ひとりの空間へと還ったTHE CHARM PARK。パーソナルな新作に込めた思いを紐解く

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文: 黒田 隆太朗  写:後藤倫人 

昨年2枚組のアルバム『Timeless Imperfections』をメジャーからリリースしたTHE CHARM PARKが、新作『Standing Tall』をリリース。パーソナルな心情が反映された新作に込めた思いに迫る。

活きたギターの音が聴こえる。作家の生の声が聴こえる。新作『Standing Tall』は、THE CHARM PARKの心の声を聴くアルバムだ。バラエティ豊かな2枚組の作品として、自身のポテンシャルを最大限に発揮した昨年リリースの『Timeless Imperfections』。それから7ヵ月というスパンで発表された本作は、ほとんどの楽器を彼自身が演奏し、パーソナルスペースで録音された一作だ。紛れもなく、作り手の心情が閉じ込められたアルバムである。『Timeless Imperfections』リリース以降、改めて原点へと立ち戻った彼が求めていた音楽とは。温かくも内省的な作品から、彼の願いを紐解いた。

自分の深い場所から鳴る歌

ー部屋に戻り、一息ついてギターを鳴らすフィールドレコーディングから始まることから、この作品が凄くリラックスしたムードで作られたことを感じました。

まさに家のドアを閉めて、自分の力で1枚の作品を作ろうとしたアルバムですね。前作の『Timeless Imperfections』というアルバムでは、1枚の作品で色んな自分を出したかったので、スタジオに入って弦の音を録ったり、ドラムも人に頼んで生の音で録ってみたんですけど。一番最初に自分で作った音源のように、自分の家でひとりで録って、アットホームな感じで作品を作るというのが裏テーマとしてありました。

ー何故?

やっぱり心地がいいんですよね、原点や初心っていう場所は。僕は2枚組の作品をメジャーから出してみた時、1個反省点としてちょっと初心を忘れているんじゃないかなと思ったところがあって。今回はなるべくそこを取り戻したい気持ちがありました。

ー『Timeless Imperfections』は非常にバラエティのある、スケール感の大きい作品だったと思います。あの作品のどういう部分に、初心を忘れているんじゃないかと思いましたか。

いや、あの作品というよりも、それをリリースした後の自分に対してですね。このアルバムを出した後どれだけ大きいものを作れるのか、もっと凄いものを作らなきゃいけないんじゃないかって、変に自分を責めていったところがあって。自分が最初に始めた時の楽しみはそこにあるのかって自問自答した時に、1回初心に帰ろうと思いました。

ーメジャーという大きいところでやっていくからこそ、自分の軸や柱がない状態では、この先やっていけないんじゃないかっていう気持ちがあったのでしょうか。

まさにその通りだと思います。去年のアルバムでは、初めて僕の音楽を聴いてくれた方が多かったと思うんですけど、そこからずっと壮大な音楽しか作れないっていうのは辛いかなと思っいました。こういうパーソナルでアットホームな作品をしっかりと作った上で、そういうものに挑戦する方がいいんじゃないかなって思っています。

ー今作はほとんどの曲でクレジットはチャームさんになっています。ドラムに関しても、神谷(洵平)さんが叩いているのは3曲目の「Still in Love」だけなんですよね?

はい、他の曲はドラムも全部自分で叩いています。「Still in Love」のサックス(武嶋 聡)とドラム、「花が咲く道」の女性コーラス(fifi léger)だけお願いしていて、他は全部自分で録りました。

ーそれも「初心に戻りたい」っていう気持ちから来たものですか?

そうですね。やっぱり、信頼できる人に任せるっていうのは凄く楽な仕事なんです。ファイルが来たらそれをミックスするだけなので、本当に手間はかからないんですよね。でも、そのパターンにはまっちゃったらそれしかできなくなっちゃう気がしていて。何より、僕の音源として作品を作るためには、0からミックスまで自分でやるのが一番伝わりやすいんじゃないかと思います。より壁をなくした状態で、音楽から素直な自分が見えるような作品を目指しました。

ーチャームさんが自分の歌やライティングだけじゃなくて、演奏まで全部こだわりたいっていうのはプレイヤーとしてのエゴもありますか?

確かに最近「シンガーソングライター」と言われることに凄く違和感を感じるのは、それが理由かもしれないですね。どっちかって言うと、「ワンマンバンド」の方がしっくりきます(笑)。もちろん同時に楽器を演奏することはできないですけど、それくらいこだわりたい気持ちがありますね。

ー何がそうさせているんだと思いますか?

日本に来て10年目になりますが、他の人に迷惑をかけたくないっていう気持ちがあるのかもしれないです。できていないところを他の人に投げてお願いするのが嫌なんでしょうね。そのくらい甘えてもいいのかもしれないですけど、何故か今の段階の自分には許せない気がしています。

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黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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後藤倫人

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“新世代ポップマエストロ”
シンガーソングライター、Charm(チャーム)によるソロユニット。

8歳から24歳までアメリカで過ごし、小学校3年生から高校まではロサンゼルス、その後ボストンの音大に通い、卒業後はまたロサンゼルスにて過ごす。

2015 年リリースの 1st ミニアルバム『A LETTER』から本格的な活動をスタート。
新人にもかかわらずタワレコメンに抜擢され、早耳リスナーの注目を集めた。

『A LETTER』リリース以降、各方面から作曲や歌唱、演奏の依頼が後を絶たず、大橋トリオ、南波志帆など現在参加中のプロジェクト多数。

2016年12月、2nd mini album『A REPLY』リリース。
Apple Music が今最も注目すべき新人アーティストをピックアップする企画「今週の NEW ARTIST」や、収録曲「そら」が TOKYO FM「クロノス」レコメンドソングに抜擢。

2017年5月、新曲「Dreamers」が起用された SEIKO の新企業CM「ただの数字じゃない。Dreamers 篇」が公開。同年7月からスタートした東名阪ワンマンツアーはチケット発売からわずか 2 日で SOLD OUT を達成。7月リリースの配信シングル「Starry」は日本テレビ系「PON!」8 月エンディングテーマソングに抜擢。8月にオンエアされたテレビ朝日系列「関ジャム 完全燃 SHOW」で「音楽業界のクセ者が選ぶ、次来るアーティスト」として大々的に紹介され一躍注目を集める。

2018年に入り、フジテレビ「ストリートワイズ・イン・ワンダーランド―事件の方が放っておかない探偵―」の主題歌「ワンダーランド」を3月に配信リリース。
6月には、日本郵便 かもめ~る Web動画”ラストセーラー”篇 主題歌をリアレンジした新曲「カルペ・ディエム」や、竹内涼真が出演のメナード 薬用ビューネ2017/ 2018 TVCMソング「フォー・ユー」と話題のタイアップソングを収録したシングル「カルぺ・ディエム / フォー・ユー ep」、そして7月にSEIBU SOGO「2018年全国一斉母の日テスト」WEB動画楽曲で使用された新曲「Mothers」を収録した「Mothers ep」を2カ月連続配信リリース。

7月に開催の東名阪仙ツアー「WONDERLAND TOUR」では更に動員を伸ばし、GREENROOM、SLOW LIVE、オハラブレイク等各地フェスにも続々と出演決定してきている。

歌、ソングライティング、演奏をほぼ 1 人で行い作り上げる叙情的で美しい音世界とオーガニックかつダイナミックな楽曲スケール、緻密なメロディセンスとアレンジ力に全世界の音楽人が注目する新世代ポップス職人。
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