文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
前回、2nd EP『あの娘のいない教室で』(2025年2月)リリースのタイミングで初めて同レビュー企画で紹介したTHE HAMIDA SHE’S。その際は、京都・立命館大学の名門軽音サークル“Rock Commune(ロックコミューン)”現役バンド、という導入にしたが、このEPリリース後のツアーや、各地のサーキットイベント、対バンイベントへの出演など、その多忙さを見るにつけ、いまや出身以上に「いま日本で勢いのあるインディーズロックバンドシーンの重要な一角を形成している」という、シンプルな形容が似合う気がしてきた。改めてプロフィールをおさらいすると、メンバーは奏太(Gt. / Vo.)、アカマユウタロウ(Ba.)、壮樹(Dr.)の3ピース。結成は2022年。何も信じられなかった10代の絶望や焦燥をバンドの存在とロックでなんとか振り切り、決して世間に迎合しない姿勢や不器用で潔癖な恋愛を歌う。爆音と荒削りなバンドサウンドが銀杏BOYZを想起させる部分もあるが、奏太が書く物語性と情景が浮かぶ歌詞はこのバンドの明らかなオリジナリティだ。
THE HAMIDA SHE’Sが爆音を鳴らすモチベーションのひとつにしているであろう、奏太がライブのMCでも発する「君の孤独を守りたい」という言葉。それは曲のなかで“あの娘”に対する想いとして昇華されている。1st EP『純情讃歌』(2024年)では、“あの娘”がどんな人物で、自分がどこに惹かれているのかが描かれ、だがその想いは伝えられなかったという物語がEPを通して痛いほど伝わってきた。2nd EP『あの娘のいない教室で』は、1st EPのその先のストーリーが綴られ、さらに同じ時期に並列して存在した友だちや音楽、街のことも鮮やかに定着している。少しだけ大人になったと同時に、バンドサウンドのアンサンブルも強化され、アレンジもよりヒリヒリする体感を生み出していた。
そして今回リリースする新曲「シーサイド」では、“あの娘”に対する想いの強度を軸にしつつ、人を愛するリアリティも悪意に対する断罪も、混沌としたまま猛スピードで走っている感じなのだ。恐らく“あの娘”はSNS上で匿名の悪意にさらされたのだろう。彼女の涙の本当の理由を知りたい、そして狂った世界を逃れて彼女と海に逃げたい。でも同時に助けたい彼女の涙にときめいてしまう自分もいて、でもやはり彼女を泣かせたヤツらが許せないと歌う。この混乱に堪えられない主人公の行動が恐らくジャケットのアートワークに結びついている。そこは歌詞全編を読んでみてほしいのだが、この物語の進み方と筆致の冴えは、性急なビートも相まって聴き手のこちらの心拍をめちゃくちゃ上げてくる。“夏のいい感じのナンバー”であることを想像させる「シーサイド」というタイトルの意味は見事に転覆するだろう。でも一つ確かなのは、独りよがりな愛と正義だとしても、喉が切れるほど叫んで、一緒に怒って、逃げてくれるこの曲は、最後に聴き手を笑顔にしてくれるということだ。
現役大学生とは思えないほど、ハードにライブを行っている彼ら。今後も<ナノボロ2025>や<TOKYO CALLING 2025><ボロフェスタ2025>など、より多くのオーディエンスが出会う機会が待ち構えている。
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