負の感情を肯定するーー須藤優プロデュースのユニットBURNABLE/UNBURNABLEが持つフィロソフィ

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第15回目は、BURNABLE/UNBURNABLEをご紹介。

ダークポップというワードからイメージされるアーティストは誰だろうか。今や王道のポップスターになった感もあるが、やはりBillie Eilishビリー・アイリッシュ)が描く若い世代の闇や、従来のポップミュージックのセオリーを逸脱したトラックメイキング的な楽曲であったりするのではないだろうか。日本でも4s4ki春ねむりのようにエクストリームな表現に向かうアーティストも言わばダークポップと呼べるのかもしれない。今回紹介するBURNABLE/UNBURNABLEについてはすでに日本で最も忙しいベーシストの一人である須藤優XIIX)経由で既知のリスナーも多いかもしれない。何しろ米津玄師aiko宮本浩次Superflyほか、数多のアーティストのライブメンバーとして、またレコーディングミュージシャンとして活躍する存在だからだ。そんな彼がプロデューサーとなり、ボーカリストで歌詞も手掛けるre:cacoと結成したのがBURNABLE/UNBURNABLE。作曲・編曲で参加するARAKIら流動性のあるクリエーターも迎えて、日本では珍しいダークポップという表現を生み出している。

海外シーンやインディミュージックにも通ずる抽象度を高めたアプローチ

2021年4月に1stソング「このままどこか」をリリース。アトモスフェリックな音像とチルアウトヒップホップにも近い印象のフォギーなナンバーで、いきなりバイラルチャートインしたこの曲。何が理想なのか見失いがちな日常の中で、もう孤独でもいいからノイズから距離を置きたい気持ちを見透かすようなリアリティに惹かれたリスナーも多かったのだろう。その後もコンスタントに単曲を配信リリースし、終わってしまった恋愛などラブソングと呼べるジャンルにも表現の幅を拡張してきた。自ら「負の感情を肯定するダークポップ」と自認しているだけあり、捨ててしまいたい負の感情、後悔が描かれているが、特筆すべきはそうしたテーマの痛みはそのままに、サウンドは抽象度が高く、肉体から少し距離を置いたプロダクションであることだろう。いわゆるシンガーソングライター的な「言いたいこと」に後からアレンジが付いてくる印象ではなく、このユニットのフィロソフィがそもそも存在している感じなのだ。このことは日本のポップミュージックの中では新鮮だし、しかし現行の海外シーンやインディミュージックを聴いてきた耳にはすんなり馴染むだろう。

最新曲である「一日一日夜」は“ハルハルヤ”と読み、ハルハルはハングルで一日一日を差す。淡いシンセの音色が夕闇が迫る時間を思わせ、どこかオリエンタルな香りのあるバックトラックが淡々と進行してゆく。そこに乗るre:cacoのボーカルも淡々としており、スポークンワーズに近いフロウで、失職を思わせる“廃材”などというなかなかショッキングな歌詞も出てくる。とても孤独な状態なのだが、それでも冬の冷たさがこの主人公の生を揺さぶっているようでもある。もはや信じられるのは自分の体感だけだと言わんばかりに。《ハルハルヤ見ていて》とは果たして誰に呼びかけているのか。恐らくこの歌の主人公に対してなんじゃないだろうか。悲しさに浸るというより、前に進むことが難しい一人の夜そのものに溶けてゆくようなある種のやさしさがある。そのあたり、“可燃性/不燃性”を意味するユニット名のように、人の気持ちは何か少しの影響でどちらにも転ぶ曖昧さを持っている。彼らの音楽を燃料にしてもいいし、逆に癒やしにしてもいいわけだ。

近日公開されるMVは秋山黄色Cö shu NieTOOBOEなども手掛けるコラージュ映像ディレクター・いがきちを起用しているとのこと。コラージュを見る限り、スチームパンクの要素も感じる現実と非現実の境界線の曖昧な世界観。楽曲とのコラボレーションでこれまでの少女が登場するアニメーションとはまた違った作風が楽しめそうだ。

RELEASE INFORMATION

NEW SINGLE「一日一日夜」

2023年3月1日(水)リリース
BURNABLE/UNBURNABLE

▼配信リンク
https://lnk.to/haruharuya

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでの動画インタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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BURNABLE/UNBURNABLE(バーナブル・アンバーナブル)

re:caco(リカコ)をボーカルに、日本の第一線で活躍するベーシスト須藤優(XIIX)をプロデューサーに迎えたダークサイドチルユニット。
「あなたの捨てたい感情をも肯定する音楽を。」を掲げ、重くダークなサウンドに切なく感情のこもった声や落ち着くメロディを乗せて歌を届ける。
2021年4月14日にリリースした1stソング「このままどこか」がSpotifyやApple Musicにて様々なプレイリストに選出され、デビューより1ヶ月経たずしてバイラルチャートにも選ばれる。また、2022年3月に行った初ライブは発売3日でソールドアウトし話題を呼んだ。

これまでにデジタルシングル7作とEP1作を配信。8thシングルとなる今作「一日一日夜」(読み:ハルハルヤ)はearly Reflectionより初配信となる。
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