不穏と平穏が同時に鳴る、ニソクサンモンの表現

Review

文: DIGLE編集部 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はニソクサンモンをご紹介します。

人だからこそのバランス感で

水道橋発のバンド、ニソクサンモン。柔らかな歌声とトリッキーなアレンジで平穏と不穏を同時に鳴らす彼らが、1st EP『4泊5日』をリリースした。不思議な関係の2人が一緒に過ごす5日間を覗き見するような本作は、全体的にスローテンポでチルアウトなサウンドメイク。それでいて、決して穏やかさが淡々と続いていくわけではなく、リズムや拍子には遊び心が散りばめられている。

柔らかな歌声ゆえに、すべてが心地よく聴こえるが、よくよく耳を澄ませると意外と歌詞のクセが強い。会話のキャッチボールを楽しむような「脳ドリップ」や「浮き輪」、カードゲームと二人の関係を重ねて描く「次のターン」など、独自の世界観が展開されていく。ポストロック的なアプローチをしながら、現実的な日常を題材にしているのは、彼らの持ち味といってもいいだろう。

もちろん、楽器隊も抜け目がない。ミニマムで緻密な楽曲構成は、まさに引きの美学。プレイヤーが人間だからこその絶妙な間を操り、グッとくるグルーヴで音を配置していく。視点を変えながら、何度も楽しみたい1枚だ。

ニソクサンモン

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