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文: Hiroyoshi Tomite 写:Toshiaki Kitaoka
Vol.1で話をしてくれるのが2015年東京のインディーシーンのど真ん中にいるYkiki Beat/DYGLの首謀者秋山君。そして、アドバイザー的立ち位置で彼らをサポートする音楽ライターなどでも活躍する“きくりん”こと菊地君。
Ykiki Beatの『Forever』は20代前半のバンドどこか逃避的な安全な場所で鳴っているのではなくて、普遍的な熱さと野心と若さに満ち満ちて、音楽シーンのど真ん中で未来を変化させる意志に溢れている。初めて聴いたとき、音が鳴り始めた瞬間、熱い何かが心のなかにたぎるのを感じた僕は、彼の話が聞きたくて堪らなくなった。
菊地君はそんな秋山君が持っている熱さや本物にしかない輝きに触発されたからこそ、マネージャーとしてサポートするようになったのではないかと解釈している。僕が彼らに話を聞く事で自分自身を奮い立たせようと思ったように。
若い2人が未来に向けてどんな思いを抱えているのか聞いてみた。
—そもそもの2人の出会いについて教えてください。
菊池:
初めて僕がアッキーに会ったのは2013年12月頃のライブ・イベントですね。そのイベントは僕もアッキーもフリーマーケットで私物を売りたかったので参加してました。たまたま席が隣になって、自分たちの私物がなかなか売れないのもあって結局そのイベント中はずっと話してたんです。初めて会ったのに会話の内容は濃密で、お互い意見を激しくぶつけましたね。東京のインディー・シーンについてとか、海外のバンドと日本のバンドの違いとか。そしたら「実は自分もDYGLっていうバンドをやってる」って教えてくれて、そのとき会場で売ってたバンドの音源をくれたんです。DYGL自体はよくツイッターとかで目にしてたんですが、聴いたことはなかったんで気になって帰ってすぐ聴きましたね。
その日に話した内容と彼のバンドの音楽を聴いてると、この子はきちんと周囲を冷静に見て、未来を見据えて活動しているんだなというのがすごく分かって、また会って話をしたいなって思いましたね。
その数ヶ月後、僕はアメリカに約一ヶ月渡って、自分が作ったZINEをお店に置いてもらったり、自分が好きな向こうのミュージック・シーンにどんどん入って取材をしたり写真を撮って過ごしたんですけど、ライブハウスに行ったり、向こうのミュージシャンと遊んだりしていく中で、向こうの音楽やシーンにおけるいいところと悪いところが結構明確に見えてきて、なんというか、憧れっていうメッキがボロボロ崩れていったっていうか。
コーチェラのBo Ningenの演奏とか本当に凄かったっていうのもあったんですけど、滞在最後の週は日本人の音楽ばかり聴いてましたね。音源を聴きながらまた「LAで活動している彼らと日本のバンドでは一体何が違うんだろう?」とか考えたりして。そこで一番ひっかかったのがDYGLでした。楽曲のクオリティが高いし、ライブもうまい。リリックもかっこいいし、英語の発音も綺麗。「アッキーは絶対海外で勝負したほうがいい」って思いました。全然向こうで戦えると思いました。戦うっていう表現がそもそもおかしいんですけど、でもそう強く思いました。日本に帰ったら一番真っ先にそれを伝えなきゃって思って、実際に日本に着いて15分後くらいにメール送ったんですよ、成田空港から(笑)。
そしたらすぐに秋山君から電話がかかってきて、「実は僕もきくりんさんにマネージャーとして動いて欲しいって思っていたんです」って言われて、すごく驚きましたね。なんか運命みたいなものすら僕は感じました。
秋山:
実はDYGLのメンバーと話をして、海外で勝負したいってギターの下中と話をしていて、そういう風に近くで導いてくれる人が必要だってなったときに、きくりんさんの名前が挙がったんですよ。だから連絡があったときは、本当に驚きましたね。菊池:
メールを送った翌週にTemplesの来日公演があってそれにアッキーを誘ったんです。ライブの前にアッキーから「こういうことを手伝って欲しい」って言われる中で、どうしてもマネージャーっていう言葉がピンと来なくて。日本の音楽業界的には「マネージャー」という肩書きで決めたほうがうまく回るのかも知れないけど、自分としてはマネージャーじゃなくて、まずは友達としてやっていきたい気持ちがありました。なんでも言葉に頼るのはよくないし、単純にプレッシャーになりそうでやりづらそうだと思ったっていうのもあるんですけど。結果的にあのときに、「友達」って設定したからこそ対等に議論できたし、それからアッキーもズバスバ言ってくれるようになりましたね。
—でもきくりんは元々音楽ライターとして活動していた経緯があるよね。それが何故、「友達」としてDYGLのサポートをすることをやろうと思ったわけ?
菊池:
好きな音楽を僕が発信する方法なんていくらでもあるんだなって思えたのが大きいですね。それはアメリカに行って気づいたことなんですけど…。たくさんの人が色々な表現方法で音楽に携わってるのを見て感化されたんです。例えばライターでも自分でレーベルつくってカセット出したりとか。それが本当に素人レベルで色んなところで起きてるんです。でもそれがすごく自然に見えたし、僕もやりたいと思ってたことはこれまでたくさんあったんで、「じゃあやろう!」って腹をくくって、その一発目がたまたまDYGLのサポートでした。
去年、JakeBuggとかSavegesとかのインタビューをたくさんやらせて頂いたりしたんですけど、自分はバンドマンとすぐに仲良くなったりするっていうのに気付いて、そういう立ち位置から自分が描ける範囲で音楽を提示できたらいいなっていう風にも考えてはいたんですけどね。
—ある程度の経験値があるから、そのままキャリアを積むことができたけど、海外を観たことで、もっと今自分にできることがある、純粋にやるべきって思えたってことだよね。
菊池:
経験はたくさんしてきたつもりですけど、経験値はどうですかね(笑)。逆に言うと、アメリカと日本を比べて、レーベルの人とか以外にアーティストをサポートする人がいないという発見があったから、ですかね。もっとアーティストに近い位置で「こうしたほうがいいんじゃない」とか、「こうしようよ」っていう人がいなさすぎるというか。それをやっていったら新しいんじゃないかなって思った部分もありますね。TAG;
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