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文: 石角友香 編:Miku Jimbo
これは個人的な感覚であくまでも好みのレベルかもしれないと断りを入れた上で言うのだが、zuniの音楽には絶対的な安心感がある。カラフルで明るい曲でも、ダークでほんの少しの後悔が描かれた曲でも、その音楽に身を委ねると、圧倒的な肯定感があるのだ。それはまるで自分のベッド、お布団のような感覚だ。それは彼女のふわふわと掴みどころのないボーカルにも起因しているとは思う。だが、それだけじゃない。面白い音を探して、常に音声メモは莫大にあるといい、言葉の意味じゃなく(もちろん、それもあるだろうけれど)音の組み合わせやメロディ、アレンジなど全体像で聴くことの楽しさをリスナーに提供したいと考えている彼女。音楽性のオリジナリティに比較して、あまりアーティスト・エゴがないんじゃないかと想像する。その音楽性から海外のエッジーなアーティストからの影響が大きいのでは?と思ったが、インタビューによると最も大きな影響はThe Beatles(ザ・ビートルズ)なのだという。しかもその良さに気づいたことから聴く音楽の幅が広がったと言うのだから、ある意味、音楽的な天才もしくは天然なのだと思う。こんなにさまざまな音楽が聴ける時代にポップミュージックのオリジンの凄さを素直に認める感性が素晴らしいと感じるのだ。
2023年5月にリリースした1stアルバム『PLAYFUL』はカラフルでドリーミーな楽曲を数多く収録。ただし単に夢見心地なだけじゃなく、オルタナティヴなサウンドの取捨選択やエッジの効いたアレンジ、ユーモアと少しのシニカルさも含んだ言葉使いも相まって、嘘のない彼女のパーソナリティが浮き彫りになる仕上がりに。同年11月リリースのEP『PALN ROLAN』ではダウナーな世界観も表現していて、自分の暗い側面を隠さないあたりもアーティストとして信用できる。しかもこのEPは「ロールパンナちゃんの黒いハートの部分をEPにまとめる」という裏テーマがあったそうで、特段シリアスになるわけじゃなく、遊び心を含んでいるのが作品の完成度に直結しているのだろう。
2024年に入ってからの配信シングル「ICE TEA」と「can do」はトラックとボーカルが生み出すグルーヴ感がグッと高まり、zuniのボーカル表現自体も歌を伝える強度がいい塩梅でパワーアップした印象がある。YUKIの名前が比較として挙がるのも完成度という意味で納得できる。
新曲「PURE」はzuniのルーツであるビートルズの曲の良さ、アレンジの鮮度、それらをひっくるめたポップミュージックのマジカルな魅力が時代を超えて保たれているナンバー。ちょっと褒めすぎなんでは?と思われるかもしれないが、メロディの積み方、セクションごとに施されるさりげないアレンジやローの質感の変化など、聴き飽きることのない構成が組まれているのがその理由だ。ミックスも彼女が手がけていることで、曲の空気感にもセンスが行き届いている。
歌詞はどうやら恋の衝動に素直になりきれない自分を後悔している様子。それでも一人でまばゆい朝日のなか目覚めたら、この女の子はまた歩みだすんだろうなと思わせる。言葉だけじゃなく、サウンドやメロディがそう思わせてくれるのだ。先ほどYUKIの名前を出したが、CHAIやSuperorganism(スーパーオーガニズム)、mazie(メイジー)などなど、マイ・ワールドの創造に妥協せず、かと言って自分だけの考えに縛られないしなやかな女性アーティストが好きなら、一度はzuniの音楽を体験してほしい。
RELEASE INFORMATION
New Single『PURE』
2024年8月7日(水)リリース
〈early Reflection〉
early Reflection
early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。▼Official site
https://earlyreflection.com
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