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文: 黒田 隆太朗 写:山口こすも
「これまでの自分達を超える」というテーマで制作された、9枚目のアルバム『SINGULARUTY』。彼ららしいアグレッシブな楽曲で始まるが、徐々にゆったりと揺れるようなトラック群へとシフトし、中盤にはバラードを差し込みながら、終盤には再びフロアライクな楽曲へと流れていく。様々な情景を巡るようなアルバムである。それはつまり、バラエティ豊かな楽曲を歌いこなせる彼らの地力の高さの表れであり、彼らの可能性が存分に発揮された作品であるとも言えるだろう。まさに「SINGULARITY」(特異点)というタイトル通り、進化を感じる一作である。
過去の自分達を超えるという意志の裏には、「まだまだ満足していない」という思いがあるという。20年近いキャリアを持ちながら、向上心を失わずに挑戦を続ける3人に新作について語ってもらった。
ー「SINGULARITY」(特異点)というタイトルを付けた理由から聞かせていただけますか。
鍵本輝:
今回はアルバムのテーマとして、最初に「ブレイクスルー」という言葉があって。これまでの自分達を超えていこう、突破して行こうという気持ちで楽曲を作っていました。そこである程度曲が出揃ってきたところで、何か一言でポンと言える言葉はないかなと探していたところに、「SINGULARITY」という言葉が出てきて、今回のタイトルにしました。ーこれまでの自分達を超えようと思った時、まず何を変化させようと思いましたか。
鍵本輝:
楽曲制作の取り組み方として、もっと踏み込んでもいいのかなと思って。今までは作詞家さんについてはお任せだったんですけど、この作品に関しては、僕らがお願いしたい人にオファーした曲がいくつか入っています。ーたとえば?
鍵本輝:
「Milk Tea」や「シンギュラリティ」がそうですね。「シンギュラリティ」は以前「Be the NAKED」を書いていただいた佐伯さんに、「自分達を超えていこうというテーマで、『SINGULARITY』という言葉を使ってアルバムの信念になるような歌詞を書いてほしい」とお願いしたところ、「良いテーマをありがとう」って言ってくださって(笑)。この歌詞が上がってきました。ー出来上がってみて、どんな感触を持っていますか。
谷内伸也:
バラエティに富んだ、緩急のあるアルバムになったと思います。ただ、同時にセクション毎のまとまりもあるので、しっかりと軸を持ちながらいろんな表情を見せていく、Leadの変幻自在な可能性を感じてもらえるアルバムになったのかなと。これを聴いて「ライブではどんなパフォーマンスをするんだろう」って、ワクワクしてもらえる1枚になっているんじゃないかなと感じています。古屋敬多:
僕は”聴くタイプのライブ”になるアルバムになったかなと思っています。ライブのセットリストを考えるように曲順を決めていったんですけど、中盤の「Milk Tea」や「Just Love You ~青春白書~」はまさにそういう曲で。ライブで緩急になるような曲だと思いますし、流れで楽しめる1枚ですね。ー鍵本さんはいかがですか。
鍵本輝:
「SINGULARITY」と掲げてますが、完成を聴いてみて、自分でも超えたなと思いました。このアルバムがベストの1枚っていうのは間違いないんですけど、出来上がったものを聴いた時、もうちょっとできたとか、もっと歌えたなって思えたんですよね。完成したものを聴いてそう思えたということは、これを作っていた時の自分を越えたんだろうなと思いました。ーきっと今作に限らず、前作を上回ろうという気概は毎回持って創作に臨んでいるとは思いますが、今回特にそういうモチベーションが生まれていたのでしょうか。
鍵本輝:
18年活動していくと安定していくところもあるのかなって思っていたんですけど、そうじゃないんですよね。まだまだ自分達の伸びしろに期待してほしいし、もっともっとLeadの楽曲に触れてほしいと強く思っていて、そしたら自然とそういう気持ちに辿り着くんですよね。谷内伸也:
常に楽しくて、新しいことをLeadとしてやっていきたいんですよね。僕らは付き合いが長いから、どうやったら良いケミストリーが起こるのかもわかってるんですけど、時にはその枠から飛び出して刺激を受けるのも大事だと思うので。敬多や輝なら舞台の仕事もあるし、それぞれの経験をLeadに還元して、また新たなものを生み出していくっていう事は常に続けていきたいですね。ー新しい挑戦を続ける先に、シーンの中でどういう存在になりたいというビジョンはありますか?
鍵本輝:
僕はあんまりないかもしれないです。今自分達がやってること、信じてること、それを貫いていくことの延長としてあるものかなって思います。ー貫く信念っていうのは?
鍵本輝:
ただ歌わされているわけでも、ただ踊らされているわけでもない、生きた音楽を自分達の力でやっていきたいという想いですね。編集部のおすすめ Recommend