文: 秦 麗奈
音楽は聴く人や発する人によって、文化になり、表現になり、芸術になる。では、the pulloversの場合は何なのか。彼らの音楽を聴いていると、それは存在証明のような気がしてならない。
何かで1番になるというのは、もっともわかりやすく「ここにいるよ」と声をあげる手段だ。そこには勝負が存在し、選ばれたひとりとそれ以外の世界がある。
ボーカルのCettiaは「勝ち負けが嫌だから音楽をやり始めた」と語っていた。つまり、the pulloversの音楽は、一番になれない女の子の叫びであり、同じような想いを抱える誰かへの救いの歌なのだ。初夏の風のように爽やかなサウンドは大人になりきらぬ瑞々しさを鳴らし、透明感のある歌声で秘めたる想いを静かに響かせる。矛盾に揺れる複雑な心境を隠すことなく紡ぐのが、彼らの魅力ではないだろうか。
先日配信が開始された『日常を見つめて』は、4thシングルとなる1枚。早朝のように澄んだ空気は、なんとなくモヤモヤを抱える心にそっと寄り添ってくれるはず。
the pullovers
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