Lil Kumo Phiが紡ぐ、胸の奥をえぐるリアル

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はLil Kumo Phiをご紹介します。

コントラストでより深く

光というのは、時として闇を残酷なほど鮮明に見せる。光があるから闇は一層深く沈み、闇があるから光は一層刺激的になる。Lil Kumo Phiの音楽は、そんなコントラストの連なりだ。彼が好む煌びやかで華やかな音色は、彼の持つダウナーな空気感をより重く深いものに魅せていく。

そこまで、Lil Kumo Phiが闇を背負えるのは、とことん逃げてきたからなのだろう。哲学や自己啓発にすがり、絶望にも悟りにも走った。そのうえで、彼は“好きなことを味わいつくす”と決めている。
コンテンツとして消費するための安直な感情ではなく、生々しいリアルが結びついているからこそ、彼の作品は胸の奥底をえぐっていくのだ。

先日配信が開始された『Phi』は、彼にとって1stEPとなる作品。キラキラした質感と相反するドープな空気は、ずるずるとダウナーな温度に引きずりこんでいく。鬱屈した気分の毒にも薬にもなる1枚だ。

Lil Kumo Phi

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