文: 石角友香 編:Miku Jimbo
3月5日、突如Xに「Hi,World. WE ARE CHIANZ🖤」と放たれたメッセージ。こんなにワクワクするバンドのデビューは久しぶりだ。すでにその“正体”はアナウンスされているが、改めてこの1998年生まれの幼なじみバンドのプロフィールを紹介しよう。ギター&ボーカルのFoiは日中にルーツを持つC-POPやマンドポップ育ちのシンガーソングライターで、2020年に「Swim in your eyes」でデビュー。日中のリリックが織りなすSalaとのコラボ曲「Ctrl Z(feat.Foi)」なども発表しており、新世代R&Bの注目アーティストだ。リードギターのCHIEとベースの月川玲はオルタナティブなポップユニットYABI×YABIで2021年にデビュー。CHIEはギターだけでなく三味線、バンジョー、ウクレレを自在に操る弦楽器巧者で、ギターサポートやレコーディング現場でも活躍中。関口シンゴの楽曲をカバーする企画『ギターソロチャレンジ』でも高い評価を得たセンスとスキルが光る。月川も卓越したベースプレイヤーだが、彼女の場合、シンガーソングライター・ユニットぷらそにかのメンバーとして活動していた実績もあり、最近では2023年に舞台『ぼっち・ざ・ろっく!』の廣井きくり役で俳優デビューもしている。そしてキーボード&ボーカルのeillは2021年に「ここで息をして」でメジャーデビューした言わずと知れた新世代シンガーソングライター。切なくも甘いスモーキーボイスが魅力的で、日本のR&Bシーンに新鮮な風を送るとともに、韓国でも楽曲がバイラルしワンマンライブを行うほどの人気を確立している。
プロフィールを読むまでもなく、カッコいい令和ガールズにアンテナを張っているリスナーには歓喜のバンド結成なわけだが、R&BやK-POP好きなだけならまだしも、同時に洋邦のインディミュージックにも造詣が深く、演奏スキルも高いとなるとがぜんプロップスも高くなるというもの。あえて古典的なバンドをイメージしたようなテーラードジャケットのスーツで身を固めたビジュアルもいい。
肝心の1stシングル「GIG」はビジュアルイメージからすると意外性を突いてくる、爽やかなグルーヴミュージック。メンバーのルーツがしっかり反映しているのがむしろ潔い。作曲とアレンジはメンバー全員で手がけており、R&Bや現代のモダンなオルタナティブロックの系譜を引く’80sのニュアンス。CHIEのソウルやジャズも吸収した洒脱なフレージングや月川のファンキーなベースラインに、まずいわゆるガールズバンドのイメージが払拭される。歌詞はFoiとeillが手がけており、英語と日本語がスムーズに行き交うボーカルは耳に心地よい。ハードに不満をスピークアップするのではなく、あくまでもグルーヴィに退屈な毎日を抜け出そうと歌うのがいい。バンド名の由来である“治安ズ”も歌詞に登場し、《TONIGHT We are 治安ズ Hold on tight》なんて頼れるフレーズも登場し、アンセミックな部分もさりげなく盛り込んでいる。おしゃれに熱量を注ぎ込んでいるけれど、一人の部屋で飛び越えられない不安な夜を過ごしている女子たちに届きそうなメッセージという感じなのだ。
彼女たちが“GIRLS CRUSH ROCK BAND”を標榜しているのも納得してしまう。ガールズクラッシュはK-POPシーンにおける「女が惚れる女」であり、等身大で自然体の強い女性像が音楽シーンだけでなく世界の女性を牽引し、人気を誇っているのは承知の通り。音楽的にも近い部分を持ちながら、CHIANZは自身でソングライティングも手がけ、バンドであるというオリジナリティを持つのが新しい。今回は挨拶がわりの1曲というところだが、この先もリリースされるであろう新曲やライブで全容が披露される日が楽しみでならない。
INFORMATION
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1st Single『GIG』
2024年3月6日(水)リリース
〈CHIANZ〉
early Reflection
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