研ぎ澄まされる田中光の表現

Review

文: DIGLE編集部 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は田中光をご紹介します。

世界と自分の狭間で

これまで、ソロのリリースはもちろんFKDとのユニットDry EchoesAaron choulai率いるHOLD, Re-SAMPLE QUARTET、またshowmoreを始めとしたさまざまなアーティストとの客演などで作品を残してきたラッパー・田中光
今回、ichiro_をプロデュースに迎えた2曲入りシングル『質感』を発表した。

アブストラクトなトラックの上で紡がれる写実的なリリックに、田中光の個性が存分に感じられるこの作品。
タイトルトラックである「質感」は感覚器の動きがテーマになっており、自らの身体で感じられる半径1m以内の景色から、それらを包み込む世界についてまでを描き出すリリックが特徴的だ。魂と物質の距離感を確かめるように、繊細に研ぎ澄まされた肌触りを感じることができる。
「avocado」は、ひとつのニュースに心揺らがされる朝をリリカルに切り取った楽曲である。遠く、しかし差し迫るように訪れる報せと、等身大の焦り/祈りの対比が実直に胸を衝く。

世界との関わり合いを通して内省し、そこからさらに現実を見つめ返す鋭さ。田中光だからこそ残せる表現に満ちた作品になっている。
ミックス&マスタリングは向啓介、アートワークはコラージュアーティスト・Killiman jah low worksが担当した。

田中光

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