文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
恋バナするにしても買い物するにしても旅行するにしても散歩するにしても、若くて時間を持て余している女子ふたりの時間は人生で最も濃厚だ。その感覚は多くの人が経験していると思う。同い年のふたりは、凛々しくてクールなイメージのKoko(Ba. / Vo.)、ふんわりガーリーなKana(Gt. / Vo.)と、キャラクターは真逆。だが、「揺れる恋心を歌って、女の子をキュンキュンさせたい!」という音楽へのモチベーションはバッチリ同じだったらしい。2024年に結成したYURERUKOは、テレビ東京の音楽番組『超音波』のオーディションでグランプリに輝き、同番組の出演権を獲得した。その後、2024年7月に1stシングル「シロップ」をリリース。この曲のミュージックビデオには同世代から共感のコメントが多数寄せられている。
YURERUKOの存在が知られるようになったきっかけのひとつに、ふたりがひたすら恋バナを展開するTikTokのコンテンツがある。同世代のリスナーにとって恋愛観の話題が身近なのはもちろんとして、彼女たちの人柄ややり取りの面白さも自ずと浮かび上がるこの動画を観ているとまるで友だちの会話に紛れ込んだ気分になれる。その延長線でバンドマンとしてのふたりのかっこよさや可愛さに触れ、ファンになった人が多いのもうなずける。加えてふたりおのおののInstagramは、カフェのごはんやディズニー、美術館、最近買った洋服など、なんてことのない日常の風景から楽器演奏まで、素直にいいね!ボタンを押したくなるコンテンツで溢れているのだ。身近で対照的なキャラの女の子ふたりがバンドをやっていることへのワクワクは、おそらく時代を超えて普遍的なものだと思う。
彼女たちより先輩のSHISHAMOやSILENT SIRENなど、ガールズバンドからの影響をインタビューでも語っているふたり。シンプルなバンドサウンドとおぼえやすいメロディを持った楽曲に自ずと昇華されるのも納得だ。前出の1stシングル「シロップ」では、夏の恋のど定番と言えそうな花火や夏祭りのシチュエーションで、自分でも手に負えない恋心や軽い嫉妬がリアルに描かれている。サマーポップチューンのなかに、日本語ロックらしい歌詞の乗せ方があるのは個性のひとつだろう。
新曲はタイトルもズバリの「hitomebole」。歌とギターとベースとドラムがこれ以上ないほどシンプルに鳴っている、一切こねくり回した跡のない構成と音像。このシンプルさが《恋ってやつだ、これが私の恋だ》と、稲妻に打たれたような歌始まりの構成と相まってまっすぐに届く。出会いの奇跡に感謝しつつも、心拍が上がり普通でいられない状態が、ピカピカのすっぴんで楽曲に定着しているようなみずみずしさ。Kokoの真っ直ぐなボーカルと、それを柔らかく包むKanaのギターフレーズがふたりの性格そのままのように聴こえるのも好感が持てる。「一目惚れをしたときに声に出して伝えるのは恥ずかしい。直接言えない想いを歌で思い切り伝えたい、叫びたいと思って書きました」という彼女たちの想い。それをなんのフィルターも通さず届ける心意気にも拍手、である。そして今後もあの恋バナTikTokから、2020年代らしいガールズロックの名曲が生まれることに期待したい。
RELEASE INFORMATION
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EVENT INFORMATION
<LABEL1.99主催『@ LIVE1.99』>
2025年7月5日(土)at 東京・代官山UNIT
OPEN 15:00/START 16:00【出演】
#KTCHAN
テークエム(梅田サイファー)
BOXER
MINA
Tyrkouaz
Litty
DDJ 葵
YURERUKO
DJ YANATAKE
DJ KANT
ReGiNa
Spicyyyy
Fiora
FUN’k
Saaya number【TICKET】
ファストパス:¥5,000(+1D)
一般チケット:¥4,000(+1D)外部リンク
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