自由奔放な音楽家・ビッケブランカ。過去最高に奇天烈な新曲はどうやって生まれた?

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文: 黒田 隆太朗  写:後藤倫人 

ビッケブランカが自由奔放な組曲的新曲『Ca Va?』をリリース。これまで以上に解放的な創作を見せた新曲の背景に迫る

ビッケブランカは裏切らない。エンターテイメント精神に溢れ、常にリスナーの予想を超えてくる。とりわけ「Ca Va?」は、彼のアーティストとしてのスタンスがよく表れた新曲で、敬愛するQueenからの影響も感じる組曲的な構成に、英語、日本語、フランス語の3ヵ国語が舞うハイブリッドな1曲である。本人は「ふざけただけ」と言うが、しかしその余裕こそがこの音楽家の魅力だろう。奔放な音楽は、自身に対する絶対的な自信があってこそ生まれてくる。何より彼は、うらぶれた感傷を創作に持ち込まない。だからこそビッケブランカの楽曲は、理想的なポップソングたりえるし、誰をも受け入れるエンターテイナーになれるのだ。さて、「Ca Va?」は彼のフランスへの愛着が如実に反映された新曲であるが、それにしてもブッ飛んでいる…どうやら、天衣無縫になってしまったとのことである。

「自由自在」のその先へ

ー凄い曲でした。

ありがとうございます。まあ、本当にふざけただけですけどね。

ーそうなんですか?(笑)。

まずSpotifyのタイアップエントリーの話が来て、その時ちょうどいい感じのポップスも作っていたんですけど。

それよりも合う曲があるぞと。

音楽ストリーミングサービスでは世界一の場所だし、みんな耳も肥えてるだろうから、今回は多少ふざけてもいいんじゃないかと思って。いや、むしろふざけたものを求められてるんじゃないか? なんならどんな風にふざけてくるんだろうって期待して待っててくれているんじゃないか?って、そう思って作りました。

ー思い込みで突き進んでいったんですね。

(笑)。それでこれまで作っていたストックを掘り返してみたところ、「Ca Va?」って曲が今の気持ちに合うなと。なんて言うか、本当に遊び尽くしただけの曲です。

ーなるほど。ただ、メンタリティとしては、『wizard』の延長線上にあると思いました。あのアルバムは音楽における多様性を表現すること、音楽家として多様なあり方を肯定してくことを表明した作品だったと思っていますが、それを1曲で表現したのが「Ca Va?」なのかなと。

なるほど。『wizard』の前からその精神性はあったんですけど、確かにより強固なものにはなってきましたね。色んなものが開いたというか、本当の意味でノールール、バーリトュードになってる。自分でもそれを再確認した楽曲でした。

ー『wizard』を作った時のインタビューでは、「これまでも自由だったけど、今は自在になった」って言われていましたよね。

うん。でも、今はもうその先に行っている。「元々自由な発想があった上で、それをすべてコントロールできるようになった」という意味であの時は「自由自在」って言葉を使いましたけど、今は「曲をコントロールしている」っていう自覚すらない状態になっている。それくらい自然に創作をしていて、もう何かを考えたりすることもなく曲が作れるようになっています。雰囲気の違うバースのアイディアが自然と出てきたから、それをそのまま盛り込んでいって、何もかもがパパパパーンってハマっていった曲でした。

ー天衣無縫の状態?

天衣無縫、いい言葉ですね。その状況になっていると思います。自分が面白いと思うところに行く、面白いと思うリズムを組む、面白いと思うメロディをはめる、その結果がこれです。

ーそれぐらい自分の音楽に確信が持てているっていうことだと思うんですけど、何がそうさせていると思いますか。

自分で聴いた時に退屈したくない。その気持ちがこういうものを作らせています。もっと言えば、その気持ちの度合いによって出来上がる曲が変わってくると自分では思っているので、「Ca Va?」を作った時の自分は組曲みたいに展開していくくらいでないと退屈だったんでしょうね。悪く言えば、自分自身が曲を極端に展開させることに慣れてきてるんですよ。

ー「退屈したくない」っていう感覚は、まさにこの曲から受ける印象を言い表していると思います。組曲のような展開よりも、パワフルでエネルギッシュな歌にこそ今のビッケさんのモードが表れているんじゃないかと思ったんですが、自分自身が何かポジティヴなエネルギーを求めていたところはあるんですか?

いや、そんなことはないですね。僕はメンヘラじゃないというか、この曲は特にそうですけど、作曲する上でメンタルは関係ないんですよ。もう自分の「才」とだけ会話していました。

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黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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後藤倫人

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幼少期、読めない楽譜を横目に、妹のピアノに触れてみる。
両親の影響で、日本のフォークと洋楽にも慣れ親しみ、小学校高学年で作曲を開始。
中高時代は、黙々と楽曲づくりに励み、音楽活動を目標に大学進学のため上京。
バンド活動でギター&ヴォーカルを経験した後、突如思い立ってピアノに転向。
携帯電話を捨て、1年間ピアノに没頭した結果、持ち前の集中力と天性の才能で、楽曲制作能力が爆発的に開花し、ソロ活動をスタート。

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