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文: 黒田隆太朗
柔らかいギターの音色と、儚く繊細な感性を感じる歌、そして『いつか花束を』という祈りが顕在化したようなタイトル。これは分厚い雲の隙間から差し込む、一筋の光を見るような音楽だ。兄・堀智喜(ほりともき)と弟・堀晃輔(ほりこうすけ)のふたりが中心となり結成したバンドe.r.a。幾度かのメンバーチェンジを繰り返しながら、現在は上記のふたりとベースのDavidにサポートドラムを加えた4人編成で活動。3月にバンド名をStone Flower Bloomsに改名し、本名義での初作品『いつか花束を』をリリースした。90年代のオルタナティブロックやブリットポップを思わせるメロディと、浮遊感のあるアコースティックギターの音色が心地良く、ひたむきなリリックには作り手の誠実な思いが込められているように思う。バンドのルーツと自身らの音楽観について、智喜・晃輔のふたりに語ってもらった。
ーオルタナティブロックやブリットポップ、あるいはドリームポップのような浮遊感のある音楽からの影響を感じました。おふたりはどんな作品に触れて、今こうした作品を作っているのでしょうか。
堀智喜:
僕はColdplay、Radiohead、U2、R.E.M.を意識的に聴くようにしていて、90年代のUK、USの音楽に影響を受けています。ーそれらの音楽が琴線に触れる理由はなんだと思いますか?
堀智喜:
Coldplayは中学2年生の時にテレビで流れているのを聴いて、俗に言うロックに打たれたじゃないですけど(笑)、初めてCDを買ったアーティストでした。それが4枚目のアルバム『Viva la Vida』ですね。ーなるほど。
堀智喜:
それから彼らが1作目のアルバム『Parachutes』を、Radioheadの『The Bends』の柔らかい曲を集めたようなアルバムにしたかったというのをインタビューで知って。それでRadioheadを聴いてみたら、当時の捻くれた高校生だった自分に刺さってどハマりしましたね。他にもColdplayが影響を受けたというミュージシャンを聴いていくうちにU2やR.E.M.辿り着き、好んで聴くようになりました。ーギターの音はSuedeなどの90年代のイギリスの音楽からの影響を感じました。
堀晃輔:
Bernard Butler(バーナード・バトラー)が大好きなので、それは嬉しいですね。ギタリスト目線で一番参考にしているのがThe Verveで、Nick McCabe(ニック・マケイブ)には凄く影響を受けています。あとはThe SmithsのJohnny Marr(ジョニー・マー)とか、The Stone RosesのJohn Squire(ジョン・スクワイア)も好きです。ー若い頃の自分に、そうしたギターの音が刺さったのは何故だと思いますか。
堀晃輔:
はじめはEric Clapton(エリック・クラプトン)とかを聴いていたんですけど、兄が聴いているColdplayを知ってからは、僕もUKの方を掘っていく様になって。それでThe VerveとかThe Stone Rosesにハマっていったんですけど、彼らの楽曲はギターの音に広がりがあるというか、ギターがギターじゃない様な音をしているなって思ったんですよね。ーまさにそうですね。
堀晃輔:
その後にMy Bloody Valentineに出会って、もう彼らはギターなのかシンセサイザーなのかわからない音を出していて、どうやってこの音を出しているんだろうって思ったんです。そこでお年玉でラットとディレイのペダルを買ってみたら、これだ!ってなって。自分も空間の広がりを感じる音だったり、お風呂の中にいる様な音のギターを演奏するようになっていきました。ーRadioheadやThe Smithsをはじめ、おふたりが挙げたルーツはマッチョとは異なる、繊細でナイーブな感覚が表現された音楽が多い印象です。それはStone Flower Bloomsの音にも言えることですが、そうした部分に惹かれたところもあるんでしょうか。
堀智喜:
それは明確にありますね。一発殴られたら死ぬんじゃないかって人がやっている音楽が好きです(笑)。そういう音楽にある切なさや今にも消えてしまいそうなものに魅力を感じますね。なので、自分で曲を作ろうと思い立った時から、僕も儚い音楽をやりたいなと思っていました。POPULAR
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