エクスペリメンタルな歌モノ新世界。松澤在音の3rdシングル「Dreaming」

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第68回目は、松澤在音をご紹介。

内発的なグルーヴと天性の懐っこさ、フォーキーな詩情を兼備した、日本のいまを生きるソウルシンガーである松澤在音。前回レビューした彼の1stシングル「好きにすれば」のMVは投稿から10日で20,000回再生を超え、「ソウルフルだけど都会的」「柔らかな声がいい」など、国内外のリスナーから多数のコメントが届いた。その後、2025年2月に2ndシングル「Anybody Knows」をリリースし、同曲はYouTube Musicの『R&B Japan』『Catch Up Japan』にプレイリストイン。4月にはTOKIO TOKYOにて開催されているオムニバスライブ<LOOSE PLAY>にバンドセットで出演するなど、ソロアーティストとしての活動を活発化し、注目度も高まっている。

恋する状態を構成や音像で体感させる“ラブソング新次元”

ソウル/ファンクマナーの演奏を軸に自分を素直に表現し、その上で《好きにすればいい》」とあえて言ってしまうラブソング「好きにすれば」。2ndシングル「Anybody Knows」では、さらなる音響的なトライや自然発生的に顔を出すジャズっぽいノートなど、破格のソングライティングに驚かされることに。もちろん、緩急を心得たレコーディングミュージシャンと、1stシングル以降ディレクションを務めるRyosuke TakahashiAnan Satoshi、レコーディング/ミックス/マスタリングすべてのエンジニアであるbisshiの手腕もあるが、言葉通りの意味でオルタナティヴなソウルミュージックへの意欲を掻き立てる松澤自身の歌とソングライティングのパワーあってのことだ。ちなみにTakahashi、Anan、bisshiは言うまでもなく元PAELLASのメンバーで、3人体制では浪漫革命、AnanとbisshiのコンビではKhakiのサウンドプロダクションなども手掛けており、松澤の作品がベタなソウル/R&Bと一線を画すのは自明である。

そして今回リリースされる3rdシングル「Dreaming」では、さらに松澤の奔放なボーカルと変幻自在なグルーヴミュージックが、新しい体験をもたらしてくれる。生音だが、エモみをなるべく排除したミニマルなビート。対してギター、ベース、コーラスがジャズマナーなメロディかつユニゾンで迫るアンサンブルの厚み。透明なサイケデリアとでもいうべき空間を作るリバービーなギター。〈Brainfeeder〉のアーティストからエレクトロ要素を差し引いたようなオケは言葉で説明しづらいが、そのことが《選ぶ きみを 求めた姿 変わる 僕は どうしても変わる》と、単語をパズル的に置く歌詞と限りないシナジーを起こす。もちろん主役は自由に収縮するボーカルだ。ルーツに根ざしながらも、自分の歌とメロディを探してきた松澤の音楽はいよいよこの曲で、誰かに恋する状態を構成や音像そのもので体感させるという、“ラブソング新次元”にたどり着いている。ソウル寄りのSSW好きはもちろん、エクスペリメンタルな音楽が歌モノになり得る奇跡を体験したい人にもぜひ聴いてほしい1曲だ。

RELEASE INFORMATION

インフォメーション画像

New Single「Dreaming」

2025年5月28日(水)リリース

EVENT INFORMATION

<月刊キャノンボール>

2025年6月24日(火)
東京・ 下北沢BASEMENT BAR
OPEN 18:30/START 19:00
TICKET:¥2,000(+1D)/学生 ¥1,000(+1D)
※チケットは取り置きのみ

-Act-
田山ショーゴ
松澤在音
Tide
辻井くぬえ

<BONE WEEK WONDER ’25>

2025年7月31日(木)
TOKIO TOKYO
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET:ADV ¥3,500(+1D) / DOOR ¥4000 (+1D)

◼︎チケットはこちらから

-Act-
luvis
REJAY
松澤在音(band set)

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松澤在音(まつざわざいおん)

大阪出身、東京在住21歳のソロアーティスト。ブラックミュージックをルーツとしつつ、どこかキャッチーさやラフさを感じる楽曲が特徴。日本語詞のラブソングを得意とする。

2024年に初めて西荻窪w-jazにてバンドセットで行ったワンマンライブのチケットは SOLD OUT 。以降、ライブ活動・リリースともに精力的に活動を行っている。
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