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文: 村田タケル 編:Mao Oya
DIGLE MAGAZINEの読者の皆さまこんにちは!
タイトルの通りこの度DIGLE MAGAZINEでオススメの最新海外インディーの音楽を紹介させて頂くことになった村田タケルと申します。普段はSchool In Londonという海外インディー音楽に軸足を据えたDJパーティーを運営したり、毎月追加更新しているSchool In Londonのプレイリストを通じて最新の海外インディーを発信したりしています。
今回、DIGLE MAGAZINEよりこのような有難いお話を頂けて、毎月の連載という形でオススメの新しい海外インディー音楽を紹介していこうと思っています。School In Londonのプレイリストと連動させるように基本的にはプレイリストで追加された楽曲の中で特に注目なものを文章と共に紹介していきますので、よかったら是非ともプレイリストもチェックしてみてください!
2019年2月に来日公演も果たしたドイツ・ベルリンを拠点とするIsolation Berlin。バンド名を背負うかのようなパンデミック禍で生まれた彼らのこの新曲は3月で一番のサプライズだったかもしれないほどに、The Velvet Undergroundのような気が狂うほどの甘いメロディーを継承しながら、彼ら特有の牧歌的な雰囲気が混ざり合う超クールな楽曲が誕生した。ちなみに“(Ich will so sein wie))Nina Hagen”=「ニーナ・ハーゲンになりたい」というタイトルだが、ニーナ・ハーゲンは「パンクの母」の異名を持つと言われ、当時の東西ドイツの分裂を闘ったアーティスト。この楽曲は彼女の66歳の誕生日でもある3月11日のリリースだった。中田敦彦がYouTubeで人は何者にでもなれると言おうとも、「ニーナ・ハーゲンになりたい」と歌う彼らは同時にニーナ・ハーゲンになれないことを知っている。そしてだからこそ(おそらく)中田敦彦が見逃すであろうこの感動的なメロディは我々を確実に捉えてくる。日本人には馴染みにくいかもしれないドイツ語の歌詞もメランコリックに火を点けるように響くものがあった。
そしてこちらは、北フランス・ルーアンのバンド・Unschooling。フランスのバンドというとPhoenixやTahiti80といったエレクトロからの影響が感じられるポップなバンドの印象を持つ方も多いと思うが、ここで紹介するUnschoolingはカナダのCrack CloudやN0V3L周辺を睨むかの如く、現行ポストパンクの隆盛に真っ向から臨む大カウンター。そして新たなうねりがフランスからも起きている瞬間に立ち会えることへの感動。00年代のポストパンクリヴァイヴァルの後に起きたニューレイブのシーンの中でどのバンドよりも先進性と遊び心と狂気を兼ね備えていながらも一瞬で解散したLate of the Pierだって今の時代にギターロックをやるならUnschoolingのような音楽を目指すかもしれないし、その変幻自在でメロディックな展開にドキドキせずにはいられない。4月16日に『Random Acts Of Total Control』EPをリリース。ライブ動画も素晴らしく本物の予感。
US・ケンタッキー州から登場したWombo。隙だらけのままに各パートの主張の均等が保たれた新たなミニマリズム的ポストパンクのその表現は、その絶妙な温度感の中で奇跡的なクラッシュを起こすかのように独自のクリエイティヴを獲得している。あどけなさもまだ残るSydney Chadwick(Bass/Vocal)のシンプルな無邪気さから生まれたそのアウトプットはヘンテコに感じるかもしれないが、センスとしか言いようのないバランス。2020年にアルバム『Blossomlooksdownuponus』をリリースしたが、2021年の初旬には〈Fire Talk〉と契約を交わし、5月28日にEP『Keesh Mountain』をリリース予定となっている。(※〈Fire Talk〉は2009年に創設されたNYを拠点とするインディレーベルで、近年ではDehdやDeeper、Mamalarkyなど注目のインディバンドと次々と契約を交わす絶好調なレーベルと言っても過言では無いだろう。)ライブ映像を見る限りは演奏もまだまだ怪しい荒削りなバンドだが、そのトリッピーな感触に今後要注目したいバンド。
「ZAZEN BOYSへのUKからの回答!」と書くつもりは無くとも頭からは離れませんが、福岡県博多市からでもMatsuri Studioからでもなく、UK・サウスロンドンからやって来ましたblack midiは、ジャムセッションの最中から生まれたカオスをそのまま独自のアートフォームとして定着させ、その行き着く先は一体どこへ……。2019年にリリースの1stアルバム『Sclagenheim』で証明済みのあらゆる音楽的要素を縦横無尽に落とし込む完成度から更に一歩踏み込む彼らのバーニングは、2月にデビューアルバムもリリースした盟友Black Country, New Roadの躍進にも刺激を受けたのか、リスナーの咀嚼を待たない唯一無二のスリルを更に研ぎ澄ませている。辞書を開けば”騎馬行列”という意味を持つ2ndアルバム『Cavalcade』(※5月28日にリリース予定)はやはり”祭り”的なニュアンスなのか。我々が咀嚼できないかもしれないその答えを待つ。
マリリン・モンローになりたいガールと、目にかけるアーティスト全て最高にさせるボーイ。USのポートランドやウェスト・ハリウッドを拠点とし、シンセポップ/イタロ・ディスコの分野で突出した存在感を放つインディレーベル〈Italians Do It Better〉に届いたデモ音源。そう、レーベルのボスJohnny Jewelの興味を惹き付けた新たなアーティストこそがこのGlümeである。”You Light Up My Nervous System / Save Me From This Autonomic Prison(あなたは私の神経系を照らす / 自律神経失調症の私を救って)”。プリンツメタル狭心症という心臓病を乗り越え、愛と健康を歌う。ポップアイコンになることよりも大切なことを知る彼女の進む道に迷いはない。4月30日にデビューアルバム『The Internet』をリリース予定。
今回は5組のアーティストと新曲の紹介でした。4月中に関連の新譜がリリースされたり、これからされるものもあったりするので気になったアーティストがあれば是非そちらもチェックしてください。パンデミック禍となった2020年から、アーティストにとっても活動が制限される状況は続くものの、DIYに活動をし続けるマインドに個人的にも凄く勇気をもらっている気がします。だからこそ、こういった場所で自分も自分が興奮したアーティストを紹介していけれたらなと思っています。お読み頂きありがとうございました!
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