文: 石角友香 編:Miku Jimbo
共通のバックボーンにR&B、ソウル、ファンクがあり、そしてどちらもジャンルを超えた歌心を持つkim taehoon(キム・テフン)とmashoe’(マシュー)が初コラボ曲「KIMI☆JA☆NAI」を10月4日にリリースした。二人とも自身で作詞作曲、トラックメイキングを行うクリエーターであり、ドメスティックのダンスポップやシティポップ系のプレイリストにもよく選出されている次世代クリエーター。広義の意味でJポップ・リスナーに訴求する楽曲を連発している二人ならではの、そして次のフェーズを感じさせる1曲になっている。
これまでもこのearly Reflection企画に登場している二人のプロフィールを軽くおさらいすると、kim taehoonは韓国生まれ、東京育ちで東大卒のシンガー/クリエーターだ。韓国と日本という二つのバックボーンを持つ彼は愛を持ってボーダーを超えていこうと歌うも、そこに頑なさはなく、当たり前にシリアスなことも作品にこめていくスタンスが作品性にも表れている。今年はセルフタイトルと言えるEP「KIM」をリリース。サラリーマンを辞め、人生の選択をしたリアルライフを言葉もトラックも気張らず表現した快作だ。
一方のmashoe’は神奈川県出身のシンガーソングライター/プロデューサー。玉置浩二や秦 基博らの歌心やメロディの深度とブラックミュージック全般のサウンドをルーツに持ち、Tom Misch(トム・ミッシュ)のようなマルチプレイヤーのスタンスに共感するアーティストだ。2022年4月の配信シングル「Pancake & Syrup」はSpotifyオフィシャルプレイリスト「Dance Pop:Japan」「Tokyo Rising」など、数万人規模の登録者がいるプレイリストに選出された。プロデューサーとしてはVivaOlaやmaeshima soshi、Shin Sakiuraらとともにシンガーの作品に名を連ねるなど、活動は多岐にわたる。
そんな二つの個性が融合しつつ、新しいフェーズに向かったのが今回の「KIMI☆JA☆NAI」だ。タイトル表記からしてポップで意表をつかれるが、“君じゃない”は君なんて相手にしていないという意味じゃなく、楽しくない仕事や惰性で付き合うパーティでスポイルされてる君は君じゃない、と歌っているのだ。1番はkim taehoonの体験も盛り込まれているように思われ、《辞めてからは調子が段違い マジで終わらない会社員》あたりに見て取れる。2番のmashoe’のリリックはオールインで制作する彼の苦悩と覚悟が伺えるような《最初から分かってる いばらだらけのハイウェイ 道なき道を行けばマイウェイ》というラインがビビッドだ。
この二人を掛け合わせたいい湯加減のテーマではあるが、グッとキャッチーさを与えているのはハイパーなファンクと呼んでいいほどの遊び心だろう。ボトムの太い16ビートのベースライン、切れ味最高なギターカッティングにファニーな女性の声ネタも加わって、この曲自体が彼らのパーティチューンに仕上がっているあたりがこれまでにないタフネスを感じさせる。下手するといなたい印象になりそうなところは削ぎ落としたトラックメイクで回避し、ユーモアだけを際立たせる手際も最高。テーマのせいもあって、少しマハラージャンの世界観なんかにも通じる働く大人の強さが感じられる。全てが思い通りにいかなくても、そんなんは《KIMI☆JA☆NAI♪ KIMI☆JA☆NAI♪ KIMI☆JA☆NAI♪》なんて軽く口ずさみながら、自分を盛り上げていこうじゃないか、と思わせるのだ。
RELEASE INFORMATION
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kim taehoon, mashoe’「KIMI☆JA☆NAI」
2023年10月4日(水)リリース
レーベル:〈kim taehoon, mashoe’〉外部リンク
early Reflection
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