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文: DIGLE編集部 編:Miku Jimbo
クリエイター集団「Konel」とソニー・ミュージックジャパンインターナショナルが2022年3月18日の「世界睡眠の日」にローンチした、おやすみ前専用の入眠プレイリスト『sasayaki lullaby』。
Backstreet Boys(バックストリート・ボーイズ)、One Direction(ワン・ダイレクション)、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)、Doja Cat(ドージャ・キャット)、24kGoldn(トゥエンティー・フォー・ケー・ゴールデン)の楽曲をささやき声でリメイクした5曲入りのカバー音源で、歌唱はシンガーソングライター・Sincere(シンシア)が担当している。同年4月にはフィジカル版EP『sasayaki lullaby Vol.1』もリリースされた。
世界的に見て平均睡眠時間が短い日本では、現在スリープテック事業が注目を集めている。その中でKonelは“睡眠の質”に着目。ささやき声で楽曲を聴くことで子守唄(lullaby)のような効果を得て、質の良い眠りを実現することができるのではないかと考え、『sasayaki lullaby』プロジェクトが始まった。
本プロジェクトでは楽曲の制作だけでなく、「sasayaki lullabyのプレイリストが睡眠の質にどのような影響を与えるか」という実証実験も実施。今回のレポートでは、結果発表会の模様とともに、楽曲レコーディング時のエピソードもお届けする。
日本でも人気の高い音楽グループの楽曲だけでなく、Doja Catや24kGoldnといった海外で注目を集めているラッパーの楽曲も取り入れた『sasayaki lullaby』。今回、これらの楽曲をささやき声で語りかけるようなアレンジでカバーすることで「オリジナル楽曲とは異なる魅力を伝えたかった」と、クリエイティブプロデューサーの大多康平氏は語る。
歌唱担当として選ばれたのは、多国籍のルーツを持つシンガーソングライターのSincere。透明感や包み込むような温もりのある歌声に加え、歌唱表現力の高さなどがプロジェクトチームの目にとまり、歌唱担当に抜擢された。レコーディングでは彼女自身もアイデア出しを行い、5曲のカバーが誕生。
sasayaki lullaby(ささやきララバイ)の名の通り、耳元で子守唄をささやいているような音源が理想にあった。しかし、オリジナル曲のメロディに抑揚があるため、単にささやいただけでは歌として表現しきれない部分が出てきてしまう。そこでレコーディングでは、ささやき成分を多く含みつつ歌として楽しめる、ほどよいバランスを目指したという。他にも、睡眠時の空間を意識して暗がりの中でレコーディングを行ったり、ミックスの際に音像や定位を調整し耳元で聴こえるような音源を作り上げたりと、さまざまな工夫が成されている。
こうして完成した楽曲たちが各種音楽配信プラットフォームで配信されるとともに、MVも公開中。
“おやすみ前の入眠プレイリスト“と銘打たれた本プレイリストだが、実際に睡眠にどのような効果をもたらすのだろうか。感覚的なアプローチだけでなく、具体的な影響を確かめるため、実証実験が行われた。
「音楽が睡眠に与える影響を検証する」という今回の実験には、NTT東日本とブレインスリープが参画。人間の生きる基盤である“睡眠”の重要性を感じ、スリープテックを活用した睡眠事業に力を入れている2企業だ。
今回行われた検証は2種類。実験の結果、以下の2点がわかった。
①『sasayaki lullaby』のプレイリストを聴くことで、交感神経を抑制する(=リラックスする)可能性が示唆された。
②プレイリストを聴くことで睡眠潜時(=寝付き)が改善し、睡眠効率が高くなった。
【検証1】音楽が自律神経に与える影響
この検証では、被験者10名に日中に『sasayaki lullaby』を聴取してもらい、心電図測定によって自律神経活動を評価。プレイリストのリラックス効果を調べる。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が抑制されて副交感神経が優位になると、いわゆる「リラックスした状態」となる。結果、交感神経が活発なとき(「緊張した状態」にあるとき)にプレイリストを聴くことで、リラックス効果がある可能性が示された。
【検証2】音楽が睡眠の質に与える影響
同じ被験者で「プレイリストを再生しながら就寝した状態」と「無音で就寝した状態」を比較し、睡眠への影響を調べる。
睡眠潜時は19.9分から11.1分に大きく減少し、プレイリストを聴いたほうが寝つきがよくなることがわかった。また、中途覚醒時間と離床潜時も減少傾向を示し、目覚めがよくなる可能性も示された。
これらの結果から「睡眠効率(ベッドに入っていた時間の中で実際に就寝していた時間)」も高まったことが判明。睡眠の質が向上したことが示されている。
スリープテック事業はまだまだ拡大している最中だ。今回の結果を受け、発表会の最後にKonel出村光世氏はプロジェクト継続への意欲を見せていた。音楽✕睡眠の分野のさらなる発展が今後期待される。
なお、ブレインスリープの松井大樹氏によると、睡眠時に室内の光が煌々としていると交感神経が優位になって脳が冴えてしまうという。就寝前から暖色系の照明を使った上で部屋を暗め状態にしておくと、リラックスした状態で眠りにつきやすくなる。さらに『sasayaki lullaby』のプレイリストを聴いて、安らかな睡眠体験を味わってほしい。
DIGLE MAGAZINE編集部とセレクターのリコメンド楽曲を集めたウィークリープレイリスト『DIGLE SOUND』では、国内外の新進気鋭のアーティストの楽曲をピックアップ。過去にはsasayaki lullabyの歌唱を担当しているSincereの楽曲も紹介しています。
毎週月曜日に国内アーティスト、第二週&第四週の金曜日に国外アーティストの楽曲を更新していますので、ぜひチェックしてください。
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