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文: Asahi
音楽ストリーミングサイト「Soundcloud」を火種に知名度を上げ、今最注目のレーベル〈Soulection〉に所属したイギリス在住のプロデューサー、ROMderful。
ジャジーかつどこか懐かしくドリーミーでソウルフルな彼のサウンドは様々なミュージシャンを巻き込みながら世界中の人々を惹きつけつつある。そんなワールドワイドに活躍する彼が、デビューアルバム『Press L to Continue』をリリース。
今回DIGLEでは楽曲制作のスタンスやルーツになっている音楽などを訊くメールインタビューをおこなった。
ー自己紹介をお願いします。
ROMderfulです。バーミンガム(UK)を拠点に活動しています。好奇心旺盛な人間で、ミステリアスな生活やテクノロジー、愛、全て大好きです。いつも何かに疑問を抱きながら答えを探しています。(笑)
ー9歳からギターと楽曲制作を始めたと公言していますが、それらを始めたきっかけは何ですか?
正確にはギターを始めたのは6歳で、楽曲制作を始めたのが9歳か10歳の時かな。自分の音がどのようにして人々の感情を左右させるのかに興味があって、自分が頭の中で描いてる感情やサウンドが現実となって出てくることが大好きだったんだ。当時はThe Neptunes, Timbaland, Just Blazeが大好きでテレビ、ラジオ、ゲームでよく聴いて彼らに憧れてたよ。まあそれがその後のアーティストへなりたいと思うような気持ちを抱くきっかけになったね。それはファレルがビートとか歌、ラップを作り始めた時、もしくはTyler the Creatorがミュージックシーンに出てきた頃かな。ファレルもすぐに僕のお気に入りのアーティストになって毎日聴いて彼の創造性やマインドを学ぼうとしてたね。
ー90年代後半から2000年前半のR&B、Jazzに影響されたと公言していますが、特に影響されたアーティストは何でしょうか?
結構いるけど大体はThe Neptunes, Amerie, SWV, Blaque, Lalah Hathaway, Musiq Soulchild, Darkchild, Letoya, Till Bronner, Robert Glasper, Roy Ayers, Stevie Wonder, Miles Davis, Fourplay, Joe Sample。これらのアーティストから影響は受けたかな。でも家の周りでR&B、Jazz, Hip Hopは常に流れてたからその影響もあるかもね。
ーそれらのアーティストはどういうところにハマりましたか?
フィーリング、コード、全体的な音楽性、構成、ユニークな音の性質とハーモニーと重なり、キュートなソングライティングかな。僕はそれを学んで自分の技術として取り入れたいんだ。まだ上手くできないけど、それは単なる自分を引き止める恐怖心なだけであって、ちょっとずつ改善していこうと思う。
ー楽曲のジャケットやアカウント名などでパイナップルが度々現れますがROMさんにとってパイナップルとはどんな存在ですか?
パイナップルは僕にとってとってもユニークな形状のフルーツなんだ。それは僕にとって幸せの象徴、もしくはマスコットか小さなポケモンみたいな存在(笑)。パイナップルは14歳くらいの頃からそんな感じの存在でいつでも愛してるよ。
ー過去にLAの人気インターネットレーベル〈Soulection*〉からシングルも出していますがどういった経緯でリリースされたのですか?
その話は2016年に遡るね。ん?もうそんなにたったの?時が過ぎるのは早いね。2015年にUK以外で初めてライブを披露したんだけど、その時にJoe Kay、Andre Power、Sasha Marie、DA-P(Soulectionのメンバー)が来て僕を驚かせたんだ。それでその後 MikkohとDeffieにパリのSocial Clubという場所で出会って仲良くなって、僕らを翌日La Machine du Moulin Rougeで開催される彼らのイベントに招待してくれたんだ。そのイベントで僕はいつかビックになって自分の音楽を好きな人々と共に演奏しにステージに立ちたいと思わされてね。
僕が2015年の終わりから2016年にかけて「I just want you to know」って楽曲をリリースしたちょっと後あたりにJoeはTwitterでメッセージを送ってきて、その曲がどれだけ最高か伝えくれて、正式にSoulectionからリリースしているEPへのオファーがきたんだ。それがこの経緯だね。
ー4月にデビューアルバム『Press L to Continue』をリリースしましたが、今回テーマとして掲げているものはありましたか?
今回のアルバムには2016年から2019年までの僕の全ての気持ちが込められてる。その時期に僕は今まで生きてきた中で最悪な経験の一つを体験したんだ。両親が離婚して、貧乏になって、大学を中退して、仕事を見つけようとしても見つからなくて。毎日がストレスと不安で、色や幸せが失われていくような感じで、正直音楽も何度もやめようと考えてたんだ。その時は音楽の方向性も失ってて、友達と酒浸りの毎日だったね。何か新しいことを始めたら、僕のファンが離れて繋がりが消えると思ったんだ。だから自分の中でよく葛藤してたね。
その後、しばらくセラピーに通って、自分の全ての感情、混乱を吐き出して、自分の人生の前向きな見通しを取り戻し始めたんだ。そしたら2017年半ばに全てのことが上手く行き始めたんだよ。
ー具体的にどんな事が上手く行き始めたのですか?
まずは初めて中国ツアーを達成できたんだ。ここでは素晴らしい経験や沢山のビートの制作もできた。あとはアムステルダムで開催された<Appelsap festival>で初めてBoiler Roomでプレイもした。これは本当に最高の思い出で、そのDJセットの中で新しい音楽を披露するような形で沢山の信頼を得られた。この時点でもう既にアルバム内の4曲近くはできていて、絶対にアルバムに入れようとも思ってたね。その後、2017年11月中はほとんど日本に滞在して、曲を沢山作って、パーティーして、飲んで、ストレス発散したよ。
ーなるほど。イギリスへはいつ戻ったのですか?
その同じ週にロンドンに戻ったんだけど、僕は間違えてパスポートを服に入れたまま洗濯してしまったんだ。それでパスポートのダメージが酷くて作り変えなきゃいけなかったんだけどそのお金もなくて。そんな時ある女性に出会ったんだけど、彼女は僕に対して色々良くしてくれて、そこから人生の全てに対して良く感じられるようになったんだ。
ー素敵な出会いですね。それ以降は何か発展はありましたか?
それから僕は新しい経営陣を得て、〈Same Plate/Sony Music〉と素晴らしい契約を結び、2018年春からアメリカ、アジア、ヨーロッパの間を行き来しながらさらに曲作りをして今に至るって感じかな。アルバム名の『Press L to Continue』には「全ての損失を乗り越えて人生を続ける為にそれらを受け入れる」という意味合いが込められているんだ。もし何かの事に対して手放したり、受け入れたり、改善するという選択をしなければ決して前に進む事はできない。明らかに僕は生粋の機械オタクだから面白い名前とともに深い意味を掛け合わせたかったんだ。
このアルバムには、女性との出会い、愛への摸索、それからその真実の愛への戸惑い、孤独と後悔、人生や自己決断、感情への戸惑い、そして物事への改善の為の決心が描かれているんだ。それらはいつでも受け入れる事ができれば、全ての物事は上手くいくよ。
ー本アルバム内にはJay Prince, KayFaraway, DEANなど蒼々たるアーティストが集まっていますがそれぞれフィーチャーした経緯はありますか?
彼らは僕の友達で彼らのサウンド、エネルギー、リリック、は最高さ。一緒に曲を作る時に居心地が良くて幸せに感じるし、何人かは一度も仕事した事なかったけどここ数年上手くいってるよ。
例えで言うならKayFarawayは親しい友人の一人でもう8年以上の付き合いになるんだ。僕が「SummerTimeTing」って言う曲を制作し始める時の話なんだけど、トラックをまだ作っていない時点で彼に歌詞を入れてもらう事をお願いしてたんだ。なぜなら彼は僕にとって最高のシンガーでありラッパーの一人だって知ってたからね。DEANは2016年に韓国へ初めて訪れた時にできたアジアの友人の一人で何年もやりとりしたり、遊んだり、お互いのイベントを行き来したりして、そのうち僕と彼で一緒に曲を作ったんだ。できた時はもう「やったー!!」って感じだったね(笑)。
ーリリースによって自身の取り巻く環境や、音楽への向き合い方に変化はありましたか?
このアルバムのリリースで多くの支持を得て、どれだけ人々が今回のアルバムを気に入っているか確かめたかったんだ。あと今回は自分の歌を入れる初の試みも行ったから人々が支援的だった時はすごく嬉しかったよ。リリース後、僕は作曲意欲がさらに増したし、心身も共に良くなったりして。次のアルバムでは今より100倍良いものにしたい。僕のアルバムの3週間後にリリースした Tyler The Creatorのニューアルバム『IGOR』にもとてもインスパイアされたしね。
ーリリース後に具体的な作曲スタイルの変化はありましたか?
今は前より音楽との繋がりがより強くなって、オリジナル曲も更にまとまったし、クラブミュージックのリミックスやエディットをすることがより一般的になっているシーンに来た時のように、自分の創造性と音楽性への挑戦する気持ちも持っている。もっと不朽のもの、もっと自分オリジナルのものを作りたいと思ってる。
ー今後コラボしたいアーティストはいますか?
Anderson Paak、Tyler The Creator、The Internet、Pharrell Williams、Snoop Dogg、Tobi Lou、Kali Uchis、Rex Orange County、Kanye West、Kaytranada、ASAP Rocky、Frank Oceanなどなど。彼らとコラボする事は僕の夢だね。
ーROMさんのSNSを拝見してますと日本に関わる画像などが投稿されていますが、ROMさんにとって日本のよさ、魅力は何だと思いますか?
日本は本当に魅力的なところだよ。地球上でお気に入りの場所の一つだ。日本ではたくさんの思い出があって自分の創作力を高めてくれるし、色んな新しい事に影響させてくれるんだ。食べ物、友人、色彩。本当に日本が大好きなんだ。いつもそっちに行くとハッピーにさせてくれるよ。
ー気になる日本のミュージシャンはいますか?
SIRUPはめちゃくちゃカッコいいね、あとは東京でトリオとして活動しているダチのCIRRRCLEはマジで最高だね。あとtokyovitaminのクルーも最高!SushiBoysも!毎日探しては学んでいるよ。
ー最近聞いたオススメの楽曲を教えてください。
1つはMatt Martiansの『The Last Party』かな。このプロジェクトは本当に大好き。あとはTyler The Creatorの『IGOR』は神がかってるよ!KayFarawayの『Hours After Midnight』って曲も彼の初EPなんだけど、めちゃくちゃイカしてると思ったね。これらは全て2019年にリリースされたものだよ!
ー今後注目の音楽シーンはありますか?
世界中!今までのように包括的にやっていきたいと思ってるかな。日本のアーティスト、韓国のアーティスト、インドネシア、フランス、イギリス、アメリカ、オーストラリア!全ての国のアーティストと曲を作ってみたい!
ー今後の目標や予定があれば教えてください。
出来るだけ多くの方法で自分の創造性を拡大して自分の限界を作らないようにしたい。創造性や成長し続ける為に毎日学生のように学び続けるつもりだよ。
ROMderful
バーミンガム(UK)を拠点に活動するプロデューサー、Multi Instrumentalist、シンガーおよびライブパフォーマー。子供の頃から音楽に夢中になり、6歳からギター、10歳でベース、ドラムを学び始める。2006年、11歳のときに初めて作曲に触れる。その後ROMderfulとして、ジャンルの融合や、ギターを重ね録りなど、常に心地くかつユニークな音楽性を意識して作曲に臨んでいる。
今年デビューアルバム『Press L to Continue?』を Same Plate / Sony Musicからリリース。1か月以内に130万以上のストリーミングサービスで再生される。アルバム内にはJay Prince、Dean、Shakka、KayFarawayなどをフィーチャーして、素晴らしいキャリアを手に入れる。
更に近年、DuckwrthのEP 『The Falling Man』のプロダクションや、KehlaniとJean Deauxの「Anytime」をプロデュース。ROMderfulはヨーロッパ、アジア、アメリカを含む世界中のショーで演奏し、DJとしてアムステルダムの有名な音楽フェス<Appelsap Festival>の一角で開催された<Boiler Room>でプレイし世界中人々にその名が知れ渡った。
現在はGuitar、Bassと彼の歌を含むライブセットに取り組んでいる。
今では、Billboard、Complex、MTV、2Dopeboyz、Celeb Mix、Dummy Magなどから多くの支持を得ている。
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