モデルからミュージシャンへ転身。シンガー・UNIが曲作りで大切にする日常への眼差し|early Reflection

Interview
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』。2023年12月度はUNIが登場。

ファッションモデルとして活躍しながら、よりアーティスティックな自己表現をできる場を求めてシンガーへと転身したUNI(ウニ)。

複数の肩書を持って活動するアーティストも増えている現代で、あえてミュージシャン1本に活動の軸を絞るには並々ならない決意があったことだろう。ミュージシャン転身に伴い、2021年4月からはより音楽活動に集中できる〈T-RECKLESS creative forest〉に所属。同年8月にシングル『ナイトドロップ』でデビューした。

ファンとの交流も密に行うUNIは、曲作りと並行してインターネット配信やライブ活動も精力的に実施。2023年12月13日にリリースした新曲「ピアス」も、ライブ中に実施したファン投票で1位を獲得した楽曲だという。本作はTOKYO MX情報番組『堀潤モーニングFLAG』12月度エンディングテーマに起用されるなど、すでに幅広いリスナーのもとに届いている。

今回のインタビューでは、UNIの音楽の原体験から、ミュージシャンに転身した際の心境、新曲「ピアス」について、そして今後の展望まで、幅広いテーマで話を伺った。

音楽にキチンと向き合いたい。モデル時代の活動を通して募った創作への想い

ーまずは、音楽が好きになった原体験から教えてください。

もともと小さいころから歌を歌うのが好きだったんです。自分の記憶にはもうないんですけど、幼稚園とか小学校低学年のときに将来の夢に「歌手になりたい」って書いていたんですよね。物心ついたときから歌を歌うのが好きだったので、夢が叶ったなって感じです。

ーミュージシャン/アーティストを職業として意識したのは?

10年くらい前です。最初は無邪気に歌って「楽しいな」という気持ちでしたが、今の事務所に所属する以前にお世話になっていたモデル系の事務所で、「歌ってみませんか?」って企画に誘われて。それで歌わせていただくことになって、実際に歌ってみて自分が歌ったものが形になったり、世に出て行ったりするのを体験するうちに音楽活動って楽しいな、いいなって。そこから本気度に火が付きました。

ー曲作りはいつ頃から始めましたか?

10年前、音楽をやりたいなと意識し始めてから、歌詞を書くようになりました。私は言葉を口にしてすぐに伝えたりすることがあんまり得意じゃないので、思ったことや感じたこととかをiPhoneのメモに残していくんです。そういうところから作詞をするようになった感じですね。

ー作曲はいつから?

曲を作るようになったのは、今の事務所に移ってからなので、まだ3年くらいです。以前の事務所では、完成した曲をいただいて歌う=シンガーとしての活動だったんですが、活動を続けるほどにそれだけでは満足できなくなって、曲を作りたいという気持ちをずっと持っていました。自分の想いを曲にして歌って届けたいと思う気持ちがすごく膨らんだんです。それで、移籍したタイミングで自然に曲作りするようになりました。

ー今は、モデルとアーティストを兼任したり、一度に複数の肩書を持つ人も増えています。シンガーソングライターに転身し、音楽活動に専念しようと思ったのはなぜですか?

音楽とキチンと向き合って取り組みたいと思ったからです。音楽活動をやるようになってから、「片手間に活動していてはいけないな」「そんなんじゃ通用しない世界だな」と私は思ったんですよね。

この事務所に入ったのも、アーティストが多く所属する音楽系の事務所だったというのが大きな理由です。それまでは、自分で曲を作って、リリースしてライブして…という、アーティストとしては当たり前の流れを経験したことがなく、気持ち的に「全部を経験しないとアーティストとして独り立ちできない」と、もやもやしたり焦ったりする気持ちがありました。今は周りにそうした先輩がいっぱいいて刺激をもらっていますし、自分がやりたかったことができているなって感じていますね。

ー2021年、「ナイトドロップ」でデビューしましたが、当時はコロナ禍で思うようにライブ活動などができない時期でしたね。

ええ。そのときにファンの方と少しでも交流したいと思って始めたのがツイキャス配信です。今も継続してやっているんですけど、もし、コロナ禍がなければチャレンジしていなかったかもしれないですね。応援してくれるみんなも、外に行けなかったし、家にいても寂しい気持ちとかつまらない気持ちとかがあったと思います。そんなときにツイキャスを見に来てくれて、そういう気持ちを一緒に共有できた部分はあったのかなって。

ーそのときに感じたことが曲になったりしましたか?

はい。2022年にリリースした「会いたい気持ち」という曲は、「会いたいけどあえなくなっちゃったな」とか「簡単に人と会うことができなくなっちゃったな」っていう(コロナ禍で感じた)気持ちを表現したところもありますね。特別な時期を経験できたから出てきた感情はあったかもしれないです。

ーツイキャスの面白さはどこに感じていますか。

生配信なので、自分のテンション感とか空気みたいなものも全部伝わるし、進行にも影響するところが面白くてハラハラします。あと、どんな状況でも歌を歌うっていう修行みたいな…。あ、修行は面白さではないか(笑)。

ー生配信ならではのハプニングもありますか?

そうですね…。たとえば、同時視聴の人数をチャレンジして集める企画をやったりするのですが、「何時までに集めるぞ」って目標を決めてやっていて、ギリギリで目標を達成するとドキドキする分、嬉しいです。あと、「何曲歌う」と決めていても、達成できるときもあればできないときもあって。生配信だからこその感動とかハラハラとかはいつもありますね。

ー見てくださる方々と一緒にドキドキしているんですね。

はい。あと、曲を新たにリリースするタイミングでは、リリース日の午前0時に向かって、みんなでカウントダウンしながら、一緒に新曲を聴くのも配信ならではだなって。CDではできない企画だなって思います。

ーリアルに大勢を深夜に集めるのは大変ですものね(笑)。

確かに(笑)。今はオンラインとリアルのいいとこどりができるようになったのかなって。ライブのセトリは自分でガチッと決めて挑みますが、生配信では「みんながこういう気分なのかな」って思ったらそれに合う曲を選んだり、「盛り上げたいな」って思ったらそういう曲をすぐに選べますよね。そもそも、ライブはお客さんがわざわざ足を運んで「見るぞ」という気持ちでいるので、雰囲気からして全然違う魅力があるなと思います。

日常を大切にすれば大きな事柄も乗り越えられる。温かな眼差しを向けた「ピアス」

ーライブなどに向け、曲を作り溜めていると思いますが、どんな順番で曲作りすることが多いですか?

一番多いのは、ギターのコードを弾きながらサビの部分だけメロディと歌詞を一緒に作って、後からAメロ、Bメロをつけていくというパターンですね。

あと、よく移動のために自転車に乗ってるんですけど、そのときに曲のタネが出てくるんですよ。それを鼻歌でボイスメモに録るのはやってますね。最初のきっかけは、それが多いかもしれないです。そこからコードを探していく感じですね。

ー自転車に乗っていて曲が浮かんだときは、周りに気づかれないようこっそり録音するんですか? 

そうですね。もちろん、自転車を止めて録ってますよ(笑)。「この人なんか歌ってるな?」って不審がられてるだろうなと思ったり、「うわ、めっちゃ人が近くいたわ!」とか後からびっくりすることも多いです。

ー恥ずかしさよりも、曲作りが大事だと。

そうです(笑)! せっかく降りてきたものを逃したくないですから。実は、「会いたい気持ち」のきっかけも、自転車に乗ってるときに出てきたものなんです。

ー自転車に乗って、身体を動かしたり景色が変わることで曲が浮かぶきっかけになる?

そうですね。体を動かしているっていうこともあると思いますし、その時々の空気感や季節、温度、湿度とか、そうしたものを感じているかもしれないですね。

ー五感すべてで街を感じる装置が自転車なのですね。他に、曲が浮かびやすいシチュエーションは? 

映画とか映像を見たときも浮かびますね。あと、誰かの作品を見に行ったりして「自分はこう思うな」とか、そういう心が動いたときに曲が浮かんでくるのかなって思います。

ー新作「ピアス」は、どのようなきっかけで生まれたのですか? 

2023年3月、アコースティックのライブをしたときに「ライブでもっと演奏したいけど曲が足りないな」って思ったんですよ。それで急きょ、短期間で作った中の1曲です。

ー何曲作ったのですか?

全部で5曲作りました。初めてそんなに一気に作ったのと、もうライブの日程は決まっているから、いつまでに作らないと間に合わない…って、かなり焦りましたね。まだ経験の浅い私が、曲をいっぱい作るだけでも無謀なんですが、それをすぐにライブで歌って聴いていただくという…今思うとイカれたことをしましたね(笑)。ライブを見にきてくれたみなさんに、新曲5曲についてファン投票したんですが、そのときにランキングの1位になった曲が「ピアス」だったんです。

ー「ピアス」はどんなメッセージを伝えたいと思って書いたのですか。

曲を作っていて、たとえば「大失恋した」とか「挫折した」といった大きなテーマは書きやすかったりするかもしれませんよね。でも、そうした大事件よりも毎日を生きていくことのほうが私は大きなことだなって気がしているんです。日常を大切にするとか、前向きに生きられるとか、それがあるから大きな事柄も乗り越えられる気がしているので。だから、何気ない日常を表現できたらいいなって思ったし、曲の中で“一緒に歩いていく”とか“前に進んでいく”みたいなものが伝えられたらいいなと思いましたね。

ーこの曲もサビから作ったのですか?

この曲は、確かAメロから出てきた曲だと思います。テンポももうちょっとミドルだったと思いますね。でも、気に入っているのはBメロだったりします(笑)。

ー歩くようなテンポが、日常感をナチュラルに醸し出していますね。

ありがとうございます。日々に寄り添える曲にしたいなと思いながら、歌詞をあとから書いていきました。この曲はあまり悩まず、日ごろから思っていることを素直に言葉にできたかもしれません。まあ、ライブが迫っていて時間もなかったですし、ふふふ。

ーご自分で特に好きな歌詞はどこですか? 

歌詞を書くときに思っていたのは、日常を基本にしつつ、いつもっぽい感じとそうじゃないところ、2つの視点を意識しました。《待ち合わせはここで/いつものところでしょう?》では日常的な気持ちを書きながら、2Aでは《お気に入りのリップつけて/思い描く理想を見る/少し違う君と私》と書くことで、日常との対比を上手く表現できたのかなって思います。

ーちなみに、楽曲制作でアレンジにはどう関わっていますか?

今は、お任せして委ねることが多いです。「全体はこういう雰囲気がいいです」って要望を伝えることもありますね。

ー「ピアス」のアレンジはどうでしたか?

「ピアス」に関しては、すっぴんの状態を渡してフルメイクで帰ってくる感じのイメージでした。作詞作曲を手がけたので、あとは「絶対にいい感じにしてくれるはず!」とワクワクしながらアレンジができるのを待っていた感じです。すっぴんからどんなメイクに仕上がるのかなってめちゃめちゃ楽しみにしてましたね。

ー「ピアス」をより楽しむためにお薦めの聴き方は?

大切な人と待ち合わせしていて、そこに向かって出発するときに聴いてもらうといいかもしれません。歌詞にも出てくるのですが、時間帯は朝が似合うかも。

そういえば、ライブで投票をしてもらったとき、この曲は女子票が多かった気がします。投票していただいた後に、話したときにも女性のほうが「『ピアス』に投票したよ」って言ってくれた方が多かったという印象でした。

ーどんなところが女性たちに刺さったと?

好きな人と待ち合わせするまでを曲にしてみたんですけど、「どんな服を着て行こうかな」「メイク濃すぎたな」「今日、顔むくんでるな」とか、そういうことを考えながら支度していたら時間がなくなっちゃった…みたいな感じを曲にできたら共感していただけるんじゃないかなって思ったんです。

そんなことも思いつつも、思い描いている未来が二人で違ったりするのを頭の中で考えたりしてもいる。コロコロと忙しくいろんなことを思い巡らせてるみたいな歌詞が、リアルに感じてもらえたのかもしれません。

ちょっとした違和感も見逃さない“ピュアな心”で活動したい

ー今までにシングルやミニアルバムなどを発表されています。今後も曲をまとめたものをリリースしたいですか?

出せるのであれば出したいなと思います。モデルからの転身を決めて、それ以降10曲以上を作ってきました。やっとそれで「この人は、こういう曲を歌ってるんだな」っていうのが(リスナーも)わかるようになった気がしていますし、自分自身もより活動の方向や自分の音楽が見えてきている気がして。もちろん、1曲だけを配信などで聴いていただくのも嬉しいですが、アルバムではいろんな曲調や歌詞の世界観を届けられると思うんですよね。

ー今後、挑戦してみたいジャンルや表現は? 

そもそも私が好きだからなんですが、今はミドルテンポの曲が多いのなかって。今後は、もっとライブもたくさんしていきたいなと思っているので、ライブでテンションが上がるような曲も作っていきたいですね。実際にライブをすると、「こんな曲調も欲しい」とか「こんなこと歌いたい」って明確になっていく気がします。

ー音楽面で他に挑戦したいことや、強化したいことは?

今は、曲作りの面でいうと感覚に頼って作っているんです。なので、音楽理論を学んだりすることで、もう少しロジカルに考えられるようになって曲の幅が広がるのかなって思いますね。

ーライブやコラボレーションしてみたい方はいますか?

Cyndi Lauper(シンディ・ローパー)さんですね。声とファッションが特に好きで、影響を受けたところはあります。動画とかでお薦めが出てきたりして、そういうのを見たのがきっかけだと思いますが、ちゃんと音源を聴くと声もすごく好きだなって思ったし、服も可愛いなって。

ー「Girls Just Want To Have Fun」のMVは、服装もキュートで元気になれますよね。

はい、めちゃ可愛いですよね。ライブでもし一緒に歌えるなら、特に声も曲も大好きな「True Colors」がいいかな。あと「Time After Time」も素敵な曲ですよね。もし「ピアス」を一緒に歌っていただけたら、めちゃめちゃ嬉しいです。

ーモデルとして活動していただけあって、自分らしさを伝えるツールとしてファッションも大事にされているんですね。

それはあるかもしれませんね。私は肩を出したほうが良く見せられると思うので、夏はずっとノースリーブなんですよ。SNSもその辺を意識ながら投稿しているんですが、夏場にたまたま半袖を着ていると、「あれ、今日ノースリーブじゃないね」みたいなコメントがくるようになっちゃって(笑)。

ーSNSでファンとの距離を縮めたり、双方向のコミュニケーションが取れるよう心がけているのですね。

SNSもそうだし配信もそうだと思うんですが、完璧にはできてないですけど、続けることって大事だなと思って。ツイキャスで歌っているところを見てくださった方が、ライブでも実際に「北海道から来ました」と言って来てくださったときはすごく嬉しかったですね。やっぱりずっと発信し続けなかったら出会わなかった人だろうなと思うし、それはすごいことだなって。続けてないと出会えないかな、届かないかなっていうのはありますね。

ーリアルなライブでの手応えや喜びはいかがですか?

ツイキャスを見ていて画面の中での私しか知らなかった方が、実際にライブに足を運んでくださったときは、ネットでは感じられないような温度だったり、一体感を楽しんでくださっているのかなと。私もそうしたものが届けられると嬉しいし、同じ空間を共有できるのっていいですよね。あと、単純に「実在したんだ!?」みたいなところもあると思うし(笑)。ライブでしか感じられないことっていろいろあると思いますね。

ーUNIさんの曲作り同様に、ライブは五感でUNIさんの音楽を感じることができるのですね。

はい。ライブによってバンドセットでやったりアコースティック編成にしたりとアレンジも違うから、そういう音楽的な意味でもいろいろと楽しめるのかなって思いますね。

ー今後、音楽活動を続ける上で大切にしていきたいことは? 

ピュアな心でいることですかね。通り過ぎてもいいことを通り過ぎないようにちゃんとするっていうのかな。ちょっとした違和感を、良いことも悪いことも見過ごさないでちゃんと感じれるように。ずっとそうしているのが大切なのかなって思いますね。

ーでは、最後に今後の目標や夢を教えてください。

2024年もすでにいくつかライブが決まっていますので、それを成功させたいです。また、もっともっと(リスナーに)寄り添えるようないい曲をたくさん書いていきたいですし、曲を作ったらライブをして届けに行きたいですし…ライブ会場も少しずつ大きくしていけたらいいなって。大きな会場になると、観ていただける演出とかも増えると思うので、より楽しんでいただけると思うんですよ。そうなるよう頑張りたいですし、期待していてください!

INFORMATION

New Single「ピアス」

12月13日(水)リリース
〈T-RECKLESS creative forest〉

【配信リンク】https://linkcloud.mu/ff2386b0

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでの動画インタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

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UNI(ウニ)

静岡県出身。ファッションモデルでありながら、よりアーティスティックな自己表現を実現できる場を求めてシンガーへと転身。2021年4月より〈T-RECKLESS creative forest〉に所属し、同年8月にシングル『ナイトドロップ』でデビューした。コロナ禍により活動に制約が生じる中、インターネット配信によるファンとの交流や事務所企画のライブ活動を中心としながら楽曲制作も精力的に行う。そして2022年2月にシングル「愛する日々」、同年8月に1stミニアルバム『Weekend』、2023年6月にシングル「ひとひらの想い」を発表。12月発表の最新作「ピアス」は、TOKYO MX情報番組『堀潤モーニングFLAG』12月度エンディングテーマに起用されている。
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