yobai suspectsがYosuke Nakanoと織り成す詩の世界

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はyobai suspectsをご紹介します。

いくつもの意味を重ねて

ブラックミュージック、AOR、フォークロック、ポップスを土台とした音楽集団、yobai suspectsが昨年12月にリリースした「Drippin’」は、アーバン・ポップバンドEmeraldのシンガー、中野陽介を招いたコラボ曲。

タイトル通り、2人の歌声が混ざり合い、歌の雫となって徐々に心を満たしていく。さらに、まどろむような浮遊感のあるサウンドも耳心地がよく、ゆっくりと過ごす夜の時間にぴったりな楽曲だ。それと同時に、詩の世界にも酔いしれてみてほしい。この曲では、彼らが拠点とする池尻大橋・三宿エリアでの生活や彼らの音楽人生が紡がれている。

そう、「Drippin’ 」とは近年コーヒースタンドとカフェが賑わい、“コーヒータウン”と呼ばれる街自体のことでもある。“苦い香りを喫み”、“ブラックコーヒーが冷める”ほどの時間を過ごす、街の景色が見えてくるだろう。その中で、一見さりげない言葉たちが、いくつもの意味の層を重ねているのだ。彼ら自身の日常の風景、時間の流れ、想い、全てを内包した表現が溶け合い、美しい言葉のグラデーションが生まれていく。

その美しい言葉たちはきっと、月のない夜に見つけたものなのかもしれない。そんな時間が、彼らにとって満ち足りた時間であるのだろうと、この楽曲の端々から感じた。


yobai suspects

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