変わったし、併せてマインドも変わった最初のアルバムが、『FREAK』であると。

インタビュイー画像

もっさ(Vo&G):

朝日さんが投げてくる新曲がラフなんです。ほとんどギターと歌の弾き方りだったりするので、何を入れてもいいというか、あとは好きな様にしてくださいってことだと受け取っています。

ーなるほど。

インタビュイー画像

もっさ(Vo&G):

それもあってどんな音を入れるかってことを1から試したり、その曲がどうしたら良くなるのか深く考える様になりました。たとえば「大事なことは大事にできたら」も、弾き語りで送られてきた曲で、みんなでいろんなパターンを試して出来上がっていきました。この曲は朝日さんが弾いたフレーズが新鮮だったので、それに対して私もフレーズをつけて返したり、ギターで会話していた感じがありましたね。

ー「大事なことは大事にできたら」のイントロは凄いですよね。Mogwaiみたいな轟音ギターと、クラシック調の綺麗なピアノが重なっていて、どっちを聴けば良いんだという。

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朝日(G):

混乱しますよね(笑)。元々は爽やかなアレンジだったんですけど、これじゃない、もっと汚さなきゃいけないと思って。それでとんでもないノイズの中にピアノのコードが入ってくるようにしました。で、メンバーのみんなからは、え?みたいな。
インタビュイー画像

もっさ(Vo&G):

最初意味がわからなかったです(笑)。
インタビュイー画像

朝日(G):

バアー!ってギターの音が鳴ってる中、急にピタって止まってピアノが入るようにして、ようやくみんなも見えてきた感じがありましたね。

ー曲に対してどういうイメージを持っていて、そうしたイントロになったんですか?

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朝日(G):

部屋の中でひとりきりで思いきり暴れて、時計とか投げ飛ばして部屋をめちゃくちゃにした後、電池が切れた様に座り込んだ瞬間…というイメージの曲です。静かな生活の中で気がおかしくなる瞬間を、どうやったら音で表現できるんだろうって思って、苦心した結果があれになりました。
インタビュイー画像

もっさ(Vo&G):

壮大な曲なんですけど、家の中だけで済んでいる感じは思い浮かべてました。アルバムの他の曲で言えば、「続・かえるくんの冒険」は外に向かっていけるんですけど、「大事なことは大事にできたら」は重い音だけど意外とサラッとしてる感覚がありますね。
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朝日(G):

どっちもミドルバラードだけど、曲の雰囲気は全然違いますね。

ー「続・かえるくんの冒険」は鍵盤のタッチも軽くて、ドシドシ進んでいく情景が浮かびました。

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朝日(G):

こっちは絶えず歩いているイメージがありますね。僕のバンド人生って、8割が自転車操業みたいに進んで来たいうか、止まる間もなくやってきた感じなんです。自分では俺の曲は良い曲なんだと思ってやってきたけど、箸にも棒にもかからず、全然良くないねって言われることもしょっちゅうあって。10年間バンドをやってきて、良いことも悪いことも絶え間なくあったなっていう、そういう思いで書いた曲です。

ーネクライトーキーはどんどん認知度も評価も上がっていると思いますが、今は充実感がありますか?

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朝日(G):

いや、まだまだ荒れた道を進んでいる感じです。靴は泥でぐちゃぐちゃになっていて、どっちに行けばいいかもわからない…そんな感じがあります。

ー目標はずっと先にある?

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朝日(G):

音楽、難しいなと思います。バンドってやればやるほど分からないんですよね。作る前は“俺はもっと良いものを作れる”って思うんですけど、作っていると“まだ足りないな”って思ってしまう。世には名曲が沢山あって、俺も良い曲を作りたいと思うけど、なかなか自分の中で満足できていないことを感じます。でも、逆に言えば『FREAK』を作って、まだやれることがあるなっていう手応えも感じました。
次ページ:邦ロックで一番良いボーカル

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WRITER

黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

PHOTOGRAPHER

遥南 碧

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2017年に朝日が中心となり、もっさ、藤田、カズマ・タケイにより結成。
2019年3月に中村郁香が正式加入した愉快な5人組ロックバンド。
音楽愛に溢れたPOPなメロディーと、
一聴して分かる中毒性満載なもっさの
歌声から繰り出されるネクライトーキーにしか生み出せないサウンドで
ネクストブレイクバンドとして躍進中!
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