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文: 黒田隆太朗
歌い手、ボカロP、WEBエンジニアなど、様々な顔を持ちマルチに活動するシンガーソング・クリエイター・victream(ビクトリーム)。2018年からVOCALOID楽曲をリリースし、2019年には「星屑メッセージ」のセルフカバー版を発表。YouTubeの再生回数が33万回を超えるなど、早くも多くのリスナーにその存在をアピールしている。2021年の7月には、元KAT-TUNの田口淳之介への楽曲提供を行うなど、作家としてもその力を発揮。様々な分野から刺激を受けながら、多角的なクリエイトを行う姿勢は、まさしく現代的な感性からくるものだろう。
今年初の新曲「Anxiety」は、侘しさを感じるリバーブをかけた音像と、自身の暗い心情を吐露するシリアスな歌詞が印象的で、日本語、韓国語、英語という3ヶ国語を折り混ぜ歌っている。ZOOMを繋いで行った初取材では、音楽を志た経緯から、自身のルーツや「Anxiety」の制作背景、さらにはK-POPからの影響や今後のビジョンについてなど、様々なトピックについて足早に語ってもらった。
ーvictreamというプロジェクトを始めた動機はなんですか。
受験生の時に「歌ってみた」を聴いて、そこで歌っている人がプロの歌手ではなく、自宅で録音したりしている人だって知った時に“こういう世界もあるんだ”と思ったんですよね。それで大学に入学したら自分もやってみようと思い、最初は遊びのつもりで始めました。歌ってみたの中でもトップの人たちに対して凄さを感じている反面、“自分もやってみたい!”という気持ちと、どこか自信を持っていて…その言葉にできない自信で今日まで活動してきました。
ーその自信はどこからきていたと思います?
当時スポーツで体を動かしていたので、セロトニンみたいなものが沢山出ていたんだと思います。
ーなるほど(笑)。
当時はボカロ・歌い手市場もそこまで大きくなく、今以上にみんな自由に音楽活動をしていて、そこも魅力でした。これだけ好きなように活動できるなら自分も自分のやり方で戦えるかもしれないと思ったことも事実です。
ーその頃から音楽への情熱があったんですね。
高校の時に軽音楽部でバンドをやっていて、その時は閃光ライオットを目指していました。ただ、自分1人で突っ走ってしまうことが多く、いつかソロでの活動をする日がくるのかもしれないなと、なんとなく思っていました。
ー人生で一番最初にのめり込んだ音楽ってなんですか?
WANDSです。たしか『ドラゴンボールGT』のエンディングを歌っていて、それをきっかけにTSUTAYAでWANDSのCDを借りました。「もっと強く抱きしめたなら」や「愛を語るより口づけをかわそう」が好きで、中学の時はずっとWANDSを歌っていて、僕の歌は上杉昇さんに影響されてると思います。
ー90年代のJ‐POPのメロディに惹かれるところはありますか?
それもありました。近いところで言うと、ZARDも好きで聴いていました。
ーvictreamさんの作品についても聞かせてください。現在発表されている作品は、毎回ジャケットも印象的ですね。
『テガミバチ』というアニメからインスピレーションを受けて、今のシリーズを作っています。統一感があるのは自分の性格的なとこもあって、色々な方向性が混在してしまうのが苦手だからですね(笑)。
ー作っている楽曲も、アニメやゲームとの親和性は高いですよね。
アニメが大好きで、中学の頃からいろんな作品を見てきました。自分もいつかアニソンを歌いたいという気持ちが本当に強いので、そう言ってもらえると嬉しいです。アニソンってやっぱり聴いていると力をもらえる感じがあるし、子どもの頃の記憶って、アニソンの中に入っている人も多いと思うんですよね。たとえば人によっては『NARUTO』のオープニングに思い出が結びついていたり、そうやって記憶と楽曲が結びつくとこは魅力だと思います。
ーフェイバリットなアニメはなんですか?
『CLANNAD』です。壮大な作品で、家族や生と死というようなテーマもあって、アニメを見て初めて泣いたんですよね。その頃はアニメって楽しいものだと思っていたので、号泣するほどの作品を観て将来僕はこの道に浸かっていくんだろうなっていう気がしました。
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