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文: 黒田 隆太朗 写:Kodai Kobayashi
PAELLASのヴォーカルMATTONと、共にスプリット盤をリリースしたYOUR ROMANCEのヴォーカルinui、Pistachio Studioのクルーであり、Mimeのドラマーとしても活躍するトラックメイカーTiMT、そして元PAELLASのmsd.。彼ら4人からなるPEARL CENTERが本格始動した。
『Humor』を聴いてみてほしい。流麗なメロディからは、ポップソングへの敬意と作り手の品性を感じるだろう。ヒューマン・リーグやスクリッティ・ポリッティといった、実験的で華やかな音楽が花開いた80’sを参照にした上音。90年代の日本を彩った、上質なポップスのDNAを引き継いだメロディ。そしてテン年代以降のエッセンスを持つトラック。様々な時代のカルチャーをブレンドした、ハイブリッドな音楽性を展開するバンドである。
また、時にアイロニカルに綴られる、仄かな希望と諦念が同居したリリックも彼らの個性である。それを歌うMATTONのかぐわしい歌唱と、絡み合うように彩りを与えるinuiの声、PEARL CENTERはどこを取っても美しい。きっと気の置けない仲間と結成したことが功を奏しているのだろう。互いの信頼感をベースに、4人の個性的なキャラクターが溶け合うことで既に理想的なチームワークが形成されている。
PEARL CENTERの可能性に、いち早く迫った全員インタビューである。
ー結成は?
MATTON:
2018年ですね。ー結構経ちますね。PAELLASで活動されていた頃だ。
MATTON:
そうそう。msd:
その時はPAELLASのスケジューリングでMATTONが忙しかったので、中々集まることも出来なくて。最初の一年はどういうもの作りたいのかをキャッチボールしながら、探り探りPERAL CENTERの土台を作っていく時間でした。ーMATTONさんとMsd.さんはかつてPAELLASで共に活動していた時期がありますが、どういう経緯でこの4人で集まることになったんですか?
MATTON:
PAELLASの制作では、PAELLASという箱に合わせて自分の色を投影しいく感じだったので、より自分のロマンを追い求めたいなと思って。何か新しいプロジェクトを始めたいと思っていました。そこで直接的なきっかけになったのが、Msd.君がDJとして出るイベントで、Frank Oceanのカバーをやりたいって言ってきて。そこで僕が歌い、inuiくんにギターとコーラスをやってもらったのが凄く感触がよかったんですよね。それでふたりを誘って、最後に声をかけたのがTiMTかな。当時切ってもらっていた美容師が一緒で、その人から紹介してもらって連絡を取りました。
TiMT:
僕はヒップホップのトラックメーカーとして活動しつつ、Mimeってバンドでドラムとトラックメイカーをやっていて、ソロの作品を聴いてくれたMATTONから連絡をもらって入りました。msd:
一緒にカバーしたイベントが2月くらいで、結成がその2ヵ月後くらい。で、夏にティムちゃんが入ってきましたね。ーinuiさんはMATTONさんと一緒に音楽をやると決まった時に、何か音楽的なビジョンはありましたか?
inui:
YOUR ROMANCEの活動もほとんど止まっていたので、単純に音楽をやれる喜びを感じて、ワクワクしながら始めましたね。元々音楽の話もよくしていたし、共通項がたくさんあったんで、そういうことを表現きるグループを作れたらと思いました。msd:
僕も加入したっていうよりは、遊ぼうよって言われたから出かけてみたっていう感覚が強い。PAELLASをやめてからの1年間ぐらい、結構DJをする機会が多くて。新しいインプットもめちゃめちゃ多いから、そのアウトプットの形として何かやりたいなって模索していたところだったので、自然にジョイントしました。ーでは、皆さんの人となりを知るために、それぞれ昨年から今年にかけて聴いたものの中で、最も共感したポップミュージックを教えてください。
MATTON:
俺はHarry Stylesのアルバム(『Fine Line』)かな。向こう(海外)の第一線のポップスに惹かれています。MATTON:
音楽はもちろん、そこにある文脈とか、マーケティングも含めた総合的な仕上がりに魅せられる。Harry Stylesはゴリゴリの60’s~70’sポップス/ロックという、今アップデートするのが1番難しいところをやりながら、それをモダンな音に昇華できるプロデューサー陣を起用していて。たとえばGUCCIを使ったり、アートワークとかファッションといったビジュアルイメージで提示している。そうやってアイコンになるアーティストだけじゃなく、チームとしてモダンなものをクリエイティブしているところが素晴らしいと思う。ーなるほど。
MATTON:
そういう意味では、最近はDua Lipaの新しいアルバム(『Future Nostalgia』)を聴いてて、彼女のマーケティングにも同じものを感じていますね。ーつまり、MATTONさんがこのバンドでやりたいこともそういうこと?
MATTON:
今思い出すと結成した頃はPAELLASの活動が土台にあったので、PEARL CENTERではもうちょっと尖ったことやりたかったんです。ーたとえば?
MATTON:
もっとインディ気質なものというか、ローファイでパンキッシュな感じ。ただ、曲ができてくる中で、ここではもっと広いものができるなと思ったんですよね。PEARL CENTERのメンバーは、”自分達にとって愛すべきポップス”の捉え方がすごい広い。素晴らしいポップミュージックは雰囲気ではごまかせないから、そこに向き合うのは本来難しいけど、このバンドは楽曲のクオリティも高いし、教科書通りのものではないキャラクター性もある。もっと突き抜けることが出来る、より広がりのあるものをイメージできた。TiMT:
ポップミュージックと言い切ることで、どういう要素を入れてもPEARL CENTERとしての音として成り立つ、そういうスタンスでいますね。MATTON:
だからメンバーとコミュニケーションを取る中で、最初に自分が思ってた音とは変わっていって。その意識の変化は楽曲にも反映されてるかな。TAG;
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