文: DIGLE編集部 編:Miku Jimbo
日本のメタルバンド、AZNIG。ポストハードコアやラウドロックのフォロワーにも響くような音楽性を展開する彼らのサウンドは、“メタルバンド”を謳いつつも、ひとつのジャンルにこだわらない幅広さを併せ持つ。そんなAZNIGのルーツはSystem Of A Down(システム・オブ・ア・ダウン)やDeftones(デフトーンズ)に加え、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)など古き良きロックンロールも。メタルの作法を押さえながらもオリジナリティを実現しているのは、こういった様々なルーツによるものだろう。
オリジナルメンバーのYUTA(Vo.)とKEN(Gt.)の邂逅は2008年、オーストラリアにて。YUTAの日本帰国後、インドネシア出身のギタリストKENはYUTAと音楽活動を行うために来日したという。そして現在に至るまで、ふたりは15年共に歩んでいる。2021年には前身のメタルユニットからバンド形態の活動に切り替え、「AZNIG」を結成。メンバーチェンジを経て現在は、YUTA、KEN、SHUN(Gt.)、TAKUYA(Ba.)、サポートのHIDETO(Dr.)の5人編成で活動している。
バンドとして初めて発表した楽曲「They Never Learn」は海外でも高く評価され、2023年2月には『あなた「無し」では』を発表。そして同年9月1日に「EMPTY ROOM」を配信リリースした。
今回のインタビューには、YUTAとKENが登場。新曲「EMPTY ROOM」の制作秘話だけでなく、バンドのバックボーンにも迫る。また、AZNIGが目指すバンドとしての理想像についても伺った。
ーDIGLE MAGAZINE初登場ということで、まずルーツとなったアーティストや楽曲を教えてください。
YUTA(Vo.):
System Of A Downの「Prison Song」、あとDeftonesの「Change (In the House of Flies) 」という曲ですね、これは衝撃でした。自分もこういうインパクトのある曲を作りたいなと思っています。KEN(Gt.):
この曲!というものを選ぶのは難しいですが、バンドでいえば70~80年代のバンド――Led Zeppelin、Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)、Van Halen(ヴァン・ヘイレン)、Metallica(メタリカ)などから大きく影響を受けています。ーAZNIG結成前は、YUTAさんとKENさんでメタルユニットを結成していたそうですが、おふたりの出会いについて伺えますか?
YUTA(Vo.):
結成は2008年、きっかけは私が高校卒業後オーストラリアの大学に進学した際に現地でインドネシア人のKENと出会ったことでスタートし、それ以降気づけば彼とは15年一緒に音楽をしています。ーKENさんはどのような経緯で来日されたのでしょうか?
YUTA(Vo.):
卒業後は私が就職で日本に帰国し、KENは現地の会社に内定を取るのですが「どうしてもYUTAとバンドがしたい。俺日本に行くから、また一緒にバンドしよう」と。彼はその半年後、日本に来て私とバンドを再スタートし、更にその後日本人女性と結婚もするという、大変ドラマチックな経緯があります(笑)。ーKENさんの行動力が素晴らしいです。前身ユニット結成からAZNIG始動に至るまでの13年間はどのような活動をしていたのでしょうか?
YUTA(Vo.):
これはKENも同じなのですが、しばらくシンセサイザーや同期音楽+シャウトというような音楽にハマっていた時期がありました。Crossfaithさんのような感じです。ーそうだったんですね。冒頭でおふたりに挙げていただいたルーツは、現在の音楽スタイルにどのような影響を与えていますか?
YUTA(Vo.):
自分が活動している音楽の世界観の幅は、大きく広がりましたね。KEN(Gt.):
主にパフォーマンスや作曲に影響を受けていますね、もちろんAZNIGではオリジナリティ最優先で作業をしていますが。ー普段、AZNIGの曲作りはどのように行なっていますか?
YUTA(Vo.):
基本的にギターのKENが土台のmp3音源を作り、そこに私がボーカルメロを乗せてメンバーに配り、それをリハで通して合わせ、細かいところを修正してゆく形ですね。ー新曲「EMPTY ROOM」はリスナーに解釈を委ねるような歌詞が印象的でした。タイトルを付ける際や歌詞を書く際には、どういった点を意識したのでしょうか?
YUTA(Vo.):
歌詞については具体的に説明をしすぎないよう心がけていますが、基本的にはファーストインプレッションで書いております。ーサウンドの組み立てはメタルを彷彿とさせますが、速弾きを用いず耳に残るギターサウンドを実現しています。KEN(Gt.)さんがギターを弾く際に意識したことはなんでしょうか?
KEN(Gt.):
EMPTY ROOMの訳通り「空室で何もない部屋」をイメージできるようなサウンドは意識しました。基本的な軸はおっしゃる通りメタルサウンドではありますが、一方で空虚感を出すフレーズもしっかりと強調しました。ーYUTAさんのボーカルは、Aメロの低音やサビの凛とした歌声、間奏前のハイトーンなど、幅広い歌唱表現で魅了しています。歌唱で特にこだわった点を教えてください。
YUTA(Vo.):
普段褒められることがあまりないので、うれしいです、ありがとうございます! こだわった点はシャウトの置き所ですね。ここを間違えると構成もアンバランスになるので、どのフレーズでどういう表現をするか。それは常に念頭に置いております。ー本作は、サウンドエンジニアのKelana Halimさんがミックスとマスタリングを手掛けているそうですが、どのような経緯でKelanaさんとの制作に至ったのでしょうか?
KEN(Gt.):
今回ミックス・マスタリングを担当したエンジニアKelana Halimですが、もともとはオーストラリア時代にYUTAと僕との共通の親友で、かつバンド仲間でした。以降彼はプロのエンジニアとしての道を選び、世界的なバンド・U2のミックスを手掛けるエンジニアとなりましたが、今回「EMPTY ROOM」の作業を担当してもらうことができて本当に光栄です。ーレコーディングで苦労した点はございますか?
YUTA(Vo.):
ボーカルのメロの一部が、レコ前に急遽変更になったことですね。最初は「マジかよ…」とへこみましたが、結果オーライだったかな?とも思っています。ーその他、「EMPTY ROOM」でリスナーに注目してほしいポイントを教えてください。
YUTA(Vo.):
リスナーの皆さんが曲を聴いて、余韻に浸っていただければそれだけで大感謝です。好きな時に、好きなように聴いていただけると幸甚です。ーAZNIGは、バンド活動での利益を得ていないそうですね。SNSにてYUTAさんが“AZNIGは「売れて有名になりたい!」とかいうバンドじゃない”という主旨の発言をされており、活動に懸けるピュアな想いが感じられました。活動する上で大切にしていることを教えてください。
YUTA(Vo.):
最も大切にしているのは、「支えてくれる方々がいることを絶対に忘れない」です。ーおふたりが共に活動をスタートして2023年で15年になります。この15年で音楽性や活動に対するスタンスはどのように変化していますか?
KEN(Gt.):
スタンスに大きな変化はありません。大前提として、バンドメンバーはメンバー以前に人として、友達として常にリスペクトしてゆきたいですね。そして今私は会社員をしていますが、仕事以外は全てバンドに時間を費やすつもりで活動しています。これからも変わらず楽しくやっていくと思います。ー近い将来に挑戦してみたいことはなんでしょうか?
KEN(Gt.):
様々なジャンルのライブイベントに出て、音楽の幅広さをより広げて実力をぐんぐんと伸ばしてゆきたいですね。アルバムも近いうちにリリースできればと思います。ーアルバムのリリース、とても楽しみです。最後に、バンドとしての目標を教えてください。
YUTA(Vo.):
個人的にはターゲット層は日本だけでなく、海外にもあります。なので、将来的には海外のメタルフェスに出てみたいと考えています。バンドとして「売れたい」欲はそこまでないです。シンプルに「AZNIGっていいよね」って言ってくれる人が1人でも増えてくれると嬉しいです。KEN(Gt.):
上に同じくです。INFORMATION
![]()
AZNIG「EMPTY ROOM」
2023年9月1日(金)リリース
配信リンク:
編集部のおすすめ Recommend
Interview
Mai Kuno
Review
石角友香
Rensai
DIGLE編集部
Review
石角友香
Rensai
DIGLE編集部
POPULAR
人気記事