次代のアートアイコンを志す新鋭・gatoが掲げる破壊と創造の美学 | Newave Japan #51

Newave Japan

文: 黒田 隆太朗  写:Hideya Ishima  編:Mao Oya

DIGLEオススメ若手アーティストのインタビュー企画『Newave Japan』。51回目は都内を中心に活動するエレクトロバンドgato。メンバー全員のルーツから、バンドが見据えるビジョンを紐解く。

gatoの音楽は美しい。色気と品格があり、暗闇で光るナイフのような危うい鋭さを持っている。ポストロックのダイナミズムと抒情性、ハウスの持つ陶酔感、トラップやフューチャーベースが生み出す快感、トライバルなリズムが生み出す高揚、そしてオリエンタルな音が醸し出す幻想性、彼らはいくつものカルチャーを横断し蠱惑的なエレクトロを生み出している。

メンバーはage(Vo&Sampler)、takahiro(G&Sampler)、hiroki(Dr)、kai(Manipulator)、sadakata(VJ)の5人。2018年に結成、都内を中心に活動している若いバンドである。今回のインタビューでは、メンバー全員にルーツをまとめたプレイリストを作ってもらい、gatoの根底にある哲学に迫る取材を試みた。ageが語る「誰も追いつけないカリスマ性を出したい」という言葉こそ、この音楽の根幹だろう。「アートアイコンになりたい」というバンドの野心と、初のアルバム『BAECUL』について語ってもらった。

ストーリーを持った音

ー皆さんからいただいたルーツ・プレイリストを元に、gatoの音楽観に迫るような取材ができればと思っております。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

よろしくお願いいたします。

ーageさんは自身が選んだ3曲に何か共通点があると思いますか?

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

ストーリーがある曲で、3曲とも起承転結が大きく出ていると思います。

ー楽曲的にはポストロックの要素がある曲がふたつと、ジャズをセレクトされていますね。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

バンドを始める前、ソロで音源を作っていた時期があって。その頃ポストロックのような大きいスケール感と抒情性を持った音楽に影響を受けていて、Owenは当時作った曲でも参考にしていました。

ーなるほど。Chick Corea(チック・コリア)は少し意外でした。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

gatoの原型になる音源を作っていた頃、平行してジャズのベースも弾いていて、その時のルーツですね。Chick Coreaの「500 Miles High」は、プレイヤーとしてのストーリー性というか、彼のソリストとしての起承転結が出てる曲だと思って選んでいます。

ーでは、Akutagawaは?

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

Akutagawaを選んだ理由は、カッコいいからです。

一同:(笑)。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

ハードコアやポストハードコアも好きなんですけど、彼らはマスロックを取り入れて、作品を通してストーリーが展開していくようなアルバムを作っていて、そういうところに惹かれていました。僕達の楽曲に「Dawn」という曲があるんですけど、そのタイトルはこの曲のEPタイトルが元ネタです。

ーポストロックやマスロックの持つダイナミックな展開に惹かれたのは何故ですか。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

型にはまらない自由さとか、創作的な部分にも憧れを持っていたと思います。あと、僕は歌詞にストーリーを任せるのが好きじゃないんですよね。楽曲だけでしっかり進んでいくものが音楽だって当時は思っていたし、曖昧なところを残しながら、音楽としてリスナーに委ねているところが素敵だなって思います。

ー意外だったのは、gatoの音楽性には欠かせないクラブサウンドやダンスミュージックに類する楽曲を、ageさんがセレクトしていなかったことです。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

自分が挙げた3曲って、マインド的な部分が大きいんですよね。精神的な部分で影響を受けている楽曲を選びました。今言われたダンスミュージックで言うと、僕は自分のライフワークとしてクラブに行くことが多いし、普段リキッドルームや東間屋っていうDJバーで働いているので、そこではずっとテクノが流れているんですよ。

ーなるほど。

インタビュイー画像

age(Vocal, Sampler):

自分でDJをすることもあるし、gatoの音楽はそういうところから影響を受けているのかなって思います。僕はストーリーがあるものが好きだけど、同時に無機質でずーっと同じ音が流れるような音楽も好きで。gatoのきっかけになった作品で言うと、Mura Masaのファーストの『Soundtrack To A Death』かな。体に来る音というか、耳だけで聴いてはいない感じがします。自分の音楽でも、音で動きを体現しているものを作ろうというのは、凄く心がけています。
次ページ:音楽を融合させる

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この記事を作った人

WRITER

黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

PHOTOGRAPHER

Hideya Ishima

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2018年、突如インディーシーンに現れたエレクトロバンド。

post dubstep, future bass, hiphopといった昨今のグローバルトレンドを抑えつつも、日本人の琴線に触れるオリエンタルなサウンドは、現行のインディーシーンにおいて唯一無二の存在。高い歌唱力、曲を繋いで展開していくDJライクなパフォーマンス、映像と楽曲がシンクロするライブには定評があり、クラブシーンやギャラリーなど、ライブハウスの垣根を超え出演オファーが続出。着々とファンを増やしている。

2019年末には、無名ながらも恵比寿LIQUID ROOMの年越しイベントにてサブステージのトリを飾った。2020年10月に初の全国流通盤『BAECUL』をリリース。収録曲「C U L8er」がNHK-FM『ミュージックライン』のタイアップ曲に選出。またApple Music ではエレクトロ部門にてバナー展開、Spotify では公式プレイリストに収録曲が多数選出された。同年11月にはゲストアクトにNo Busesを迎え、渋谷WWW にてリリースパーティを開催予定。
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