文: 黒田 隆太朗 写:遥南 碧
朗らかな新作だ。これまでの羊文学を印象づけていた、思春期に覚える行き場のない感情を鳴らしたようなサウンドも、曇天の空のような灰色の音像も、ここでは鳴りを潜めている。少なくとも、「あたらしいわたし」と「ロマンス」の2曲は、これまでの羊文学にはなかった開放感のある新曲だろう。
『若者たちへ』、「1999」と素晴らしきリリースを続けてきた羊文学の新作『きらめき』。それは「女の子」をテーマに制作されたポップで清涼感のあるEPである。さて、羊文学は変わったのか、それとも変わっていないのか?
ー一聴して柔らかい音が聴こえてきて、とても新鮮でした。本作の制作がどういうところから始まったのかを聞かせていただけますか。
塩塚モエカ(G&Vo):
今年の春くらいに化粧品か何かのCM曲をコンペに出すって言われたのがきっかけなんですけど、最初はそんな曲ないわと思って。ー(笑)。
塩塚モエカ(G&Vo):
でも、去年の秋くらいに一度作ったまま、今出すのはちょっと違うかなと思ってた曲があって。それをアレンジしたら合うんじゃないかと思って作ったのが「あたらしいわたし」です。まあ、コンペは落ちましたけど。ゆりか(B):
そうだね(笑)。塩塚モエカ(G&Vo):
でも、別にEPのために曲を作るっていう感じではなくて、『きらめき』は今まであった中から、女の子っぽいやつを集めてみたEPっていう感じです。ー「女の子っぽい曲」っていうのは、ご自身では羊文学のイメージとそうかけ離れたものではない?
塩塚モエカ(G&Vo):
そうですね、これまでもあったと思います。確かに羊文学は歪みを持っていると思うんですけど。でも、ライヴではギターにオーバードライブをかけていても、レコーディングの時は何もかけてなくて。生音で録っている部分がほとんどだったりするし、これまでもたとえば「step」とかを聴いてみると、今回のEPみたいな音もあるんですよね。ーうん、確かに。
塩塚モエカ(G&Vo):
私は元々YUIが好きで小学生の時に音楽を始めたし、Justin Bieberも聴いていたから、ポップスも好きなんですよね。塩塚モエカ(G&Vo):
だったら今までは収録せずに溜まってきたガーリーなテイストの楽曲も、せっかくだから出してもいいんじゃないかなと思って。あと、私自身大人になってきたというか、ずっとガキではいられないじゃないですか。みんな若い頃はヘイトで曲を作ると思うんですど、そういうところから生まれるものって同じようなものばっかりなんですよね。それでたまにはこういうのもいいかなって。ーゆりかさんとフクダさんは今回デモが来た段階でどんなことを思いましたか?
ゆりか(B):
普段は弾き語りで送られてくるんですけど、「あたらしいわたし」はちゃんと打ち込みも入った状態で送られてきて、「ロマンス」は曲がポップで明るかったので、普段と違う感じはありました。でも、他の曲は明確な違いはなくて、作っていくうちにそれぞれ色が出てきたかなって思います。ーその中でベースの当て方で何か変えようとしたところはありましたか。
ゆりか(B):
結構変わったかもしれないです。いつもは男みたいな、太くてゴリゴリした音にしているんですけど、今回は優しくしようと思って。フレーズもこの曲の雰囲気に合うものになるように心がけました。フクダヒロア(Dr):
僕もテーマが「女の子」っていうところに新鮮さはありました。今までの楽曲はテンポも含めてダウナーな音だったり、暗い感じの曲もあったんですけど、今回は割りと歌が中心になっている曲になっていると思います。それでドラムも歌に寄り添うというか、リヴァーブはかけずに制作していきましたね。ーなるほど。
フクダヒロア(Dr):
でも、それでも3から5曲目は割とダウナーな曲になってるから。塩塚モエカ(G&Vo):
結局いつも通りだよね(笑)。フクダヒロア(Dr):
そんなに本質的なものは変わってないと思います。ーでは、本質的なものというところで、羊文学の中心にあるものってなんだと思いますか?
フクダヒロア(Dr):
...。ゆりか(B):
なんだろう?塩塚モエカ(G&Vo):
私の気持ち!ー(笑)。
フクダヒロア(Dr):
ヴォーカルのすべてです(笑)。TAG;
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