人知れぬあなたの心を守ってくれる美しい小品。坂本櫻のニューシングル「sakura」

Review
ポニーキャニオンとDIGLEMAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『earlyReflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第88回目は、坂本櫻をご紹介。

坂本櫻は非常に多作なシンガーソングライターだ。ある時期は毎日1曲以上作曲していたといい、正式なリリースとしては25曲が配信プラットフォーム上で聴くことができる。それは彼女がピアノと歌(歌詞とメロディ)を同時に即興的なスタイルで生み出せることが理由なのではないだろうか。どこか瞬発力を要する短歌や詩の創作に近いオリジナリティの輝きを感じる。4歳からピアノを始め、故郷長崎の豊かな自然の中で育った坂本は学生時代には吹奏楽部でパーカッションやクラリネットなどの演奏を経験。それが現在のピアノ以外のインストゥルメンツも手がけ、サンプリングも行う素地なのだろう。上京後はコロナ禍に直面するも、ライブ配信を経て、状況が緩和したのちは路上ライブやストリートピアノでの演奏を行い、2022年11月には1stワンマンライブを実現。2ndワンマンライブのチケット販売目標達成を機に、それまで応援してくれたファンへの<お礼参り>として47都道府県全てでストリートピアノやインストアライブを行うタフさも持つ。

時系列が前後するが、2021年リリースのシングル「アンダーグラウンド」の、簡素な環境でのピアノ弾き語り動画をご存じだろうか。単にまだ知名度のない存在が上を目指すというより、随所に文学青年のような瑞々しさと少しの屈折を感じる歌詞。それを柔らかさと強い意志が共存する歌声で放つ様に撃ち抜かれた人も少なくないだろう。

その後、リズムやシンセストリングスなども取り込んだポップチューン「ピンクサイダー」(2021年)、ジャズのコード感のある「a piece of cake」(2022年)、シティポップとネオクラシカルが融合した「アオハル。」(2023年)、複数のピアノサウンドとドラマチックな構成で、楽曲の奥行きを増した「落葉」(2024年)、ボカロクリエーター、nu_imiがトラックを提供した「時を覗きこんで」(2024年)、ピアノと少しのSEだけでダークファンタジーに通じる世界を表現した「醒めない夢」(2025年)と、年に2〜4作品のペースでリリースしてきた。

人知れぬ心を守る、坂本櫻の小品

また、スタジオジブリ作品の主題歌制作を熱望する彼女。2025年1月にはスマートフォン / PC向けゲーム『メメントモリ』の新キャラクター「アルトリア」テーマ曲「Warrior(Radio Edit)」の歌唱を担当したことで、ファン層を拡大した。今年に入ってからも1分半のショートチューンだが、聴く人を力づける手紙のような「君へ」、純粋で気高い“君”の存在が自分を生かしている、そんなメッセージが感じられる「遠路」をリリース。「遠路」では弦楽奏者やアレンジャーを迎え、よりスケール感のある音像を獲得している。いずれも言葉選びと主人公の在り方に潔癖な側面が見えるが、これは坂本のキャリア当初から一貫したトーンであり、それが多岐にわたる曲調に筋を通している。

早くも2026年3曲目のリリースは今の季節にこそ聴きたい1曲。「sakura」と題されたこの曲は繰り返し寄せる波のようなマイナーキーのピアノリフが、困難という波をかき分けて泳ぐような仮想の体感を生み出す。もしくは夜明け前のもっとも暗い時間のイメージだろうか。彼女の敬愛するジブリアニメの音楽のように、自然や大きな存在を想起させるピアノ、そして歌のメロディがある。春のある時期にだけ鮮やかに咲き、他の季節にはその気配を消す桜に、誰も知らない努力や続いていくその人の人生が重なるように感じる歌詞。そしてこのタイトルは坂本の名前でもある。そう考えると彼女自身が桜として、誰かの努力や人生を静かに見守っているとも取れる。マイナーのメロディが、歌詞の文末にだけメジャーコードで終わるのも示唆的だ。心を突き動かすような大曲とはまた違う、心を調律したい時に聴きたい美しい小品。

坂本櫻

RELEASE INFORMATION

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New Single『sakura』

2026年3月25日 リリース

▶︎配信URLはこちら

early Reflection

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early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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坂本櫻(さかもとさくら)

長崎県出身のシンガーソングライター、作曲家、作詞家。

4歳からピアノを始める。自然豊かな故郷で育ち、学生時代は吹奏楽部でパーカッションやクラリネットなどの演奏を経験。現在ではピアノ以外にギターの演奏やサンプリングも行う。

上京後、コロナ禍を機にライブ配信を中心に活動を開始。弾き語りライブのネット配信というスタンスを保ちながら、地道にファンを獲得していく。並行して路上ライブやストリートピアノでの演奏も積極的に行い、2022年11月には代官山「晴れたら空に豆まいて」で1stワンマンライブ<initial
>を開催。以降、<回遊>(2023年6月)、<燦々>(2023年11月)、<醒めない夢>(2025年12月)と回を重ねている。2024年8月には渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて、グランドピアノ弾き語りのみの構成による初のホールライブ<organic>を開催した。2ndワンマンライブのチケット販売目標達成を記念し、47都道府県全てでストリートピアノやインストアライブを行う<お礼参り>を決行。首都圏外のファンとも直接触れ合う機会を得て、全国的な人気を確かなものにした。

2021年6月に1st Mini Album『Breathing』をリリース。同年8月に、シングル「ピンクサイダー」をリリース。以降は2022年の「a piece of cake」、2023年の「アオハル」、2024年の「落葉」、2025年の「醒めない夢」など、年に2〜4作品のペースでシングルをリリースしている。

スタジオジブリのアニメーション映画や漫画作品の主題歌制作を熱望しており、2025年1月にはスマートフォン / PC向けゲーム『メメントモリ』の新キャラクター「アルトリア」のテーマ曲『Warrior(Radio Edit)』の歌唱を担当した。
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