兄弟2人組バンド・生活の設計が語る、暮らしに寄り添う意思と音楽への愛|early Reflection

Interview

文: 神保未来  写:Kazma Kobayashi  編:Kou Ishimaru 

ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』。2025年10月度ピックアップアーティストとして、生活の設計が登場。

2023年発表の1stアルバム『季節のつかまえ方』が各所で評価され、その名を多くの音楽ファンに知らしめた生活の設計。その後メンバーが脱退し、2人組バンドとして歩み始めた大塚真太朗(Vo. / Gt.)と大塚薫平(Dr. / Cho.)の兄弟が、2025年10月15日に2ndアルバム『長いカーブを曲がるために』をリリースした。

ウェルメイドな作品となった前作に対し、今作は初期衝動を感じるようなアグレッシブなサウンドが響き渡る全8曲を収録。それでいて、肩肘張らずに聴くことができる心地よさや、多彩な音楽へのリスペクトを匂わせるスタンスは変わりなく、バンドとしての確かな芯も顕在化している。

そんな本作を象徴するリード曲「稀代のホリデイメーカー」「いさかいないせかい」の2曲は、片寄明人GREAT3)がプロデュースを手がけ、堀江博久(Key.)と井上真也(Ba./Burgundy)、さらにドラムテックに白根賢一(GREAT3)を迎えている。他、前作に続きパーカッションに關街LA SEÑAS、〈w.a.u〉)、ベースに清水直哉LIGHTERS)、大塚兄弟が恋する円盤で活動していた頃から親交のある栗田将治GliderHedigan's/Key.)、ライブでサポートを務める眞﨑康尚(Key.)、大橋哲郎(Ba.)も参加した。

前作の動画インタビューからDIGLE MAGAZINE二度目の登場となる彼ら。歌詞においても真太朗の意思が滲み出た楽曲が増え、さまざまな変化が感じられる本作の背景には、どんな出来事や想いがあったのだろうか。アルバムについてじっくり話を聞いた。

ライブを重ねて芽生えた新作への意識

ー前作『季節のつかまえ方』は、各方面で好評でしたね。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

おかげさまで。生活の設計にバンド名を変えて初めての作品だったので、フレッシュに受け止めてもらえたのかなって思います。いろんな人に良いって言ってもらえたのは励みになりましたね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ニュー喫茶ロック”を謳ったのも初めてだったけど、いい動きができたなと思います。

ー1st発表後から今作までの大きな変化というと、ベースの辻本秀太郎さん(水いらず)が抜けたことかなと。二人体制となって、制作方法や心境等は変わりましたか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

この言い方が正しいかはわからないですけど、もともと兄弟で始めたバンドだったので、“戻った”というか。兄弟でやっていく覚悟みたいなものはできたかもしれませんね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

やっぱり1人いないと違うなって思います。一対一で打ち合わせをするようになったのも大きいです。今作の8曲も、そうやって2人で向き合っていく中でできたという達成感がありますね。

ー今作の制作がスタートしたのはいつ頃ですか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

はっきりとは覚えてないんですけど、1stを出してからライブをする回数が増えて、2人体制になってからサポートメンバーを迎えて演奏していくうちに、「1stよりもアグレッシブな作品にしたいな」とぼんやり思うようになりました。ライブをやっていく中で、今作への意識が芽生えていったような記憶がありますね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

2025年1月頃に茶沢通りの居酒屋で「この曲は誰々を迎えたらいいんじゃないか」みたいな具体的な話を、飲みながらしたのは覚えています。今作の曲は、ライブが6人編成になって、音像がボリューミィになっていくうちにできたものが多くて。だからソングライティングも含めて、ライブの影響を受けるのは自然な流れだったかなって。

ー事前にアルバムのコンセプトなどは決めていましたか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

あんまり決めてないかもしれないです。決めたことといえば、片寄明人さんにプロデュースしてもらえるといいんじゃないかな、とか。

ー片寄さんにお願いしたいと思った理由は?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

GREAT3の1st・2ndアルバムがすごく好きなんです。GREAT3はAORやソフトロックに影響を受けていると思うんですけど、1970年代頃の音楽をバンドに落とし込むのがすごく上手いというか。僕らも影響を受けた音楽を自分たちの曲にアウトプットするという面は持っているし、そういう音楽を作りたいと思ったときに、片寄さんは適任かなって。あとは先ほどの“2人体制になってからの変化”の話にも繋がりますけど、曲によっては舵を取ってくれる人がもう1人いると、指針になるかなって思いました。それで、片寄さんとイベントで一緒になったときに手紙を書いて渡したのが最初で。

ーラブレターみたいで素敵。片寄さんとの制作はどのように?

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

去年のまだ暖かい時期に、片寄さんがうちにいらしてくれて。3人で「曲を作るうえではまずリズムの取り方が大事だよね」と、2拍目・4拍目のバックビートの取り方を、いろんな音源を紹介してもらいながら教えてくれた時間があったんです。今思うと、それが今回の制作の始まりだったような気がしますね。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

薫平の家でテレビにYouTubeを映したり、いろいろ音楽を聴いたりしながら「こういう音楽に影響を受けている」みたいな話をして。片寄さんが僕らに「こういう音楽にもっと近づいたらより良くなるんじゃないか」っていろんな曲を聴かせてくれるすごくいい日でしたね。プロデューサーっていうより、一緒の目線で音楽を聴いてくれる、一緒に楽しんでくれる人なんだなって。

ーライブを重ねて今作への意識が芽生え、片寄さんとの作業が始まり、今年に入って制作に向けて本格的に動き出した感じなんですね。片寄さんと会った日はどんな音楽を聴いたんですか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

会う前に片寄さんがプレイリストを作ってくれたんですよ。そこには昔のAORもあればBenny Sings(ベニー・シングス)みたいな近年のアーティストもいて、メジャー7thコードを使いつつ、バンドの音像がすっきりしている海外のアーティストが多かったと思います。当日は片寄さんが動画を見ながら実際にリズムを刻んでくれたりして。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ギターも持ったりしてね。大学時代にYouTubeで音楽の動画を見て、なんでもないことをずっと話していたときみたいな、そんな感じの時間でした。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

ずっとGREAT3の音楽を聴いていたから、感慨深いものはありましたね。さりげなくこの日があるけど、ファンからするとすごいことだなって。

でも片寄さんは優しい方で、緊張もすぐほぐれて。それが最初にあったので、一緒にスタジオに入るときやレコーディングも、すんなりいけた感じがありました。

世界で起きている出来事と日常を結ぶ、バンドのアティチュード

ー曲作りの流れについても教えてください。前作は、真太朗さんが弾き語りで曲を作ってデモに起こし、それをリズム隊に渡して、膨らませながらスタジオで組み立てていく方法でしたね。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

曲によってはデモを作った曲もあったけど、今作は2人でスタジオに入って「こんな曲があって」という具合に弾き語りで聴かせて、その場で直感的に薫平に合わせてもらってから整えたりサポートメンバーを迎えて組み立てたり、肉体的な感じというか。そうやってできた曲が前作よりも多かったかもしれないですね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

2人でやっちゃったほうが早いので(笑)。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

それで、スタジオで録音したものを片寄さんに送って聴いてもらう流れでした。片寄さんは丁寧に1曲ずつコメントをくれたんですけど、その中で「アルバムにこういうピースがあるとより良いかも」と言われて「稀代のホリデイメーカー」を作って。この曲は片寄さんと一緒にやらなかったらできていなかったです。

ー1stのときのインタビューでは、薫平さんが「リズムから組み立てて曲を作りたい」とおっしゃってましたが、それは実現できましたか?

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ギターの弾き語りを持ってきてもらうことがほとんどなので、リズムから作るという意味ではまだないですね。ただ、「ポモドーロ」はそういうアプローチに近いかもしれないです。この曲は、初めて自分が作曲してて。鍵盤から始まるんですけど、「リズミカルな感じでやってみよう」って話したので。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

刻む感じがね。この曲は、1stの頃からお世話になっている小西康陽さん(ex.ピチカート・ファイヴ)にきっかけをもらったよね。雑誌で対談させてもらったときに、「薫平くんは曲書かないの? 聴いてみたいな」という話をして。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

そういうふうに言っていただいたら、もう「はい」って言っちゃいますよね(笑)。「朝起きたときの寝ぼけ眼で作るといいよ」とアドバイスをいただいて、形ばかりですが真似してみたりしてできた曲です。

ー鍵盤で作ったんですか

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

そうですね。でもサビの部分はギターで作っています。それを2人でスタジオに入ったときに(真太朗に)聴かせて。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

歌詞は僕が書いているんですけど、構成は2人で整理したよね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

そうだね。いやぁ、難しかった。「構成をちょっと短くしてみたら?」とか「それいいね」といろいろ言ってもらって、ようやく骨組みができて、鍵盤とベースが入ったあともさらに抜き差しをして。そういうのも初めての経験でした。最終的にレコーディングエンジニアの池田洋さん(hmc studio)が整えてくれて。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

僕が曲を作るときは、コードもなるべく複雑にしたいというか、いろいろ使って音像をカラフルにしたい気持ちがあるんですけど、薫平の曲は構成もアレンジもわりとシンプルで、それがアルバムの中でいいアクセントになっていると思います。

ー歌詞に関して言うと、今作では“東京”という言葉を使った楽曲が複数ありますね。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

東京で生まれ育ったからかもしれないです。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

小西さんに影響を受けているのかなと思ってた。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

それもあるかも。あと、今回のアルバムは食べ物がよく出てくるなって自分でも思います。たとえば「街とダンサー」の《何故か今日はファミレスのポテトが超食べたいよ》は揚げ物が好きだから出てきた言葉なんですけど、そういう食べ物や個人的に結びつきが強い場所とか、パーソナルなものを歌詞に入れていきたいなという感覚が今回はあって。そういう意味では、生まれ育った“東京”が歌詞に入ることも自然というか。

ー確かに、今作はパーソナルな部分が垣間見えたり、真太朗さんの想いを感じる曲もあったりと、そこも1stからの変化だと感じました。でも、前作のインタビューでは「あまり“自分”を入れないように意識している」とおっしゃっていましたよね?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

1stは風景描写が多くて、自分の意識を抑えて見えるものをそのまま書くというのを意識してたんです。でも、自分の気持ちとかパーソナルなことを歌っているほうが気持ちが高揚する感触がライブでもあって。そこから、曲を書くときにそういう要素を入れたくなったんだと思います。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

「いさかいないせかい」も食べ物が出てくるけど、反戦的な部分があって、今までそういうことをあえて歌詞にすることがなかったので、新鮮だなと思いました。自分も好きなバンドがそういうアプローチをした曲を聴いて共感することがありますし、ガザをはじめまだ惨劇がある中で、バンドのアティチュードとしてこういう歌詞があるのはいいなと思いました。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

薫平に歌詞入りのデモを送ったときに「すごい。これはいいよ」って言われたのはめっちゃ覚えてます。すごく嬉しかったですね。

ー「いさかいないせかい」を書いた背景を詳しくお伺いしたいです。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

テレビやネットを通して、(情報として戦時下の国の)ひどい風景や大変な状況が入ってくる中で、なんとか自分の言葉で残せないかなと思ったんですよね。ただ、声高に言うというよりは、何でもない日常と対比する書き方ができないかなと思って。日々の暮らしが出やすいものを考えたときに、食事ってみんなするものなので、一番伝わるワードとして食べ物が出てきたんです。そこと、自分の住んでる国じゃない場所で起こっている状況の不思議なコントラストが、この曲の芯だと思っています。

今の時点でできるやり方で、自分なりに曲として落とし込むことができたので、書けたあとは達成感がありましたね。

ー「いさかいないせかい」を聴いたときに、ぜひ質問したいなと思ったことがあって。音楽って、社会に問題提起することもできるし、逆にそういった現実とは一線を引くというリスナーへの寄り添い方もできるわけですよね。そこに正解はないと思いますが、生活の設計の音楽はどんなふうに届いてほしいですか? 現時点での考えをお聞かせください。

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

僕は、国籍とか関係なく市井(しせい)の人に届く音楽を…と言ったら、ちょっと恩着せがましいですけど、そういう人に届くようにやっていきたいです。ライブでも、いろいろなアプローチがある中で「お客さんはどう感じるんだろう」と最近考えるようにしてて。自分たちの半径5メートルで終わらせることもできるけど、その先にどういう人がいるかをちゃんと考えるというか。

そうやって活動していけば、いつか分岐点が出てきて、そのスタンスがいい選択になるときが来るかもしれないので、そういう気持ちを持ち続けることは大事だなと思っています。自分たちらしくいつつ、いろんな人に届くといいなと思いながら、これからもやっていければなって。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「いさかいないせかい」で言うと、日常のことを描きつつ社会性を帯びる歌詞が書きたいなと思っていたので、おそらく自分もそういう音楽が聴きたいって深層心理があったんだと思うんですよ。でも、曲を作っている人の政治的主張をそのまま乗せるのではなくて、日々の暮らしからそこに少し触れていくというか、そういうのが透けて見えるぐらいの温度感でできないかなと思って、この曲を書いた記憶があるんですよね。

僕は「こういう曲があれば自分は好きになってるだろうな」っていう、自分の聴きたい音楽を作っていて。だから、意思がちょっと見えるぐらいのレベル感で表現している、でも根っこには自分たちのアティチュードや考えていることがしっかり見える――そういう音楽を僕は聴きたいし、作りたいと思っていますね。

Stevie Wonderにフィリーソウルなど。アルバムの“元ネタ”

ー今作はBPMが速くドラムの手数が多い曲や、ボーカルの言葉数が多い曲もあって、メロディ/サウンド面での変化も大きい作品です。プレイヤー目線で前作から変わったと思う部分はありますか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

片寄さんに1stアルバムを聴いてもらったときに「すごくいいね。歌をもっと良くしていくと、さらにいい作品になるんじゃないかな」と言ってもらったんですよね。プロデュースしてもらった現場でも歌に力を入れていて、楽器はもちろん歌録りのときも一緒にテイクを選んでもらいました。だから歌に関しては前よりもグッと良くなったんじゃないかなと、個人的に思いますね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

初めてクリックなしで録った曲もありますね。「稀代のホリデイメーカー」のリハで堀江博久さんが「ノリをそのまま録れるといいよね」と言ってくださって、クリックなしでやってみたら「意外といいじゃん」となって。それが良かったから「タイニー・シャイニー」もクリックなしでやってみようぜ、と。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「君に起こりますように」もクリックはないよね。他の2曲で味を占めて「スローな曲もできるんじゃね?」って(笑)。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

特にこれはリタルダンド(※テンポを徐々に遅くすること)していく部分が多くて。遅くなってまた速くなる、みたいな。それはクリックがあったらできないことなので、やれて良かったです。

それ以外はそんなに変わってないというか、むしろ昔っぽくできたような気がします。逆に1stの静かな感じが自分にとって新しいトライだったので、今回は本来の自分らしく、より好き勝手やれた感じです。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「稀代のホリデイメーカー」のスタジオで、薫平が「このテンポでこんなに叩いていいんですかね?」って聞いたときに、堀江さんが「若いうちにしかやれないから、今やっておいたほうがいいよ」と言ったのが、めっちゃいいアドバイスだなって。堀江さんはスタジオの雰囲気を上げてくれる人でしたね。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ミックスのときも「こんなにバカスカやっていいのか」って思ったくらい、気が済むまでやれました。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

1stは“ニュー喫茶ロック”というコンセプトで静かな曲も多かったので、今回は薫平がドカドカ叩いたり大きい音でバシーンと出したりする、そういう持ち味を出せるポイントがあればいいなと思ってて。「稀代のホリデイメーカー」「タイニー・シャイニー」がアルバムのトーンを引っ張ってくれているのは、1stと違う面を見せるという意味でいいなと思いますね。

あと、1stを聴いてくれた人が僕らのライブを見ると「音源と全然違うね」「ロックだね」って言ってくれることが多くて。僕は渋谷系に影響を受けているんですけど、そういうコード進行の中で音像はロックバンド感があったり、どっちも一緒にあるのは自分たちのいいところのひとつかなと思います。ライブを重ねたうえでできた作品の中で、そこを表現できて良かったですね。

ー「タイニー・シャイニー」は、Martha & The Vandellas(マーサ&ザ・ヴァンデラス)の楽曲をThe Who(ザ・フー)がカバーした「Heat Wave」っぽさを感じました。

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

まさに。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「Heat Wave」は、The Jam(ザ・ジャム)がカバーしてたバージョンやザ・コレクターズの日本語カバー「恋はヒートウェーヴ」とかもあるんですけど、それっぽい感じでやれないかなって。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ドラムはめんたいロックとか。

ーそうそう、ザ・ルースターズ「どうしようもない恋の唄」も彷彿としました。この曲もおそらく元ネタは一緒ですもんね。また、メロディでCarpenters(カーペンターズ)をオマージュしているのも面白いなって。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

そういう元ネタがわかりやすい曲って僕も好きで。マッシュアップも好きなので、それを自分でもやれないかなと思った曲の1つでしたね。

ーその他、今作のリファレンスを思い出せる範囲で教えていただけますか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「小東京(リトルトーキョー)」は、Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)を下敷きに作った覚えがありますね。「いさかいないせかい」はフィリーソウル(フィラデルフィアソウル)と呼ばれている、ちょっと華やかなソウルの音像で作りたいなと思いました。1990年代の日本に、このあたりの楽曲をピックアップしていく“フリーソウル”というムーブメントがあって、片寄さんの音楽にも通じるところがあるので、この曲はやりたいことが伝わるのも早かった気はしますね。サビ前のフレーズは、フリーソウルの有名な曲から聴く人が聴けばわかるフレーズを入れてます。

ーそして、「稀代のホリデイメーカー」はモッズやノーザンソウルで。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

そうですね。ライブのレパートリーにPicoの「I LOVE YOU」のカバーを入れているんですけど、その曲のトーンと近い感じを僕は「稀代のホリデイメーカー」に感じていて。片寄さんにライブを見てもらったときに「あの感じすごく良かった。そのテンションで作れないかな」と言ってもらった覚えがあります。

フジロック出演という新たな野望

ーアルバムタイトル『長いカーブを曲がるために』はどのように決めましたか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

タイトルはギリギリまで決まらなかったんですけど、車が歌詞に出てくる曲やドライブをしながら聴いて気持ちいい曲も多いので、そういう要素を込められないかなって。

あとは、“長いカーブ”って人生の曲がり角とも解釈できると思うんですけど、そういう生活の中での変化に直面したときに、ちょっと気がラクになったりふと気持ちが落ち着いたり、寄り添えるような音楽になれないかなという意味合いもちょっと込めました。

ーなるほど。

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

「タイニー・シャイニー」でも《top of the world まで言わないさ/ささやかで良いから楽しくさせて》と書いてますけど、人生って完全にパーフェクトでずっと楽しいということはなくて、タイミングは違えど誰しも長い曲がり角やカーブが出てくると思うので、そういうときにちょっとだけ楽しくなれるような作品にしたいと思ったんですよね。

ーまた、2026年2月7日(土)東京・青山月見ル君想フにて、バンド編成のワンマンライブを予定していますね。

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大塚薫平(Dr. / Cho.):

ゲストも呼べたらなと。アルバムにはいろんな人が参加してくれたので、できるだけいろんな人に出てもらえたらいいなぁと思ってますね。ステージで人の出入りがあると見ている人も楽しいと思うので。リハーサルが大変だなとは思いつつ(笑)、そういうところで2人でやる良さを出せたらなって。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

このアルバムは僕らだけじゃ絶対できなかった作品で、もちろんお客さんもそうですし、周りの人たちのおかげで作品作りや日々の活動ができていて。そういう感謝ができるような日にしたいですね。

ー最後に、バンドの野望について伺います。前回は「自分たちの興奮を保ちながら、聴いてくれる人に楽しんでもらえる作品を作り続けたい」(真太朗)、「目の前のライブを楽しみたい」(薫平)という目標でしたが、現在は変わりましたか?

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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

今回も作品を出し続けられたことが嬉しいです。やっぱり、なるべく長く続けられるバンドでありたいですね。それが野望かもしれない。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

僕は活動の中でライブが一番好きなんですよね。そのうえで、どんどん言葉にしたほうがいいなと思うのは、<FUJI ROCK FESTIVAL>に出ること。それが夢というか目標なので、苗場でいつか演奏できたらなって。
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大塚真太朗(Vo. / Gt.):

僕も同じ気持ちです。フジロックは自分たちの活動のガソリンというか、ほぼ毎年遊びに行ってエネルギーをもらっているので、そのステージに立ちたいという気持ちはすごくあります。
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大塚薫平(Dr. / Cho.):

主催のSMASHの方が、この記事を読んでくれたらいいなぁ(笑)。

RELEASE INFORMATION

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2nd Full Album『長いカーブを曲がるために』

2025年10月15日(水)配信リリース

【収録曲】
1. 街とダンサー
2. 稀代のホリデイメーカー
3. いちょう並木の枯れるまで
4. いさかいないせかい
5. タイニー・シャイニー
6. 君に起こりますように
7. ポモドーロ
8. 小東京(リトル・トーキョー)

EVENT INFORMATION

<『長いカーブを曲がるために』リリース記念 ワンマンライブ>

2026年2月7日(土)
at 東京・青山月見ル君想フ
開場 19:00 / 開演 19:30

early Reflection

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early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでの動画インタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

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生活の設計(せいかつのせっけい)

東京を中心に活動する2人組バンド。メンバーは、大塚真太朗(Vo. / Gt.)、大塚薫平(Dr. / Cho.)。

前身バンド「恋する円盤」のメンバーだった大塚兄弟を中心に、大学の音楽サークルにて5人組バンド「Bluems」を結成。「Blumes」の結成から半年にして<SUMMER SONIC 2016>への出演を果たす。

その後3人体制となり、音楽性の変化に伴いバンド名を「生活の設計」に改名。“ニュー喫茶ロック” を掲げ、2023年4月には1st Full Album『季節のつかまえ方』をリリースした。

2025年10月に2nd Full Album『長いカーブを曲がるために』 をリリース。2026年2月7日(土)には、東京・青山月見ル君想フにて、バンド編成でのワンマンライブを予定している。
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