2020年に結成し、2022年の<FUJI ROCK FESTIVAL>のROOKIE A GO-GO出演や2023年の海外ツアーなどを経て、着実にリスナーを獲得してきたxiexie。活動4年目となる2024年6月には、1stアルバム『wellwell』を発表した。公演中、Meari(Vo./Gt.)が「“xiexieってこんなバンドだな”っていうのが、自分たちも感じられたアルバムになりました」と語っていたように、本作はインディポップやネオアコースティック、随所に漂うソウルやサイケの要素など、バンドの音楽性が濃縮された一枚となっている。
そして、本作を携えた<xiexie wellwell Tour2024>を8月に実施。ゲストアクトにLiving Ritaを迎えたツアーの初日公演は、青山 月見ル君想フにて行われた。
アルバム収録曲「眠民」が流れると、月が灯るステージにメンバーが登場。SEから間髪を入れずに幸田大和(Gt.)がギターを奏で、「my time」でライブをスタートする。飛田興一(Dr.)によるタイトでグルーヴィンなプレイや開輝之(Ba.)が奏でるアップライトベースの粘りのある音色が小気味よいリズムをつくり、観客をアルバムの世界へと引き込む。続く「poly」では、Meariが透き通る声からダークなラップまで幅広い歌唱表現を行い、ゆったりとした空間を創出。歌い終えたMeariが挨拶をすると、フロアから「最高ー!」と歓喜の声が飛んだ。
「calm sea」では観客が心地よく体を揺らす姿も。アルバム発売から約2ヶ月が経ち、作品がリスナーの心と体に染み込んでいるのが伝わってきた。全身に響き渡るような開のベースサウンドが印象的な「alien」を終えたのち、Meariが「今日は今までで一番長いセットリストでやらせてもらいますので、最後まで楽しんでいってください」と期待を煽る。「far」では飛田が電子パーカッションと生ドラムを使い分けながら、ダンサブルなノリを生み出す。ドリーミーなサウンドは一貫しつつも、曲ごとにグルーヴに緩急をつけていくxiexie。その起伏が寄せては返す波のように、アンサンブルにダイナミズムを生んでいた。
ここで幸田が渾身の咳払いをして「5年ぶりくらいに歌うよ(笑)」とはにかむ。Meariがカウベルを軽快に鳴らし、幸田がxiexieで初めてメインボーカルを務めた「Nile」を披露。リズム隊によるタイトなグルーヴや幸田とMeariのメロウな掛け合いに観客は酔いしれる。その後暗転し、スクリーンに映像が映し出される。ロケットが打ち上がる様子や地球外生命体が自転車に乗って空を飛ぶ姿などがSF映画を思わせつつ、最後にはエイリアンが「Tシャツ買ってな」とグッズの購入を促すというオチに笑いが起きると、「alien Ⅱ」へ。さらに幻想的なアンサンブルに魅せられるなか、スクリーンに映された月を背に4人が熱いプレイを見せた「soon」、飛田のパワフルなドラムや開のうねるようなベースがフロアを煽った代表曲「da da」と、パフォーマンスの熱はどんどん高まっていく。
バンド史上最長のセトリということで、MCもいつもより多め。クールかつ堂々とした佇まいで歌っていたMeariが、トークに入ると緊張した面持ちを見せていたのも微笑ましい。「今日はお仕事終わりとかに来てくれて、ありがとうございます。嬉しい気持ちでいっぱいです」とファンに向けて感謝の気持ちを伝え、念願の対バンが実現したというゲストのLiving Ritaに対し「今日は私たちにとっての大事な日で、(会場も)すごく大好きな月見ル。Living Ritaにも合うなと思っていたし、素敵なライブをありがとうございました」と語る。加えて「私たちは今、4年目を迎えました。あっという間な感じだね」と、結成当初について振り返り「最初はコロナ禍に部屋の中で作ってたものが、世界中の人に聴いてもらえるようになって。去年は台湾に行けたりいろんなところでライブをやる機会をもらって、すごく嬉しいことだなって。今回のツアーは、ありがとうを、xiexieを伝えに行こうと思っています」と意気込んだ。
続けて飛田がメンバーとの出会いを回顧し「ヤマちゃん(幸田大和)とは本当に長くバンドをやってまして。前のバンドでヤマちゃんは歌ってたけど、今は封印してたんです。でも、もう“歌え”と。今日はそれが実現できて嬉しいです」と述べる。そこからの和気あいあいとしたやり取りも含め、メンバーの仲の良さが垣間見えたところで、結成当初からのナンバー「narrow sea」を披露。幸田の透徹としたギターの音色やMeariの浮遊感のある歌声が響き渡っていく。アウトロで演奏はより激しくなり、エモーショナルなパフォーマンスに大きな拍手が沸き起こった。
その後、生命力のあるプレイが会場の熱気をさらに上昇させた「please me」、ヒリヒリとしたサウンドをバックに、Meariがタンバリンを叩きながら足を上げたりステージを動き回ったりと情熱的なパフォーマンスを行った「city」、疾走感のあるビートや浮遊感のある歌声のコントラストが高揚感をもたらした「13」と続き、会場はヒートアップ。
開が「楽しんでますか? 後半に突入しております」と述べ、終盤に向けて勢いはさらに加速。ファンシーなサウンドの中で歌が凛と響いた「Green」、ダイナミックなドラムやきらびやかなギター、柔らかなアップライトベースのサウンドが切なさを引き連れた「lamp」と畳み掛ける。そして「sea bird」でフロアの熱は最高潮に。アグレッシブなサウンドが会場いっぱいに広がっていき、観客は音の海を泳ぐようにゆらゆらと体を揺らしていた。
本編の締めを前に、再びムービーがスタート。アルバムのリード曲をリミックスした「UMA(soda mix)」をBGMとした、広大な宇宙を想起させる映像だ。最後には映画のタイトルバックの如くバンドのロゴが登場。温かなサウンドの「UMA」で本編を終えた。
アンコールでは、幸田が5年ぶりにメインボーカルを務めたことを振り返り「かなり土臭い感じになったと思います。昔はガラガラ声に憧れて、お酒でうがいをしながらライブに挑んでました。その結果がこれです」と述べ、笑いを誘う。また、ゲストとしてSimmer Pineのami(Sax.)を呼び込み「kiwi」を披露。透明感のあるバンドサウンドにメロウなサックスの音色が広がっていき、アンサンブルはより色鮮やかに。Meariが「どうか元気で、また会いましょう」と述べ、ラストの「what you see」へ。バンドとサックスが互いの演奏を高めあい、聴く者の感情を高揚させていく。5人の演奏が心にじんわりと温かな余韻を残して、ライブは幕を閉じた。
1時間半、全19曲に及ぶステージを通して、バンドの音楽性と4人の人柄が存分に伝わってきた本公演。xiexieがより広い世界に羽ばたく第一歩となったのは間違いない。今後の動向も気になるところだが、公演中にアナウンスされた通り、8月よりプライベートクラブ『MOTEL X』が始動。メンバーの個性が伝わる内容となるそうなので、こちらもチェックしてほしい。
<xiexie wellwell Tour 2024>
2024年8月2日(金)at 東京・青山 月見ル君想フ
Guest Act : Living Rita / Guest Player:ami / DJ:heimrecord
セットリスト
SE. 眠民
M1. my time
M2. poly
M3. calm sea
M4. alien
M5. far
M6. Nile
M7. alien Ⅱ
M8. soon
M9. da da
M10. narrow sea
M11. please me
M12. city
M13. 13
M14. Green
M15. lamp
M16. sea bird
M17. UMA
EN1. kiwi
EN2. what you see
🪐𝙥𝙧𝙚𝙨𝙚𝙣𝙩 𝙘𝙖𝙢𝙥𝙖𝙞𝙜𝙣🪐
— 𝘿𝙄𝙂𝙇𝙀 𝙈𝘼𝙂𝘼𝙕𝙄𝙉𝙀(ディグルマガジン) (@digle_tokyo) August 8, 2024
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RELEASE INFORMATION
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xiexie 1stアルバム『wellwell』
2024年6月12日リリース
Track List:
1. please me
2. UMA
3. Nile
4. city
5. 眠民
6. my time
7. alienⅡ
8. calm sea
9. kiwi
10. Green外部リンク
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