プレイリスト『Shurkn Pap | Newave Japan #50 』共鳴するグルーヴと可能性

Review

文: 久野麻衣 

姫路を拠点に活動するラッパー・Shurkn Papがセレクトしたプレイリスト『Shurkn Pap | Newave Japan #50 』から、彼のルーツと可能性を紐解く。

 このプレイリストは、Shurkn Papが『Newave Japan』というDIGLE MAGAZINEイチオシの若手アーティストを紹介する企画に登場してもらった際、「ルーツプレイリストを」とお願いして本人に作成してもらったものだ。内容を見るまでは記事内で話に上がったような、幼い頃に聴いたファンクやソウル、衝撃を受けたというEminemなど、彼のクラシックが並ぶプレイリストを予想していたが、それは見事に裏切られた。並ぶのは2018〜2020年にリリースされた近年の楽曲。今の影響元、刺激を受けたもの、という意味での“ルーツ”であり、今の彼のモードを映し出したプレイリストということだろうか…と考えながら聴いてみたが、これはしっかりと彼のルーツを映し出したプレイリストだった。

 今回選んだ10曲、印象的だったのは生音感のある楽器のサウンドだ。特に前半、オーストラリアのラッパー Youngn Lipzの「Everyday」、BBC『Sound of 2018』にもリストインしたイースト・ロンドンのラッパー Yxng Baneの「Section」、映画『ブラックパンサー』のサントラにも参加しているカリフォルニアのラッパー Mozzyの「I Ain’t Perfect (feat. Blxst)」と続く3曲は、どれもイントロのギターリフが耳に残る。

 さらに、ラスト2曲であるナイジェリアにルーツを持つカナダのラッパー TOBiによる「City Blues (Remix)」はピアノの伴奏が印象的であり、ヒューストン出身のラッパー Dee-Qの「Deserve You」はラテン的なキーボードリフがトラックを彩る。

 Shurkn Pap自身の楽曲も楽器の音使いは非常に印象的だ。「Road Trip」、「NEW CLASSIC」、「22」など彼のアンセムには欠かせない要素と言えるだろう。

 そこで思い返すのは、やはり彼が聴いて育ったというファンクやソウル、そのバンドサウンドだ。太いシンセベースやギターリフという特徴的な音だけでなく、ボーカルとの掛け合いや絡みが生み出すグルーヴ。それらがいかに彼の音楽を作り上げ、数々のラッパーの中でも突出した存在としているのかが、より際立って見えてくる。

 そんなルーツとなるファンクやソウルのサウンドを、世界中のアーティストが様々なアプローチでアップデートしようとしているのだ。彼はインタビュー内で「新しいジャンルを作りたい」と話していたが、その思いがこのプレイリストに並ぶ楽曲たちと共鳴しているように感じた。

 制作の際、彼はトラックメイカーやスタッフらと様々な意見を交わしながら、楽曲を作り上げているという。そんな自分のことを「本当に音楽を楽しんでる感じです」と真っ直ぐな目で話してくれた。音の中に身を置くことは彼にとって、自然なことでありながら欠かすことのできない、きっと息をするような時間なのだろう。個人的には、そんな彼が手練れのプレイヤーと共にステージに立つ姿が見てみたいと思う。どれほど生き生きとした姿を見せてくれるだろうか。

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久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

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