価値観を再定義する。Kroiが起こすクロスオーバー

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文: 黒田 隆太朗 

新曲「HORN」をリリースしたKroiにインタビュー。メンバー全員のルーツを紐解きながら迫る、バンドの野心と哲学とは。

「僕らがやることは再定義」ーーバンドのフロントマン・内田怜央(Vo)の言葉には、Kroiの哲学が集約されている。彼らがいくつもの音楽をごった煮にするのは、自身らが影響を受けてきた音楽を次のレベルに進化させたいから。つまり、未知の音楽を作りたいという好奇心故なのだ。

東京のライブハウスを中心に、昨年辺りからじわじわとその名を耳にするようになったのがKroiである。結成は2018年、内田、長谷部悠生(G)、関将典(B)、益田英知(Dr)、千葉大樹(Key)の5人からなるバンドである。R&B、ファンク、ヒップホップ、ソウル、ロックを洒脱にミックスし、人を食ったようなリリックと色気のあるグルーブでリスナーを刺激する。アートで遊ぶ楽しさに憑りつかれているような表情と、ファッショナブルな佇まいも人を引き付ける理由だろう。

新曲の「HORN」はアフロとディスコを接続したアップテンポのファンクであり、彼らの音楽の中でも一際エネルギーのある1曲だ。今回のインタビューでは新曲の話はもちろん、メンバーのルーツを掘りながら、バンドのメカニズムと野心について迫ってみた。シーンに新風を吹かせるだろう5人目指す未来とは。

人生で最も聴いたアルバム

ーそれぞれ人生で1番聴いたアルバムを教えてください。

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内田:

うわ、なんだろ?
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千葉:

俺はMichael Jacksonだな。絶対マイケル。
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内田:

どのアルバム?
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千葉:

意外と新しいやつが好きかもしれない。「Remember The Time」が入っている、『Dangerous』とか。

ーどこに惹かれました?

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千葉:

90年に出たアルバムですけど、当時あの音をやっているのが凄いなって思います。同じ時代の他のアーティストの曲よりも、明らかにビートが今っぽいというか、一個前が『BAD』でその時にも打ち込みの音はあったけど、より洗練されたエッジの効いたサウンドになっていて。ああいうサウンドをポップスに昇華して、それがあそこまで売れるっていうのは凄いことだなと。

ーつまり時代の先見性と普遍性の両方があった。

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千葉:

そうですね。そこがめちゃくちゃカッコいいと思う。

ー内田さんは?

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内田:

俺らは確実にレッチリ(Red Hot Chili Peppers)でしょ?
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長谷部:

そうだね。

ーお二人とも同じなんですね?

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内田:

こいつは俺の影響でレッチリ聴き始めて、今は俺より好きだよね。
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長谷部:

John Fruscianteはそうかもね。復帰した時、口から胃が出ると思いました。

ー(笑)。特に聴いた作品は?

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内田:

『Blood Sugar』って言いたいんですけど、『グレイテストヒッツ』とかにしときます(笑)。

ー素晴らしいベスト盤ですよね。

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長谷部:

曲順もめっちゃいいよね。
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内田:

そうそう。好きなアルバムはもちろんあるけど、『Greatest Hits』を聴いちゃうよね。ジャケ写もカッコいいし。
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長谷部:

口のやつね。俺は一番聴いたってなると『By The Way』ですかね。Chad Smithが「これはJohn Fruscianteだ」って言ったぐらいジョン色が凄く強く出てるアルバムで、楽曲もスローなナンバーから激しいファンクの曲まで幅も広いし、聴いてて全然飽きないです。

ーそうした音楽性の幅広さは、このバンドの表現にも繋がっている気がしますね。

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長谷部:

そうですね、絶対出てると思います。
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内田:

俺も『By The Way』に関してはいっぱい言いたいことがありますね。ジョンががっつりコーラスをし始める時期で、よりレッチリがメロディアスになる瞬間というか、それまでのファンクロックから一歩進化した音楽を見せたアルバムでそこが好きですね。ただ、やっぱり本当に全部好きなのは『Blood Sugar』です(笑)。

ー益田さんと関さんは?

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益田:

Johnny WinterOasisなんですけど、Johnny Winterかなあ。リゾネーターギターを持ってるジャケット(『Nothin’ But The Blues』)があるんですけど、多分それが一番聴いたアルバムですね。
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関:

俺はMichael Jacksonの『Off The Wall』か、Rage Against The Machineの『Evil Empire』。マイケルは昔から好きだったんですけど、『Off The Wall』に出会ったのは結構後になってからで。ただ、聴いた時にこれが一番ヤバいアルバムだなって思いました。
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内田:

どの曲が好きなの?
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関:

「Sunset Driver」。
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内田:

渋っ。
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関:

Quincy JonesLouis Johnsonのコンビがめちゃくちゃ活躍しているアルバムで、取り入れている要素の新しさたるや半端ないっていう。今出てもめちゃくちゃ尖ったアルバムだと思うし、それが1979年に出てたっていうのがなおさら鳥肌もんですね。
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千葉:

わかる。本当に凄いよね、あのアルバム。
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関:

アレンジから構成から音感から全部凄くて、難しいことなしにパッと聴いてかっけえって思える曲しか入ってない。で、もうひとつの『Evil Empire』ですけど、洋楽で一番聴いてたアーティストがRageなんですよね。アルバムやDVDを全部集めるくらい好きなんですけど、あのアルバムはキャッチーな曲が少ない分、聴き込むことでどんどんカッコよく聴こえてくるアルバムで。ジャケ写もカッコいいし、何度も聴くうちに自分の印象が変わっていったという意味で凄く印象に残っています。
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黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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Kroi is a Japanese band formed in Tokyo in February 2018.When mixing all colors, you create black. Using this phenomenon, Kroi replaces “all colors” with “all genres”, and they think that mixing the colors of all music genres will trigger the creation of original sounds.They also like the music of black culture, and they try to use influences and shocks received from black music in their own Japanese way. “Black” is “kuroi” (黒い) in Japanese, so they named the band “Kroi”.


2018年2月に結成。R&B/ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルか らの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。
バンド名の由来はあらゆる音楽ジャンルの色を取り入れて新しい音楽性を創造したいという考えで、全ての色を混ぜると黒になることからくる「黒い」と、メンバーが全員ブラックミュージックを好み、そこから受けた影響や衝撃を日本人である自分たちなりに昇華するという意味を込め、Blackを日本語にした「黒い」からKroiと命名。
2018年2月にInstagramを通じてメンバー同士が出会い、結成。10月に1st Single「Suck a Lemmon」にてデビュー。翌年夏『SUMMER SONIC 2019』へ出演。同年12月にリリースした『Fire Brain』はiTunes Store R&B/ソウルランキングでのトップ10入りや、J-WAVE「SONAR TRAX」の選出などで、注目を集める。2020年5月に最新EP「hub」をリリース。音楽活動だけでなく、ファッションモデルやデザイン、楽曲プロデュースなど、メンバーそれぞれが多様な活動を展開し、カルチャーシーンへの発信を行なっている。
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