インディR&Bやチルアウトを作るユニットYONAGI。新曲は体験的なショートチューン

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第77回目は、YONAGIをご紹介。

今の30歳前後のミュージシャンのみならず、リスナーの音楽体験としてインディ・ポップに接続する初めてのブラックミュージックとしてインディR&Bが存在した人は多いだろう。今回紹介するYONAGIのふたりが何歳なのか不明なのだが、DTM主体のユニットという形態や、限りなく音数を選び抜き、根底にヒップホップの手法を感じるトラック、そして歌唱スタイルから、音楽性の重要な側面であると想像する。高校の同級生であるボーカルのkotaroとプロデューサーのtoseiからなるユニットで、東京を拠点に活動中、プロフィールとしてはこれぐらいしか情報はない。ただ、2023年に結成し、2024年から楽曲を配信リリースし始めたばかりにしては、配信シングル4曲とそれらの一部を含むEPを既に世に送り出すという、なかなかのペースを誇っている。特に「i likeが尽きぬ毎日を」は複数のプレイリストにも入り、徐々にリスナーを拡大中だ。

体験的な愉しみも志向するインディR&Bユニット

最初の名刺代わりとなったEP『1room journey』はタイトルが示唆するようにふたりで過ごした時間も、ひとりぼっちになってしまった時間も、空想を広げる時間も、同じワンルームであることが軸にある。1stシングルでもある「spaceship」でのくぐもったシンセベース、とことん抑制されたビートに有機的な生ギターのリフというミニマルな構成。そこにいわゆるR&B的な抑揚のない、いわば日本人の若い男性の素の声がむしろドキッとさせる。チルでアトモスフェリックな空間の中で知った顔に会うような感じというか。しかし歌メロはかなり卓越しているという不思議なバランスが、すでにポピュラーなジャンルになったインディR&Bやチルアウトヒップホップを違う角度で捉えさせてくれる。何より、EP全体をワンルームで展開される事象や想像でまとめている点が、まだ殻を破る前だったり、大きな世界に踏み出す前の世代感に説得力を与えているのだ。

EPに続くシングル「i likeが尽きぬ毎日を」では、急にオケの質感がリッチになり、空間も大きくなった印象で、リリックのちょっとベタかな?と思える押韻もいい意味でフックが効いている。各種プレイリストにピックアップされ始めたのも納得だ。

が!今回リリースされる「サマーリメイン」には驚かされた。そのままよりオーガニックな和製インディR&Bをポップに押し進めるかと思ったら、なんとこの曲、尺は1分1秒。アルバムのオーバーチュアかと勘違いしてしまうが、体験的なだけでなくしっかり歌が機能している。虫の音と温かなエレピが流れ込んできた瞬間、音の良さにハッとする。さらに歌が入ると、その豊かになったボーカルとそれに寄り添う単音のビオラや声の重ね、そしてエフェクト処理が神聖さすら漂わせる。が、環境音とともにあっという間にエンディングを迎える。あれほど終わって欲しかった酷暑が過去になったことに気づいてしまった。ちなみにこの曲の着想はtoseiが帰省先の館山の祖母宅で見た景色だったのだとか。空間オーディオにも挑戦し、体験的な愉しみも志向するこのユニット、まだまだ底が知れない。

RELEASE INFORMATION

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New Single「サマーリメイン」

2025年10月22日リリース
〈YONAGI〉

▶︎配信リンクはこちら

early Reflection

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early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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YONAGI(ヨナギ)

東京を拠点に活動するポップデュオ。高校の同期であるkotaro(Vo.)とtosei(Prod.)により2023年に結成。

ヒップホップのエッセンスを取り入れた耳触りの良いサウンドと、なめらかに溶け込むボーカルによる独自の楽曲を発表している。

2024年5月に1st EP『1 room journey』をリリースした。
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