yung xanseiがアトランタに辿り着くまで、そしてプロデューサーとしてのアイデンティティとは

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文: kyotaro yamakawa  編:Etoo 

アトランタ在住の日本人ビートメイカーであるyung xansei。 日本国内外のHIPHOPシーンで頭角を表しつつある彼の知られざる素顔に迫った。

ビートメイカー・yung xansei。現行HIPHOPの震源地であるアトランタに身を置きながら、NLE CHOPPAKOHHGottz(KANDY TOWN)、JP THE WAVYLeon Fanourakisなど国内外の第一線を走るラッパーにトラックを提供する注目の20代のフレッシュマンだ。

本インタビューでは、日本を離れてアトランタで暮らす現在までのヒストリーから、提供したビートで日本のリスナーにその才能の片鱗を見せた昨年のAbema TV「ラップスタア誕生」の反響や裏話まで尋ねた。

一般的な彼のイメージとしてあるバイオレンスなバイブス溢れるトラップビートを「一つのフェーズ」と語る、本インタビューで垣間見れたプロデューサーとしてのアイデンティティには特に注目してほしい。


日本からアトランタ、これまでのキャリア

ー音楽との最初の出会いを覚えてますか?

小学校の昼休みに誰かがかけてたMONGOL800とか、NARUTOのアニメの曲で使われてたASIAN KUNG-FU GENERATIONにハマって聴いてました。あとはMTVに出てたRIP SLYMEとかKICK THE CAN CREWがかっこよかったのは覚えてますね。それ以降は、ヘビメタとか洋楽にハマって日本の曲は聴けなくなりました。

ー音楽を作り始めたのはいつ頃からですか?

ビートを真剣に作り始めたのは4年前ぐらいですかね。それまではLogic買って、ギター弾いてるシンガーの友達とレコーディングとかしてました。今聴くと、iPhoneのボイスメモ程度のクオリティなんですけど(笑)。きっかけはあんまり覚えてないんですけど、何かのきっかけでHIPHOP聴いて。FutureDrakeの曲やったっけな。そこから始まりました。

ー勝手なイメージでしたけど、日本にいる頃からビートの制作をされていたわけでは無かったんですね

そうですね。日本と繋げてくれたのは、ライターの渡辺志保さんです。VICE MENTAっていうメキシコ人のグループがいるんですけど、そいつらと作った曲を志保さんがラジオでかけてくれたり、KANDY TOWNのGottzさんに『この曲作ってるのは日本人のビートメイカーなんだよ』って紹介してくれて。そこから日本での活動が拡がりました。

アトランタの風景 photo by yung xansei

ー日本からアトランタへ渡った経緯は何がきっかけだったのでしょうか?

元々は高校生の頃に留学をしていて。高校を卒業してからはまずLAに行ったんですよ。その当時は人生でやりたいことを探してました。ただ、LAでの生活はバイトばっかりで毎日が同じで結構鬱状態だったんですよね。そうやって人生変えたいなって思ってた時に、たまたまアトランタに友達が引っ越したんですよ。その友達が、『HIPHOP好きなら今ここ凄いからくれば?』って言ってくれた事がきっかけで、お金貯めて自分もアトランタに行きました。貯めたって言っても30万ぐらいしか無かったので、そこから居候生活が始まりましたね。今思うと、何とかなるし何でもいいやって結構投げやりでしたけど(笑)。

ーだいぶ思い切った決断ですね。アトランタでの生活で、ご自身にはどのような変化がありましたか?

一番大きい変化は、南部の人の訛りが強くて何て言ってるかがあんまり分からなかった事ですかね(笑)。あとは、全てがまた新しくなってワクワクはしてました。刺激が多くて、周りの音に影響されたのもあったかもしれないです。

ービートメイカーにおいて重要なのはコネクションだとご自身のYouTubeでも話されていましたが、過去で一番繋がれて印象的だった人はいますか?

さっき言ったVICE MENTAですかね。アトランタに来てから、色々あって住む所が無くなった時があったんですよ。その時に、とにかく屋根の下で寝たいのもあって、ダメ元でVICE MENTAに一週間だけ泊まらせてほしいってお願いした事があったんです。その一週間で一緒に曲を作ったんですけど、面白い曲が奇跡的にできたんですよね。それがキッカケになって、もうちょっと一緒に曲作ってみる?って言ってくれて。そこから半年ぐらい居候してました。彼らは当時セルフプロデュースだった事もあって結構な音楽オタクで、その時に音楽について色々習いましたね。

ー素敵な出会いですし、xansaiさんのキャリアにとって重要な分岐点にもなるんですね。

あとは、アトランタで写真家をしているAKIさん(AKI IKEJIRI)ですかね。何でか知らないんですけど、Migosとかヤバい人達の写真めっちゃ撮ってる人で。その人が志保さんの事を僕に紹介してくれて、そこから更に拡がっていきました。
志保さんにKOHHと曲を作りたいってDM送ったら、KOHHのA&Rの人と繋げてくれたりして。福岡出身っていう事で意気投合したこともあってそのA&Rの人にずっとビート送り続けてたら、この前アルバムに「2 Cars」って曲で入れてくれましたね。

ートラック提供するラッパーとは対面することがあまり無いそうですね。

そうですね。DMでのやりとりがほとんどです。なので日本人がアメリカのアーティストとの共演をするっていうのも僕は普通にできると思っていて。今こっちでループっていうのが流行ってるんですけど、誰かが作ったメロディを元にビートを作る、みたいな。それが出来たらコラボにもなるし、もし有名なアーティストに使われたらクレジットにも名前が載るかもしれ無いですよね。このやり方でヨーロッパの方からも名前を上げてる人って沢山いるし、それなら日本でも出来ると思うんですよ。日本にもヤバいビート作る人ってめっちゃいるし、英語習えばいいんじゃないかな。

ー20代ながら、波のある凄い体験をされてると思います。特に日本に住む同年代だからこそ自分はそう感じました。

確かに波瀾万丈ですね(笑)。普段は自分の事を客観視できなくて、とにかく生きていくっていうかほぼサバイバルに近い生活をしてきたので改めて話すとマジで奇跡やなって思いました。
元々は日本で普通に勉強とかしたくなかったから留学したわけやし、日本の社会に飲み込まれたくなかったっていうのはありますね。

話題となった「ラップスタア誕生」へのビート提供

ー少し話題変えまして、昨年日本でもxanseiさんの名前が広く知られるきっかけにもなったAbema TVの「ラップスタア誕生」はご覧になられてましたか?

YouTubeとかTwitterでは見てたんですけど、こっちではAbemaを見れなくて本編は見れてないです。ただ、自分のビートを使ってくれてる人も多かったみたいで反響は本当に凄かったですね。Abemaには10個ぐらい違うタイプのビートを送って、あれが選ばれて。結構攻めたビート作ったつもりだったんですけど、みんな色々やってて面白かったです。

ーちなみに、見た中ではフェイバリットなラッパーはいましたか?

やっぱり、Ralph君を見た時はこの人は明らかに違うなって思いましたね。ラップのデリバリーっていうか、本物のアーティストなんだろうなと感じました。

ーあのバイオレンスなトラックを作ってる反面、19年にリリースされてるSabrina Claudio feat.Waleの「All My Love」の様な落ち着いたR&Bまで作られているのを見て、幅の広さに驚きました

ありがとうございます。自分の中ではフェーズがあって。19年はあの感じのR&Bだったんですけど、その年末から2020年は激しい系の曲ばっかり作ってました。最近はLeon君とかKOHHとも激しい系の曲を作れたので、これからはまた違うタイプの曲をやってみたいですね。

ーご自身の作ったビートをリスナーにはどう感じてもらいたいですか?

僕的には、リスナーの日々のお供になってくれてたら嬉しいですね。例えば激しい系のビートなら筋トレとかエクサイズの時にアガってほしいのもあるし、落ち着いた曲であればチルしてる時にBGM代わりに流してくれてても嬉しいですし。誰かの日常で使われてくれてたら嬉しいです。

ービートメイカーとしてこだわっている部分はありますか?

HIPHOPなら、やっぱりノリが大事とか色々ありますね。ただもっと大きく言うと、大事にしてる部分は聴いた人を違う世界に連れていくことですかね。最近もThe Weekndとか聴いて思ったんですけど。『何これ!クソヤバくね?』って驚かせるのが理想ですし、そういう曲を作りたいです。聴いたらトランス状態になる、みたいな(笑)。それが一つのゴールかもしれないです。

アトランタの風景 photo by yung xansei

ー僕がxanseiさんのビートを聴いてて思ったのはキャッチーで中毒性があることだったので、徐々にトランス状態に近づいてるかもしれませんね(笑)。今後、挑戦したいジャンルなどはありますか?

色々ありますよ。チル系っぽいインディーポップとか…。あとはK-POPもやってみたいですね。UK Garageもやりたいですし、今やってるHIPHOPはフェーズの一つって感じなので。

ーK-POPにも関心があるのは意外な答えですね。ただ話を聴いていると従来のHIPHOPやラップミュージックに深いルーツがあるわけでも無さそうなので、納得できる部分でもあります。

そうなんですよね。Metro Boominとかに憧れたので今はHIPHOPをがむしゃらにやってますけど、最近は音楽を作ることが段々分かってきたので違うジャンルにも挑戦したいです。リリースされるか分からないですけど、K-POPっぽいJ-POPグループにも最近曲を送りました。個人的にはクソヤバいのができたと思ってます(笑)。

ーめちゃくちゃ楽しみですねそれ、聴いてみたい!(笑)。今、共作してみたいアーティストはいますか?

今パッと出てきたのはMorrayですね。めっちゃかっこいいなと思ってます。あとはやっぱりFutureYoung Thugとか大御所系はやってみたい。日本人でいうと、Tohji君とかかな。KOHHが日本人で一番好きなラッパーなんで、もっとやってみたいですね。

ー今後の展望や目標などありますか?

新しいアーティストをブレイクさせたいです。最近、新人と契約したんですけど、その人は20歳でまだ一文無しって感じではあるんですけど、ポップス系なのでクソかっこいいしポテンシャルがあるなって思ったので。あともう2人、18歳と20歳の人がいて。最近この2人でグループ作ったんですよね。結構メロディに凝ったグループで、日本の人にも早く聴いてもらいたいです。あとはアパレルとかグッズ作ってみたいですね。

ーますます今後の活動が楽しみになりました。続報を待ってます。最後に、読者やリスナーの方にメッセージをお願いします。

応援してくれてありがとうございますって感じです(笑)。まだまだ始まったばかりなんですけど、日本人として誇らしいと思われる人になりたいので、これからもよろしくお願いします。

yung xansei

福岡出身, アトランタ在住のプロデューサー。
2016年の半ばに、MetroboominとSouthsideのビートに衝撃を受け、YouTubeを見ながら、ビートの作り方を習い始める。2017年9月にアトランタに引っ越す事を決意し、現地で知り合ったアーティストのアパートに居候、その後にスタジオの空き部屋に寝泊まりし始め、様々なアーティスト・ソングライター・プロデューサーと楽曲制作に取り組み、2019年の夏にアメリカのメジャーレーベルからAll My Love – Sabrina Claudio x Waleがリリースされる。
その頃から日本人とのラッパーとも曲を作り始め、今に至る。

ライタープロフィール

kyotaro yamakawa

from 兵庫,尼崎
メインテーマとルーツはHIPHOP
フリーのライターとして鋭意活動中

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その頃から日本人とのラッパーとも曲を作り始め、今に至る。
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